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C-C-Bの職人魂 <キーボード:田口智治編>

コンサートツアー「TOUCH DOWN」のパンフレットの論説より
感想をつらつら書いています。

これまでの記事はこちら↓


今回は田口さん編。

どこでだったか忘れましたが、笠くんと田口さんが渡辺さんに
「お前ら楽器多すぎなんだよ!」みたいな事を、
言われていた事がありました。
確かに笠くんのドラムもどんどん増えて迫力ありましたが、
田口さんのずらっと並んだキーボード群も存在感抜群でした。

田口さんと言えば両サイドと奥にキーボードを積み上げて、
それをあっちこっち舞うように体の向きを変えて
プレイする姿が印象的ですね。
(この舞うようなプレイはマッチのバックバンド時代に
身についたのだろうか・・?)

こんなにたくさんキーボードを並べなくても
演奏できるシステムは当時すでにあったようですが、
このスタイルは田口さんのこだわりだったようです。

この頃はすでにMIDIキーボード?というものがあり、
他のシンセやパソコンなどの機材を繋げば
たくさんのキーボードを並べなくてもMIDIの鍵盤だけで
いろんな音色が奏でられたようです。

一応田口さんはMIDIも持っていたようですが、
基本的にはキーボード各々の鍵盤を弾いていたようですね。
それはこだわりと、うまくMIDIを使いこなせなかった(笑)の
両面があったようですが・・。

この論説の筆者によると、田口さんのこだわりとして、
田口さんが若かりし頃見聞きしていたシンセサイザーのプレイヤーが、
スターウォーズの宇宙船のコックピットみたいな、
大掛かりなシンセサイザーでプレイしていたのに憧れて、
無駄でも積み上げたい」という気持ちが
根付いたのではと語っています。

でもこのこだわりは、私はわからなくもないです。

私はかつて映像編集の仕事をしていましたが、
一番最初の会社のスタジオの機材は、
それこそ宇宙船のコックピットの様に、
横幅5メートル位の編集卓に光るボタンやレバー、フェーダーが並んでいて、
先輩方がそれを慣れた手つきで操作する姿はかっこ良かった。

次に転職した会社で使っていたものは、
パソコンベースでダイニングテーブルくらいの
スペースのものになりました。
コンパクトで便利になったけど派手なボタンも無くなり、
見た目的には味気なくなりました。

なので田口さんの無駄に積み上げたい気持ちはわかる。笑

とは言え、このたくさんのキーボードを使っていたのは
見た目にこだわっていただけではありません。

シンセサイザーはシモンズ同様、
その中で音を作り上げる事ができる機材です。

そのシンセによって音の特性があるようで、
詳しいことはわかりませんが、
この論説によると当時のシンセで主流だったDX-7はピアノ系の音で、
D50というキーボードはアナログっぽい音(ってどんなだ?)らしい。
(うーん、どの曲のどの音がどれを使った音なのか?
今度ライブ映像見て検証してみよう。)

笠くん編でも書きましたが、シモンズ(シンセドラム)然り、
おそらくキーボードシンセもサンプリングした音などを混ぜて
音色を作るのだと思いますが、田口さんが求める音色を
一台で演る方が難しいと感じていたようですね。
音色作りの上でも一台ずつ並べる必要性があったのだと思います。

田口さんは色んな音を聞きすぎて、
音色作りもエスカレートしていったとも語っていますね。

論説の筆者は「サウンド・グルメ」と称していますが、なるほど。

耳が肥えてしまったプレイヤーは、
ミシュラン獲得のシェフ、
はたまたこだわりのラーメン屋の大将の様に、
その微妙な味付けのさじ加減がわかっていたのでしょう。

なので、MIDIという機械でお手軽に発する音では満足できず、
機械任せでない自らの手で各々のキーボードの音を、
巧妙に重ねていくことで納得のいく音を作り出していた訳ですね。

また編集に例えてしまって恐縮ですが、
お手軽な映像編集ソフトに内蔵されているエフェクトでは、
ボタン一個押せばそれらしく見えるものができますが、
プロ仕様のものは、何個もエフェクトを重ねて
いい感じの映像を作り込みます。

それこそ最初の会社の巨大な編集システムの、
フェーダーやレバー操作はオペレーターの手の感覚が
反映されました。(オートでもできるけど)

田口さんが言ってる事もそういう感覚なのだろうな。

それが既成品っぽくない音となり、
プレイヤーの手仕事の息遣いは聴き手の無意識の領域にに届き、
田口イズム=C-C-Bイズムに繋がるのだろうと思います。

ちなみに演奏は手だけでなく、
足でもペダルの操作をしていたようですね。
田口さんも手足フルに使っていたんですねーー。



田口さんも今後の構想について語っていますが、
プログレの田口だけあり、
やはりプログレッシブな方向は意識していたようですね。
ただ、マニアックではなく、ポップなものをやりたかったようです。

ドラムにも興味を持っていたみたいですね。

そう言えば武道館ライブのMCで、
田口さんが最近笠くんのドラムを叩いたりしているという話を
渡辺さんがしていたなぁ。

音色作りの職人でありながら、演奏技術も一流。
そして編曲で音と音の組み立てもできてしまう田口さん。

中高生当時はガッツン(大ボケ)な人としか認識してなかったけど。
(田口さん、ごめんなさい)

ほんと、みんな(私もか)田口大先生を
もっと評価してあげて〜と思う。


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