えりアルフィヤさん応援「感想戦」#1ネガティブキャンペーンの「正体」を考える
私も応援してきた えりアルフィヤさんが当選してうれしい限りです。
彼女が2月に補欠選挙への出馬表明して以降、ネガティブキャンペーンが続きました。私もSNSを通じて応援してみて、アンチの罵声を浴びて正直閉口しました。
私も異常と感じてnoteを書いたところ、河野太郎氏がTwitterで紹介し、多く閲覧を頂くも罵声を浴びながら応援した貴重な経験でした。SNSで応援「戦友」と知り合い学んだ点も多く、意見交換も有意義なものでした。私としては収穫も多く、改めて彼女に感謝したいところです。また、私の応援メッセージで何人も「涙が出た」と言う方もいて、書いて良かったと思います。
それにしても無名の新人候補に対する執拗なネガティブキャンペーンの正体は何なのか考えさせられました。海外メディアも関心を持っているだけに重要と思います。さらに海外情報機関も報告書にどう書くのか興味あります。
バッシングはいろいろありましたがPULPさんの情報整理は必見です。文句言うならこれ読んでからにしろと言いたいです。
私はネガティブキャンペーンをいくつかに分けて考えてみました。
(1)レイシズム(racism)ではない
アンチで排外主義的な態度の反応が多くありました。応援でアンチに対し「レイシスト」と言い返した方がいましたが、私はこれには異論を唱えます。人種差別(racism)は肌の色(黄白黒)の問題で身体的差異と考えられるものに結びついている点で民族(ethnic)差別とは違います。この点で誤用と思います。
私が気がかりなのは海外メディアに「レイシズム・バッシング」と報道されると事実と異なり誤解を招くので、これはやめて欲しいと感じました。
なお、蛇足ながら一次大戦後のパリ講和会議で世界で初めて「人種平等」を訴えたのは牧野伸顕(1861~1949)で麻生太郎氏の曽祖父。
提起の手法の問題等はともかく、初めて提起した事実は評価されるべきです。えりアルフィヤさんが牧野伸顕の功績を英語で説明し麻生さんに英語で聞くという歴史に残るYouTube企画も提案したいです。
(2)「民族差別」でもない
もうひとつ「民族差別」という批判もありました。しかし、エスノセントリズム (ethnocentrism)自民族中心主義・「民族差別」ではないと思います。
なぜかというとアンチはウイグルではなく中国共産党への嫌悪だからです。それを彼女に向けるのが筋違いでもあるので二重におかしな話です。
アンチにウイグルに対する民族差別らしき発言や侮辱はありませんでした。ネガティブキャンペーンを民族差別と形容するのは実態と異なります。これも海外メディアに誤解されては困るところです。
(3)イスラムへの侮辱はなかった
アンチに「イスラムの言うことは聴いても日本人には耳を傾けないのか?」はありました。折しも大分県でイスラム教徒団体の墓地計画が問題になっています。NHK大分局記者が報道や中立を超えて問題に介入していないか、も気にはなります。
今回、アンチがイスラムについて知識を持たないままイスラムを侮辱するような罵声を飛ばすのか、と非常に危惧しました。今回はそこまでは発展しませんでしたが、この点は今後も非常に気がかりです。
少なくともイスラムへの反発を理由にしたネガティブキャンペーンではなく、アンチが無知なまま叩きのネタとして使いかかったというところです。一方で彼女自身もイスラムとの関係は言及はした方が良いようにも感じます。
(4)「反中共」としての批判は「悪魔の証明」を求めているのか
アンチのメインは「反中共」でした。その立場で彼女を中国共産党の「代理人」や「手先」としての罵倒がありました。ここがポイントとは思います。彼女のブログやインタビューでの政策に関するコメントをみてどこからそういう議論が出るのか理解に苦しみます。
一方で彼女自身の来歴に対する説明の不足は無いとは言えません。しかし、親の職業勤務先まであれこれ言うなら、候補者全員確認するべきでしょう。
さらに軍需産業や経済安全保障が関係する分野ならいざ知らず、衛生陶器(TOTO)でそこまで必要とは思えません。そうしたクリアランス制度が先に提起されるべきで、ネガティブキャンペーンの悪意を感じます。
ここは別稿を用意したいところですが、説明はいいとしても、何をどこをどのように問題視したいのか不明確です。「悪魔の証明」要求になっていないでしょうか。少しでも中国関わったらダメなら「例の魔女狩り」そのものです。クリアランスの制度そのものが無い中で、彼女だけ攻撃されるのは納得いきません。
(5)「反リベラル」は理解できても、ここまで「いきり立つ」理由になるのか
「反リベラル」の立場からの指摘がありました。彼女の夫婦別姓賛成論がリベラルの本質的価値である「自己決定権」に基づくものと思います。なお、彼女の夫婦別姓論は父称との混同もあり私は賛同しません。
別姓賛成論は自民党内にも賛成派は多くいます。そんな中で彼女に対してだけネガティブキャンペーンが行われるのが不自然です。賛成議連会長の浜田靖一氏はじめ全員に罵声が飛ぶなら百歩譲って理解はできますが、とてもそうは見えません。夫婦別姓問題を理由にネガティブキャンペーンとするには無理があります。叩きが先にあってネタとして利用しているだけと感じました。
(6)「多様性」への反発ではなく、本質は「キャンセルカルチャー」怨念
「多様性」が彼女のキーワードです。この「多様性」を巡った反発は理解できる面もあります。なぜかというとキャンセルカルチャーで作品が燃やされたり、辞任に追い込まれなどありました。正確に言えば「多様性」の派生の「ポリティカル・コレクトネス」とキャンセルカルチャーに対する反発、と解釈した方が実態に即していると思います。多様性そのものでなく、そこから派生した攻撃に対する反撃と言うところです。
これは理解できます。ただ、彼女に向けるのか妥当なのか。これらを推進した政治勢力(例の界隈)なら理解できますが、彼女がキャンセルカルチャー推進したわけではありませんし、そういう政治勢力が基盤でもありません。
「多様性実現=キャンセルカルチャー」の図式での批判は短絡的な思い込みに映ります。キャンセルカルチャーを主導したリベラル勢力には反省を求める一方で、多様性批判とキャンセルカルチャー批判と明確に区別すべきとも思います。
また、多様性ということで取り上げたがるのは、間違いではないにしても、海外メディアの好む「思い込み図式」による面が強く出た感はあります。
しかも、安倍総理はじめ自民党の政治家も「多様性の尊重」などはしばしば言っています。懐疑的になるとしても彼女に対してのみのネガティブキャンペーンの動機とするには説得力がありません。
(7)「反エリート」はネガティブキャンペーンの動機の説明にならない。
彼女が「アメリカンスクール・ジョージタウン大・日銀・国連」のキラキラ経歴から「庶民じゃない」「地元無知」批判がありました。これは否定しません。なので自民党議員は親しみやすいイメージづくりで地元行事や地元回り一生懸命。SNSで政策論だけでなくラーメン食べました、もその一つです(実際おいしい)。
親しみやすいイメージで有権者が要望を言いやすくすることは民主主義として大事なことです。これはえりさんも見習うべきところです。
しかし、これがネガティブキャンペーンの動機を説明する理由にはなりません。今回は庶民派の他候補が地元にも精通し政策も考え、地道に活動もしておられました。そうなら他候補を称賛すべきであり、応援するべきだからです。それもなしでネガティブキャンペーンは異常です。
(8)アンチ国連も筋違い
えりアルフィヤさんの経歴で、国連の勤務経験があります。ここにも起因する叩きはありました。「アンチ国連」。日本での「国連信仰」は根強いものがあります。佐藤内閣の西村防衛庁長官は「国連は田舎の信用組合」と発言し、「国連軽視」を理由に辞任に追い込まれました。
国連信仰を利用して選挙での良好イメージ浸透に使うのも理解できますが、当然それに対する反発も無いはずないので仕方ない面はあります。国連信仰の裏返しというところです。これは理解できます。
特に近年では「国連の方から来た」人が一方的に荒唐無稽な話をして反発もあります。これも理解できますが、それを彼女に向けるのは筋違いと思います。それは国連(の方から)に言われっぱなしの外務省の実務を批判するべきです。彼女の国連でのポジションや、経験したオペレーションとは異なります。
アンチ国連も叩きのためのネタにはなるとは思いますがネガティブキャンペーンの動機とするには無理があります。
なお、彼女は国連での発言力を高めようという趣旨をしばしば語っています。某国の「用日」ならぬ「用国連」というところです。
(9)アンチ河野太郎は飛躍しすぎ
彼女のメンターが河野太郎氏です。河野太郎氏に対する反発としての罵声は広範に見られました。私も「河野周辺」とか勝手に言われて閉口しました。私も河野太郎氏の行政改革等での手腕は高く評価しますが、エネルギー政策には強い疑問があります。
一方で、河野氏のキャラもあって反発は無いはずないと思いますが、それを彼女へのネガティブキャンペーンの直接の動機とするには飛躍と思います。なおアンケートでも彼女は原発の必要性は認めており、原発・反原発はネガティブキャンペーンの理由にはならないはずです。
(10)牧島かれん議員へのネガティブキャンペーンと比較
「河野シスターズ」の牧島かれん議員もLGBTに取組むなど上記⑤⑥⑦⑨は同じです。
しかし、牧島さんに対するネガティブキャンペーンは多少ありますが、えりさんとは規模が違います。アンチの「出自が理由ではない」という説明が本当なら、牧島さんも同規模でなければ、この説明は信じられません。
(11)態度にケチ、修正写真いじり
笑い話や冷やかしではなく、ネガティブキャンペーンで呆れたのが、音声聞いて「態度が悪い」とするもの。普通に勤務先の女性でもオフではこれぐらい言います。北九州のなまりで普通です。もう一つポスターの修正写真いじり。自民党の先生方だと自虐ネタで笑い飛ばしてウケをとるので、それぐらいの根性で頑張って欲しいです。
結局は帰化への反発と中共批判が消去法で残る
当初見られた帰化に対する罵声は一時鎮火しましたが、その後も二重国籍等のデマもあり、手を変え品を変えネガティブキャンペーンは選挙の最後までありました。結局は「帰化」が気に入らないという点と「中国共産党への嫌悪」の2つしか残りません。その内容はもう少し検証必要かもしれませんが、選挙も終わり彼女ももう少し来歴を詳しく語っても良いとは思います。
おわりに、彼女がバッシングを母親に愚痴っての励ましの一言が忘れられません。「こんなに自由な国で立候補できるなんて幸せ。」自由の重みを知る方の一言です。
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