彼からの連絡。ー私と彼のぐちゃぐちゃ物語ー

先週の水曜日の夜、なぜだかわからないけど私は明日「彼」から絶対連絡が来る。そう確信して眠りについた。

ほぼほぼ絶縁状態で、ラインも電話も拒否されているこの状況の中で、どう考えても今更彼から連絡が来ることは考えられないのに。

「一生連絡しないで」何度そう言われただろう。

私の好意には答えなかったくせに、いつも勝手に嫉妬して、怒って。

私には彼が何を考えているのかわからなかった。

そんなにおめでたい性格でもない私は、私の告白に答えなかった・スルーされた=性的欲求の対象ではあるけど、恋愛対象ではないのだろうと解釈をした。

苦しいものだ。好きな人に「人」として見てもらえず、まるで道具のように扱われることは。

私と彼は確かに繋がったのに、壁を超えることが出来なかったのだ。

一体彼の何が私は好きだったのか。

「俺のどこが好きなの?だって俺よりもかっこよくて金持っている男なんて沢山いるでしょ?」

そう彼に聞かれたとき、私は答えが思い浮かばなかった。

確かに何もわざわざこんなチャラ男(ましてや経験人数1000人と豪語するような)私の事を幸せにしてくれなさそうな人を好きにならなくてもいいだろう。

だけど、理屈じゃないのだ。

未だに一体彼の何がこんなにも私を惹きつけて止まないのか自分でもよくわからない。

ルックス?聞くとメロメロに溶かされる低い声?自分の事しか考えてなさそうで、実は誰よりも優しいところ?不器用で、34歳のくせして何だか少年みたいに馬鹿なところ?

そのどれもが好きだけど、でもどれもがしっくりする答えじゃない。

彼の後先考えない発言に何度私は傷ついただろう。翻弄されただろう。感情がぐちゃぐちゃにかき乱されただろうか。

いつもいつも、苦しくてたまらなかった。

好きでいる事をやめれるものなら早くやめたくてやめたくてたまらなかった。

けど、だけど、いくら傷つけられようが、好きの明確な理由が分からないであろうが、弄ばれようが、私は彼の事を傷つけたくなくって、「幸せにしてあげたい、一緒に幸せになりたい」そう思っていた。

それは、彼の消えることない痛みを聞いたからだろうか。

それとも自分が彼の優しさに救われたからだろうかー。

わからない。

今まで6人の方とお付き合いをしてきた。彼らもまたそれなりに苦しい過去を背負っていた。

だけど、私は一度も彼らに対して「幸せにしてあげたい」などとは思わなかった。むしろいつも自分が幸せにしてもらうことを考えていた。

彼らだって、私に色んな感情を与えてくれたし、辛いときは傍にいてくれたし、幾度となく彼らの優しさに救われてきた。

救われてきたからこそ、今日までどうにかこうにかギリギリ命を絶たずに生きていけている。

のに、なのに彼らに「幸せにしてあげたい」という感情がわかなかったのは、多分。

私が「恋」に落ちていなかったせいだろう。

恥ずかしいことに26歳、4半世紀と1歳にして生まれて初めて私は「恋」に落ちたのだ。

「なんで俺の事が好きなの?」その問いの答えは、

「恋に落ちたからだよ」きっとそれが正解だ。

恋は理屈じゃない。3次元じゃない。「恋に落ちる」と人は良く言うけど、まさにそうだ。あまりにも速やかに落ちたせいで、恋に落ちたことにすら気がつかなかった。

落ちた穴の先は光なのか、暗闇なのか。きっとそれは人それぞれだ。

私が落ちた恋はきっと光だ。

どれだけ嫌な事をされても、言われても、ムカついても、悲しくなっても、それでも何故だか彼の少年みたいな笑顔を思い出す。

その度に、私はいいようのない切なさとパワーと幸福感を感じるのだ。

3次元では幸せにしてくれない大好きな彼だけど、私にとって彼の存在自体がぽかぽかとしたお日様なのだ。

私の事をサンサンと照らしてくれる太陽なのだ。

彼の事を幸せにしたい理由は、彼の存在自体が私を幸せにしてくれるからだろう。だからきっと私もお返しをしたいのだー。

そんな愛してやまない彼から「明日絶対に連絡が来る」と思った翌日、木曜の夜にやっぱり連絡がきた。

「オレに電話して」「携帯壊れたかも」「15分後くらい」「今電車だから!」と。

相変わらず暗号みたいな意味不明な内容と、あたかも何事もなく毎日連絡とっていたかのような自然さだ。それらのことと、本当に自分の予感が当たったことで思わず笑いが出た。

そんな彼からの暗号を私はスルーしてお風呂に入り、ドライヤーをしていると追加のメッセージが来た。

「かからない?」

私は宇宙人にでも取りつかれているのだろうか。

なぜ、この人は私の事を散々無視しまくったくせに、自分が要望を出せばいつでも直ぐに電話をかけてくれると信じて疑わないのか。

かからないのではなくて、そもそも私は彼に電話をかけていないのだ。

余りにも人の事を都合よく扱っている事に腹が立ち、既読もつけずにスルーした。

これまでの私ならそんな事はせず、「大丈夫?」「今からかけるね」と優しく対応してあげただろう。だけど、流石にもうそんな事は出来なかった。

彼の事は今でも大好きだけど、確実に「過去」になりつつあったのだ。

スルーしたまま翌朝を迎えた。

携帯を開くと、朝の6時に彼から着信がありのお知らせが来ていた。

「なんだよ、携帯壊れてないじゃん。てか、朝の6時から何の用事?どうせ私が返信しないのが気になって電話したんでしょ。」

そんな事を思いながら昨日来た暗号のようなメッセージに恐る恐る既読をつけてあげ、彼からの久々の連絡の意味を紋々と考えた。

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①本当に携帯が壊れ、一番都合よく連絡くれそうな相手が私だった。

②私から連絡が来なくなったことが寂しくなって携帯が壊れた事を出しに電話させようとした。

③そもそも文章の感じから、期間を空けないような感じの内容なので新しくできた今カノと間違えて連絡している。

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本当は、昨日と同様無視し続けようとも思ったけど、朝の6時なんかに電話がかかってきたら流石に無視することが出来ず(悲しいくらいチョロい私)、段々と心配にもなってきたので③の案を採用し、

「誰に連絡してんの?」「意味わからない連絡してこないでください」

と、冷たく他人行儀に返信してあげた。

(てか、SMSすらも拒否してたくせに、解除したのかなんなのか普通にメッセージを送ることが出来た。)

そしたら、驚くことに10分後くらいに「開封しました」のマークがついていたので、私は直接話を聞こうと電話した。

相変わらず出てくれない。

「普通に電話かかったよ?」「色々意味が分からないし、無駄に傷つきたくないからもう着信拒否していいですか?それとも、何か私に用事がありました?」と追加でメッセージ送信。

もうめんどくさい。ようやくここまでメンタル回復したのに、また引きずられてたまるか。こんな気持ちだった。

すると彼はこう返してきた。

「なんだかんだ連絡くれるとこかわいいやん。」「どうすんの?また仲良くする?」「それとも拒否する?」

脱帽の一言だ。もう私の手には負えない。なんなのだ。お主の思考回路は一体どうなっている?なぜ、こうも上から目線なのか?というか、昨日の携帯壊れたの意味はなんなんだ。わけがわからない。

また感情をぐちゃぐちゃにかき回される。あまりにも腹が立ち、そこら辺のクッションを思いっきりぶん投げた。

そして私はこう返してあげた。「そんな上から目線で仲良くしたいと思う女の人がいると思う?」「Noよ」と。

そりゃそうだろう。さんざんにいたぶったくせして。返事を返してあげただけでも有難いと思え。

それから彼はメッセージを開封したみたいだが返事はなかった。

まあ、無視されるのなんていつものことだ。

耐え切れずに、友人にこの怪奇現象を報告してると彼から電話がかかってきた。

出てやるものか!26歳というナイーブの時期のレディに軽々しく電話してこないで。と、いうか本当に何の電話なのだ?

単純にもう恐怖である。

「仲良くする?」とはどういう意味なのだ?また都合のいい関係でいてくれってそういうこと?それとも、今度こそ友達として仲良くするということなのか?はたまた付き合おうの意味なのか?

彼の考えている事がわかるわけがない。

私が落ちた恋は光の中だと思ったけど、落ちた穴は蟻地獄だったんじゃないのかと思う程に私は混乱した。ぐるぐると彼の手中にいる気がした。

ー思えば、私と彼の関係はあまりにもいびつだった。

体の関係があるけど、(3回)付き合ってはいない。ということは、「セフレ」と捉えるのが一般的だとは思うけど、彼はセフレというと違うと否定したし、打診してくるくせにいざ彼の部屋に向かおうとすると「やっぱりいいや」と断られることが多々あった。いつもいつも振り回されていた。

彼といるときにお金を出したことは1度もないし、何か困ったことがあれば彼は話を聞いて慰めてくれた。髪を切ってかわいかったからとほっぺにキスされた。

よく電話したし、一緒にいて楽しかった。寝るときは一晩中腕枕をしてくれ、これでもかという程に暑苦しく抱きしめられて眠ったし、少しでも布団がずれたら、毎回布団をかけてくれたし、こっそり寝ている間に帰ろうとしても絶対に起きてきて送ってくれた。「俺、幸せ」そう呟かれたこともあった。家族の話もしてくれたし、冗談で「結婚する?」と聞かれたこともあった。

だけど、「好き」や「付き合ってほしい」と言われたことは1度もなかった。彼はもしかして既婚者、もしくは彼女持ちなのかと疑ったこともあった。

何れにせよ私は関係がはっきりしないことが苦しくてたまらなくなり、しびれを切らして彼に不器用な「好き」を伝えたのだ。

彼からは何も返ってこず華麗にスルーされた。

3回くらい返事を聞いてもその度に「また今度」と言われスルーされ続けた。悲しかった。傷ついた。そっか、やっぱりあの優しさも投げかけてくれた言葉も全部身体目当てだったのか。そう思った。

だけど、好きだった。好きで好きでたまらなかった。

でも同時に苦しくて苦しくてたまらなかった。

もう少しだけ待とう。そう思っているうちに彼が辛い状況になり、私は告白の事は保留にして彼を支えようと思った。彼のメンタルもだいぶ回復した事ががわかったとき、私はあまりにも苦しくなり、もう自分の気持ちすらもわからなくなった。

そして私はこっぴどく振られた苦い思い出のある元カレと会うことにしたのだ。

ー元カレと会って自分の気持ちがどうなのか確かめよう。それでも彼の事が好きだったら、もう辛くても気が済むまでは想い続けようと。

今思えばこの選択は致命的な間違いだった。

当時はある種のけじめのつもりだったけど、多分私は本当に本当にこの宙ぶらりんが苦しかったのだ。

元カレと会い、元カレの事はも好きじゃないと確信したし、向こうからももう想いはないと言われた。だけど、帰り際引き留められたときに断らなかったのは、そこに互いの感情はなくても、元カレは絶対に自分勝手な抱き方をしないことを知っていたからだ。

そして私は自分の傷を癒したくて元カレに抱かれるという罪を犯したのだ。

その時、奇しくも何故か彼から電話がかかってきてた。

いつもそうなのだ。何も言っていないのに、何故かいつもベストタイミング?で彼から電話がかかってくる。

その時は引っ越しをしたという報告の電話だった。

だけど私は電話に出ることはなかった。

翌朝、着信に気が付いて連絡し、元カレと会ったことも伝えた。

この時の私の心理としては、元カレと会ったけどやっぱりあなたの事が好きだったと伝えたくって、もう一回ちゃんと自分の気持ちを伝えたようと思っていたのである。(どんな告白の仕方やねん。)

何かを察した彼は直ぐに元カレと関係を持ったか聞いてきた。

私は嘘をつきたくなくて馬鹿正直にyesと答えた。別にyesと答えても、所詮私はその他大勢の都合のいい女の1人だから何の問題もないと思ってたし、むしろ笑ってくれるとさえ思っていた。

しかし、彼は、激怒したのだ。これでもかという程激怒された。

私は訳が分からなかった。何故セフレなのにそんなに怒られるのだろうかと。好きだといってもはぐらかし続けたくせに、自分の気持ちは何も言わなかったくせにー。

そこから私と彼の関係はもうドロドロの泥沼だった。

友達にもなれず、セフレでもなく、だけど互いが互いを切ることが出来ない関係だった。彼が関係を切ろうとすると私が引き留め、私が離れようとすると彼は絶対に私を離さなかった。

そんな関係にほとほと疲れ果て、私はもう全部終わりにしたいと彼に告げた。「もうどうしたら許されるのかわからない」と。そもそも、許すというのが何なのかが疑問だった。なぜ、付き合ってもないのに私は彼から許されないといけないのか。だけど大好きな彼がずっと怒っているのだからそう言うしかない。

彼は、私が気持ちを伝えた時は何も言ってくれなかったが、どうやら私の事を好きだと思うこともあったらしい。「仕事もそれだけ忙しいのに、元カレにもちゃんと全力で向き合っている私に心ひかれた」「奪われちゃったんだよ、私に心を」「好きだと言ってくれてたけど、元カレと別れたばかりだし、転職活動もあるだろうからゆっくり進めた方がいいと思ってタイミングを待ってた」そう言われた。

嬉しかった。悲しかった。死ぬ程後悔した。涙が止まらなかった。また感情がぐちゃぐちゃになった。心が、震えた。

いつもそうだ。いつもいつもそうだ。彼は私にこれまで経験した事ないような感情を与えてくる。

普段は適当な対応のくせに、支離滅裂なくせに、誰よりも私の欲しい言葉を言って心を引き留める。

嫌いだ。大嫌いだ。彼といると、「安定」の二文字なんてこの世に存在しないみたいに私の感情をこれでもかと揺るがしてくる。

何で元カレと一線を越えちゃったんだろう。自分の気持ちを信じてあげられなかったんだろう。せめて、嘘をつけばよかった。何で馬鹿正直に言っちゃったんだろう。なんて彼の事を傷つけちゃったんだろう。

ー彼の気持ちさえ聞けば私は苦しみから解放される。ー

私はそう思っていたのに、彼の気持ちを聞いて更に胸が苦しくなった。何よりも大好きな大好きな彼の事を自分が思いっきり傷つけてしまったことに胸が張り裂けそうなほど痛かった。「彼が傷ついた」その事実に私の心もグサグサとナイフで刺された。

失恋よりも痛かった。

1か月は泣き続けた気がする。

そして「もうどうしたら許されるのかわからない」と彼に言ったのだ。彼は「元カレの連絡先を教えろ」と言ってきた。「なんで」と聞くと、元カレと話をするからと。彼は、多分私が元カレと関係を持ったことが元カレに負けたと感じたのだろう。だからきっと、会って確かめたかったのだろう。

最初は断ったが、それで彼の気が済むなら、傷が癒えるならと決死の思いで元カレの連絡先を渡した。そもそも、私が元カレと連絡を取らなければこんなことは起きなかったし、せめて断ればよかったのだ。確かに元カレに振られたけど、だけどこの件に関しては元カレは何も悪くない。

私はただただ「最低な女」だった。

だけど、もう早く次に進みたかったのだ。

そして元カレの連絡先を送り、彼に電話したが彼は出なかった。

少したって、彼はLINEでこう言い放ったのである。「ごめん、ヤッてた」と。

前にもその言葉は聞いたことがある。彼の誕生日の3日後くらいに「何してたの」と何気なく聞いたのだ。その時に彼はこう言った「そりゃ、誕生日だからやりまくりだよ」と。ムカついた。めちゃくちゃ嫉妬した。だけど、まあ仕方ないか。私だって元カレと関係持ったし、付き合ってないからそんな事を言う権利はないだろうと。お互い様と水に流した。

だけど、今回は違う。

元カレを傷つけてまでも彼の要望に決死の思いで応えたのだ。

あまりにも酷い。耐えられなかった。何故ここまで傷つけられないといけないのか。彼にだって否はあるはずだ。なのに、どうして私はここまでの仕打ちをうけないといけないのか。

そこで私の中でなにかがぷつっと切れたのだ。

多分これは私に対しての復讐なのだろう。

だけどもう限界だった。あまりにも腹が立ち、LINEで怒りをぶちまけた。彼は私からの連絡を拒否した。

私は1週間近く何もできなくなった。

そして私は全てが馬鹿らしくなり、地元に帰ることにしたのだ。

何度も自分を責めて責めた。彼に対して怒りも湧いた。彼と私は縁がなかったのかもしれない。いや、むしろ強すぎるほどの縁があったのかもしれない。

ある時、仕事を辞めた事を親に話し、「出切れば続けてほしかったけど、仕方ないね」と言われたときに彼は怒った。

私は、保守的である私の両親がそう発言したのは至極いつもどうりな発言だったので、特に何とも思わなかったのに、彼は怒った。

そして、こう言ったのだ。

「俺が言ってやるよ。どれだけ私が激務な会社で大変な思いをしたか。そんな中2年以上も続けたんですよ。立派じゃないですか、凄いじゃないですか。そう言ってやるよ。」と。

親へのモヤモヤした思いを抱え続けていた私にとって、この言葉にどれ程救われただろう。嬉しかっただろう。彼に1度も親に対するモヤモヤを打ち明けた事はなかった。なのに、彼は私の代わりに怒ってくれ、力強い言葉をくれたのである。

幼いころからずっとずっと、味方がおらず孤独な思いをしてきた私についにたった一人の味方が現れたような気がした。彼はスーパーヒーローだった。ついに、私に光が射した気がした。

思えば人から裏切られ続けた私は、誰の事も信用してなかったし、期待もしてなかった。

なのに、ついに現れたスーパーヒーローがまさか好きで好きでたまらない彼だったなんて。こんなに幸せな事があっていいだろうか。信じられなかった。

きっと彼もそれなりに過酷な人生、いやかなり過酷な人生を送ってきたんだろう。

私も彼の事を救いたかった。幸せにしてあげたかった。

1度、私がどや顔で「どう?神でしょ?」なんてふざけていったとき、彼は「いや、女神でしょ」そう言いなおしてきたことがある。

彼が私のスーパーヒーローなのであれば、私は彼の女神でありたかった。はずなのに、私は女神どころか欲にまみれた堕天使だった。

傷つけられるのが怖い。人生がめちゃくちゃになるのが怖い。冷静な自分でいられなくなるのが怖い。

彼といると、私はめちゃくちゃだ。自分を1ミリも保てない。

だけど、それでも私は彼の事をどうしようもなく愛してる。ずっとずっと一緒にいたい、彼と結婚して彼の子供を産みたいと願う。

26歳、間違いなく結婚適齢期。

大好きな彼に結婚願望はない。だけど、私は彼と結婚したいのだ。

「彼じゃないと嫌だ!嫌だ!」と、私の駄々っ子が声を張り上げている。

だけど、もう前を向かなきゃ。どれだけ男女平等を叫ばれていても、男の若さと女の若さを比較すれば圧倒的に女の若さに軍配はあがる。もう彼の事は忘れるのだ。今なら、100点の幸せを掴めなくても、70点の幸せは掴めるか可能性はある。それでいいじゃないか。

切り替えよう。

福岡に帰って私は段々と現実に戻り始め、彼の事も半ば諦め素敵な思い出に出来るかもしれないと思い始めた矢先の連絡だった。

そんな私の内面の葛藤を全てぶち壊すようなふざけた文面。素直になれない私。

冷たく返事をした私はまた元カレの時みたいに選択を間違えたのだろうか。

わからない。だけど、言えることは私はきっと着信拒否をしないだろうし、心のどこかで彼が迎えに来てくれることも待ち望むだろうし、今日の事もまた選択を間違えたのかななんてこれからも迷い続けるだろう。

でも今はそれでいいのだ。

あんなに苦しかった宙ぶらりんが今は心地いいのだ。傍から見れば、私と彼の関係は最低でもう終わった関係だと一蹴されるかもしれない。

だけど私たちはなんやかんや細く細く、まるで蜘蛛の糸のように不安定な形で繋がっている気がするのだ。

例え3次元がどうであろうとも、私の彼に対する愛が消えることは一生ないだろうし、私の事を照らしてくれたようにサンサンと降り注ぐ明るい光で自分の人生も思いっきり照らしてほしいと願っている。

これからもきっと、私たちは黄金色に輝く、ゴミのようなぐちゃぐちゃなハートを描き続けるだろう。

それで、いいのだ。

愛してるよ。彼に幸あれ。




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