春を味わう

三月になって近所の桜も咲き始めました。日当たりしだいなのでしょうが、我が家の桜は、まだまだですね。

日本人は、目と鼻と味覚で春を感じたいのでしょうか。桜餅には、桜の葉(花の塩漬けがついているものもありますね)がついて、見た目も香りも味も桜を感じるようになっています。

五月は柏餅で(柏の葉は食べませんが)、夏は笹の葉(笹も食べませんが)と香りを楽しむのも、季節の味わいなのでしょう。旬のものや、季節を少し先取りしたものが、好まれていますね。

咲いている姿や、生い茂った様子を想像するのも、旬の愛で方なのでしょう。これは、茶道のもてなしに通じているように思います。季節を少し先取りした茶器を用いたり、旬の茶花を飾ったり・・。和菓子は、茶道とともに発達してきたものが多いのですから、当然と言えば当然ですね。

四季のある国で、旬でないものといったら、冷凍か輸入ものということになりますから、有難がられないのも、むべなるかなという感じですね。

タイ料理でも香りを付けるために、バナナの葉で包んであげたり、蒸したりします。ですが、バナナの葉は通年あるので、季節を楽しむものではないですね。中華料理の富貴鶏(別名 乞食鶏ですが)は、ハスの葉でくるんだものを土で包んで蒸し焼きにするものです。このハスの葉は乾物を使うと、一年中作れる料理です。

冬が長いベルギーあたりでは、ホワイトアスパラを春の野菜として、喜んで食べます。ホワイトアスパラは、土の上に芽を出しかけた時に(土がぽっこりと盛り上がった時に)、上から土を被せ、どんどん丈を伸ばしたもの。野菜としては、春を感じるものですが、畑にある姿を連想して、春を想うことはないのではないかしら。

当たり前のように、季節のものを見て、香りと味を楽しんできましたが、これは日本に生まれたおかげなのですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?