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柏餅を食べながら

もうすぐ、子供の日。我が家に男の子はいないので、鯉のぼりは飾りませんが、柏餅は食べます。

和菓子は、本当に季節を反映しているので、春先は桜餅、それから柏餅と店先に並ぶものが違います。もう少しすると、葛桜や水羊羹でしょうか。上生菓子などは、花の形などに作ってありますから、季節を感じさせますね。

自宅でお茶請けにいただくのであれば、豆大福や豆板といったちょっと塩気のあるものが好きです。でも、季節になると桜餅や柏餅に、つい手が伸びます。

材料や、工程が同じなのに、作る人によって、味が違うというのは面白いですね。ほんの微妙な加減で味が変わってしまうのでしょう。「豆大福なら○○」とか、評判のいいお店のは、やはり美味しい。

畑中恵さんの「しゃばけ」と言う小説で若旦那の友人に、和菓子屋の息子なのに、とても腕の悪い職人見習いがいましたが、あれは適職ではないのでしょうね。大抵は、子供の頃から、家業を見て(見取り稽古のようなものでしょうか)、色々な手伝いをしてきたから、仕事をよく理解して、跡取りとして育つのでしょう。

元々、味覚が優れていないとか、仕事を見ても勘所がわからないとかいうのは、不向きだと言わざるを得ません。一子相伝というようなおうちでしたら、家業が傾いてしまうかも。婿を取ったり、養子を取ったりして、なんとかしのいできたのでしょうか。

創業○○何年とか言うような、老舗の和菓子、伝統の味と技術と伝え続けて今日に至るのですから、自然と頭が下がります。何代も何代も、後継を育てて、味を伝えてきたのですから。

そして、味覚の嗜好と言うのは、時代によって変わってゆくのですから、変わらないように見せつつ、時代に合わせて行く、ということも必要になるのでしょう。

砂糖が高級品だった時代の和菓子は、ひたすら甘く、お茶席で使われるのならともかく、日常のお茶請けには不向きです。お茶席での利用回数より、日常の利用回数を増やすことで、安定した収益を上げることができるようになるはずです。

超高級羊羹の虎屋が、パリに出店し、従来の商品に加え、ヨーカンドパリというフルーツテイストの羊羹を売り出したのは、1980年の事です。「フランスの方々に、日本の和菓子を知っていただく」というコンセプトです。

このパリ出店が、日本の若い客層に「和菓子は、海外でも評価されるものなんだ。古臭いものではないんだね。」という認識につながってゆくのですから、虎屋さんのマーケティング担当の方、素晴らしい仕事をなさっています。

粒、漉し、白みそのほかに、新しい餡が出てくるといいな、と思いつつ、長年親しまれている季節商品ゆえ、変化が難しいのかなと思ったりもします。今、頭の中には4種くらい新作のアイデアあるのですが、自宅で試してみようかな、クライアントの依頼もないのですが。

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