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えりアルフィヤさん応援「感想戦」#2ネガキャンをどう報じるか論じるか

前回に引き続き。

今回のネガティブキャンペーンについて早速東京新聞が取り上げています。

私は日本の既存メディアの「型通り」報道の印象を受けました。要するに「マイノリティ出身者がヘイトスピーチに負けず多様性を訴え当選」という「型」を前提に書いた印象です。

応援してきた立場からすると、間違いではないにしても、取材(したのかどうか?)が立候補者だけで、その背景や事情等が取材できていません。既存メディアの政治報道の問題を示す記事だと思いました。

記事内容については既に多くの反応があります。これらに触発され、違う角度から本来メディアが取材し報じるべき、論じるべきと感じた点を書いてみました。

(1)SNS対応の検証は必要

選挙戦前からネガキャンはありました。応援者の中には「リプライ欄を閉じるべき」とする方いました。確かにリプライ欄を閉鎖すれば少なくとも本人のアカウントでのヘイトや悪意も無かったかもしれません。それでいいのかどうか。

リプライ欄を閉鎖すれば屈した印象も与えるので良くなかったかもしれませんし、言論の自由に反します。

何よりえりさんが「自由」の価値を誰よりも知る自負があるからこそ、リプライ欄を閉鎖しなかったのだと(自分勝手に)感じました。その自負は以下をご覧ください。私が最も気に入っている一文です。

このSNS対応等をなぜ東京新聞は取材し記事化しなかったのでしょう。立憲民主党の議員はリプライ欄閉鎖の方も多く、アンチ受け付けていません。河野太郎氏はフォロワーも多いですが同時にブロックも有名です。

ブロックの是非など運用方針も含めて論じるのが本来のジャーナリズムかとは思いました。既存メディアがSNSに全く向き合っていないことを示す記事です。

(2)説明不足は選挙戦術上やむを得ないが、それでいいのか

私は「事実誤認等は新しく情報を出すことで上書きするべき」と感じました。ただ、選挙では名前の浸透に重点を置くことが最優先ですので、新情報での追加上書きは余裕無かったと思います。選挙戦術としては結果的には妥当とは思いますが、議論があるべきと思います。

興味深いのがNHKによる出口調査結果です。これを見るとSNSでは声の大きいネガキャンは結果的に大勢に影響あると思えません。対応優先順位を下げたのも理解できます。ただし、これが選挙後も放置でいいという事ではありません。

また無党派層にはネガキャンで「いじめられてる」印象がかえってプラスと言う判断かもしれません。実際SNSでも同情反応も多くありました。「ヘイト良くない」報道だけでは一面的だと思います。

否定的な反応の1/4程度は情報の追加や上書で何とかなった面もあると、私は感じました。ただ、何を言っても揚げ足取りになり、アンチに振り回されて消耗するのは悪手で止めたのかもしれませんが、妥当と思います。しかしヘイト根絶はできないにしても自分から低減できた可能性は放棄していいのか、議論はあるところでしょう

(3)ヘイト・ネガキャン反発が一般の方や自民党支持に近い層から出ている

ネガキャンで言われっぱなしだったのかと言うとそうでもありません。ここをマスコミは見落としがちです。

私もその一人ですが応援する人、同情する人が励ましのメッセージを書き、事実誤認は訂正していました。私が見た範囲でも無党派層や一般の方も多くいました。私の印象では半分程度は自民党支持に近い層と重なります

一般の方や自民党支持に近い層からもネガキャンへの反発や事実誤認の訂正が出ていたことは、自民党は、いわゆるリベラル系メディアに「良識が示された」として強調するべきだと思います。

しかし、既存のリベラル系メディアにとっては都合が悪く、認めたくないのかもしれません。「自民党の支持基盤からバッシングあっても静観していただけ」図式が好都合でしょう。しかし実態は違います。自民党支持に近い層から出たネガキャンへの反撃を意図的に無視した感はあり、リベラル系メディア定番の「自民党=権力=悪」「マイノリティ=弱者=かわいそう」の単純図式の弊害は大きいと痛感しました。

3月末にも書きましたが、日ごろ人権にうるさい(はずの)リベラル系の「不思議な沈黙」。

これは選挙での「中立」が沈黙に影響しているなら、そもそも「中立」は何なのか「中立」をヘイト容認概念としてリベラル系は納得するのか、問いたいところです。異常な小西騒動があった割に中立そのものに関する議論はほとんどありません。(7)でも書きましたが公選法の関連での沈黙なのかは説明を要求したいです。

(4)アンチとファンに取材した記事ではない

日本のマスコミのダメなところは権威筋の情報を鵜呑みにし垂れ流すこと。この記事では候補者lだけの取材でSNSでのアンチとファンの双方に取材を全くせずに書いています。

アンチにはアンチの言い分もあります。100%聞く価値ない、無視で良いかと言うとそうでもありません。少ないですが傾聴に値するのもありました。

東京新聞の記事後半の見矢木素延氏についても嫌がらせをした(とされる)相手候補に取材が無く充分ではありません。単なる「かわいそう報道」です。

これも含め、アンチ・ファン等双方になぜ取材しないのか。政治家としか向き合わない政治記事に根源的な問題を感じます。これらは牧野洋氏に触発されました。

(5)昭和で見られた選挙の悪弊SNS版という感覚なのか

昭和の中選挙区では同士討ちがあり、自民党の候補者陣営同士で誹謗中傷や怪文書は普通に見られたようです。なかには「ナントカ戦争」と形容される激しいのも。実際、高市早苗氏も若い頃に選挙で怪文書を流されたこともあると聞きました。

特にマスコミの政治部記者がそういった昭和の政治文化にどっぷり漬かった影響からか、選挙における誹謗中傷などに「珍しくない」感、あるいは「今はそれをSNSでやってるだけ」になっていないでしょうか

ちょうど40年前に「黒シール事件」がありました。私も好きな石原慎太郎の汚点として非常に残念な事件です。

シールがSNSに変わっただけという認識で良いのか。40年前の事件や類似の事件との比較検討をメディアは検討する必要があると思います。

(6)自民党地方議員(添田・白川)の悪意投稿こそ問題視すべき

一般人の投稿規制を論じる前に自民党の地方議員による悪意の投稿をむしろ問題にすべきと感じます。自民党所属議員としての良識や節度が問われます。2名とも伏字だから良いだろうという姑息さ卑劣さ陰湿さです。

①添田詩織(泉南市議)
選挙期間中にも「C国人」等としています。「帰化人以前に人として無理」無所属や別政党はともかく、自民党の所属議員として妥当とは到底思えません。

添田詩織泉南市議「C国人みたいですね」
「帰化人以前に人として無理です。」

②白川司(千代田区議)
白川司氏は月刊WiLL等の寄稿で知られます。千代田区議選に出馬し当選。ここで政治活動に乗じた(株)ニトリに対する侮辱あり、以下拙稿です。自民党として放置黙認でいいのか問われます。

私のようなふざけた名前のアカウントが良識や節度を説き、公人たる自民党議員が伏字でふざけた中傷や侮辱を行う。逆ではないですか。責任政党を自負する自民党の風景として認めていいのでしょうか。Twitter社の対応より先に、自民党が自省なり再考を求めるべきなのに放置でいいのでしょうか。何のための政党助成金と党費年4,000円ですか。ガバナンスが問われます。

(7)公選法規定がデマ言いっぱなしを助長

ネガキャンの中で投票日直前にあったのが「二重国籍」「本名隠し」の騒ぎです。内容については別途池田信夫氏等がツイートしていますが、私が問題にしたいのは投票日直前だったこと公選法では投票日当日の活動禁止があります。

選挙ドットコムでの投票日当日のガイド

特に二重国籍デマの出所は丸山穂高で元議員として公選法規定を熟知し狙撃してきただけに悪質です。デマや中傷の投票日狙った言いっぱなしを結果として公選法が助長していないでしょうか。

(8)バッシングビジネスで儲けていないか

私もSNSに疎いので知っている方には教えて欲しいのですが、「ネガキャンがビジネス化していないか」という点です。いわばバッシングビジネス。

一般的にバッシングはSNSでもアクセス数は増加しやすいのはよく指摘されます。アンチのYouTubeサイトでは万単位のアクセスがザラにありました。

このネガティブキャンペーンでも、バッシングを行い広告収入で儲けた人がいないか気になるところです。ビジネスモデルとして成立しているのであれば問題は大きいと思います。金額が推計できるとリアルになるかもしれません。

(9)偽情報、影響工作、認知戦

3月にTwitter眺めながら余りの異常さに憤慨と同時に、言いようのない違和感で思い出したのが総裁選に関する日経の8月の記事。その後の深耕報道もなくモヤモヤしていて今回の補欠選があったところです。

その後、何らかの情報影響工作ではないかと示唆するTweetが散見されました。詳細は分かりません。関連した報道が今後出るか、識者の議論も注目です。私としてはこれらは勉強不足で、今回のえりさん応援体験を契機に改めて重大な問題だと認識させられました。

(10)共同通信の対応に注目

先般「共同通信桜ういろう事件」がありました。共同通信はどういう報じ方をするのか注目されます。

共同通信は「桜ういろう事件」が無かったかのようにイケシャーシャーとSNSヘイトいけません記事を良い子ぶって書く予感はします。仮に報じるなら「お前が言うな」炎上を覚悟しろよとは思います。

報じなければ「報道しない自由」。報道機関として失格です。共同通信によって今回のネガキャンが無かったことにされていいのか、メディア業界の良識が問われます。

以上、つらつら書いてみましたが、今回のネガキャン騒動が一般の有権者がドン引きさせ、政治を遠いものにしてしまったなら、これが最も罪が大きいと改めて感じます。

応援された方も考える一助としていただければ幸いです。

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