美容医療の物理④ 『パルス』
こんにちは🐼🤍
今回は機械の説明で必ず出てくるワード
「パルス」について書きたいと思います✎
恥ずかしながら自信ないながらに書いてます…
美容ナースの勉強ノートを見てる感じで見て頂けると嬉しいです🐼!
有識者様、もし誤りがございましたらご指摘頂けますと幸いです🙇🏼
パルス幅は「レーザー(光)の照射時間」
パルスとは
「①脈拍」「②ごく短い時間だけ流れる電流や電波」のことを言います。
脈拍数を略語でP(palus)と書きますよね。
この2つはなんとなくイメージが似てますね!
美容医療機械の領域では
主に「②短い時間だけ流れる電流」のことを指します。
つまりパルス幅は
「短い時間だけ流れる電流」の幅
▶︎電流の流れる時間ということになります。
パルス幅は「レーザー(光)の照射時間」を表します。
レーザーをゆっくり照射した場合と、素早く照射した場合だと皮膚に加わる影響が変わるのは想像できますよね💡
パルス照射と連続照射
1発、1発照射することを「パルス照射」とも呼びます。
また連続して照射することを「連続照射」とも呼びます。
イメージとしては、パルス照射は太鼓を1回1回叩く🥁
連続照射は息を吹き込み続ければ音がなり続けるリコーダー🪈といった感じです。
シミ治療や脱毛治療に使用するレーザーは主にパルス照射です。美容医療の機械はほとんどパルス照射です。
連続照射はスイッチを押し続けるとレーザーが照射され続けるものです。連続照射の機械にはホクロ除去に使う炭酸ガスレーザーなどがあります。
︎︎︎︎︎︎パルス幅が短いとピークパワーは強くなる
1パルスあたりのエネルギー総量が同じ場合
パルス幅が短い(照射時間が短い)とピークパワーは強くなります。
パルス幅が長い(照射時間が長い)とピークパワーは弱くなります。
下図を見て頂くと分かりやすいです↓
同じジュール数でも照射時間(パルス幅)が短いとピークパワーは強くなります。
機械によっては「パルス幅」を設定できるものもあります。看護師はパルス幅を変更することにより起きる皮膚への影響を把握しておく必要があります。
パルス幅の種類
パルスの時間を単位で表すと
秒→ミリ秒→マイクロ秒→ナノ秒→ピコ秒の順に1000分の1ずつ照射時間は短くなります。
ロングパルスと言われているミリ秒でも1000分の1秒と考えると「短っ!ロングじゃないやん!」という気持ち。(他のパルスと比較するとロングだけども🥹)
そして「1ピコ秒は1000億分の1秒」ってパワーワード過ぎる…
︎︎︎︎︎︎機械によるパルス幅の違い
実際に機械で考えてみると…
☑︎ショートパルスの治療
ショートパルスレーザーと呼ばれるものはピコ秒、ナノ秒レーザーです。
代表的な治療にシミ治療があります。
短い時間・強いパワーで照射ができるため、熱が広がりにくいという特徴があります。シミ周辺の皮膚へのダメージを最小限にしながら、シミを強いパワーで破壊できます。
☑︎ロングパルスの治療
ロングパルスレーザーはミリ秒レーザーが該当します。
代表的な治療では脱毛・赤み治療があります。
脱毛の場合は、毛の周辺組織で発毛組織である①毛乳頭②バルジ領域③毛母細胞を熱変性させないといけません。レーザーはメラニンのある毛に吸収されますが、毛だけ熱変性しても脱毛できません。毛の周辺にあるこの3つの発毛組織を熱変性することで脱毛できます。
シミ治療の場合は熱が広がらないショートパルスでしたが、脱毛の場合は熱が広がって毛周辺の発毛組織まで熱が伝わるロングパルスになります。
また赤み治療にもロングパルスが使用されます。
赤み治療のターゲットは余分な毛細血管の損傷です。毛細血管を損傷するには毛細血管の中を流れるヘモグロビンをターゲットにレーザーを照射します。赤血球は加熱され熱は周囲に広がり毛細血管を損傷します。
つまり、赤血球だけを破壊しても、赤血球周辺の毛細血管にまで熱が加わらなければ毛細血管は破壊できません。
熱が毛細血管まで伝わるにはじっくり熱が加わるロングパルスが有用となります。
短すぎる照射時間だと破壊したい毛細血管にまで熱が届かないということです。
実際に赤み治療で使用されるダイレーザー・IPL(フォトフェイシャル)の機械もロングパルスになります。
🔖 せっかくなので赤み治療をもう少し深掘りします…
赤み治療ではダイレーザー(Vビーム)が有名です。
先程のおさらいですが、毛細血管を損傷させるにはロングパルスが有用でしたね。
またヘモグロビンへの吸光度が高い波長は585nmです。(下図参照)
ダイレーザーはヘモグロビンの吸光度が高い585nmの波長かつ、ロングパルスなので赤み治療にバッチリだと思いますよね。
しかし波長が585nmと短いため皮膚の深くには届きにくくなります。ヘモグロビンへの吸光度が高い585nmの波長ですが、血管が深くにある場合はレーザーが届かない可能性もあるということです。その場合、ヘモグロビンの吸光度はダイレーザより劣りますが波長の長いロングパルスヤグレーザーが赤み治療で使用される場合もあります。
レーザー治療奥深いですね…🥹
代表的な治療を例に挙げましたが…
治療目的により機械のパルス幅は変わります。
ざっくりになりますが
▫️熱を広げたくない治療→ショートパルス
▫️熱を広げたい治療→ロングパルス
と覚えるとイメージ付きやすいかもしれないです💭
もっと深掘りすると…
ターゲットとなる、メラノソーム・毛包・血管とそれぞれ熱のこもりやすさ(熱の逃げやすさ)が違います。そこで出てくるのが「熱緩和時間」です。熱緩和時間も考慮してパルス幅は考えないといけません。パルス幅と熱緩和時間は密接に関係しています。
🐼熱緩和時間についてはまた投稿します!
「切れ味が良い」「歯切れが良い」🔪
シミ治療でこの表現たまに聞きます。
私が美容ナースになりたての22歳の頃、当時の医院長に「ルビーレーザーは歯切れが良いからね~」と言われ、当時の私は「歯切れ?どういうこと🥺?」と疑問に思いながらもそれを放置。笑
今考えると、ルビーレーザーの波長はメラニンの吸光度が高く、かつヘモグロビンの吸光度は低い為メラニンに選択的に吸収されやすいのでシミをスパット破壊できるよ~という意味でした。
パルス幅に関しても同じことが言え、パルス幅が短いとピークパワーも高くなる為、スパッと破壊できます。
この「切れ味が良い」「歯切れが良い」はパルス幅において度々登場する気がします💭
パルス幅はレーザー治療において重要
レーザー治療って複雑で単純にフルエンス(パワー)が高ければ破壊力が増して良い!という訳ではなく、波長やパルス幅など複雑に影響してくるなぁと思います。深いですね…!!
今回はレーザー治療で大切な「パルス幅」を書きました✎
「機械によるパルス幅の違い」を理解するにも皮膚の解剖も一緒に理解しておく必要がありますね🐼
解剖も一緒に復習しながら勉強すると良いですね✨️
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