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【中学受験】低学年からの通塾は必要か?

先日、お友だちから低学年からの通塾について質問されました。

今年受験生である長男が通塾開始したのは、1年生の3月から。とはいえ受験業界では受験が終了する2月から年次が切り替わるため、2年から入塾したことになります。

結論から言うと、低学年から入塾した長男は算数が好きで算数は得意科目になりました。
とはいえ、低学年から入塾したからかと言われれば、正直よくは分かりません。低学年から入塾する必要があるかと言われれば、基本的には「ない」と思っています。

ですがやはり当時の私と同じように、何かをさせていなければ心配という親御さんも多いかと思うので、参考までに低学年で通塾を検討する際に見るべきポイントや考え方についてまとめたいと思います。

ラストだけ有料記事にしていますが、大切なことは無料部分にすべて書いています。面白かったよ!と思って下さった方はぜひ有料部分も読んでくださると記事を書く励みになります。

1.どのような内容を扱っているか

先日、次男をとある小規模の塾の無料の体験授業に参加させました。親は授業を見学するところができない塾でしたが、テキストを見て驚きました。
2桁+2桁の計算や、1桁×1桁の掛け算がそこにはあったのです。もちろん、他の内容もありましたが、次男によると基礎計算の部分を時間をかけて教えてくれたというではありませんか。

あくまでもそれは体験授業だからであり、通常クラスはそんなことはないのかもしれませんが、中学受験塾といっても、低学年だと補習塾で扱うような内容を教えているところもあるのだと感じました。それならば、家庭でしっかり学習ができるなら、そもそも塾に通う必要はないのです。

1.どんな先生が教えているか

一方、長男が低学年から通い始めた塾では、低学年のうちからかなり高度な算数に触れることができました。

中にはチャレンジ問題として、バリバリ理系の夫ができない問題すらあったのです。見学をしていた夫がとても驚いていました。

「こんな問題、できる子いる?」と、思いましたが、いるんですよね。
大人が考えもつかない発想で答えに近づく子が。

今なら分かります。

そうした問題は、塾側は正解して欲しくて出していたわけでないのです。考えるプロセスを楽しんでもらうための仕掛けだったと。

長男が算数が好きになったのは、元々数字が好きだったということはもちろんあるにせよ、そうした先生の「仕掛け」にうまく乗っていけたという部分は大きい。そしてそれは低学年で担当してくださった先生の力量が素晴らしかったことが大きいと思っています。

先生がよくお話しされていたのは、「低学年に教えるのが一番難しい」ということ。

たしかに低学年であるほど、子どもたちは四方八方から好き勝手に発言します。空気なんか読んではくれません。
子どもたちを上手く取りこみ、いなし、その上で授業として成立させるのは相当な力量が必要になることはご理解いただけるのではないでしょうか。

とはいえ実際、塾業界は慢性的な人材不足で、優秀な先生が1.2年を見てくれるというのはなかなか難しい事情があります。

塾の体験授業を受け持つ先生と、実際に通常クラスを受け持つ先生が違う場合もあります。

仕方のないことですが、低学年ではテキストそのものの内容よりも、誰がそれを教えるかの方が大きく、なまじ中途半端なプロの先生に教わるくらいなら低学年のうちは子どもとの信頼関係のある親が教えた方が、よほど理解につながる可能性があります。

2.低学年からの通塾はあくまで頭の準備体操


実際に、塾には1年の初めから入塾しているのにずっと下のクラスに留まる子もいます。また、筑駒や開成を狙えるほどの学力のある子はまわりを見ていても3年や4年で入っている子が多いようにも思います。それはそもそも入塾するボリュームゾーンの学年ということもありますが、やはり早く勉強を始めればいいわけではないということを如実に示しているようにも思います。

あくまでも低学年の授業の内容とは、今後取り組む問題の序章に過ぎません。

メインとなる学年が始まった時に「あれ?何かこの問題、どこかで見たことがあるかも?」という、とっかかりをつけるためのもの。

言うなればこれから始まる受験の簡易版ダイジェストをざっと追体験する感じに近いと感じます。

3.親の目や人の目を気にしてしまう子は低学年からの通塾はシンドイかも


低学年から塾に通う子たちを見ていると、子どもたちの授業を受けるモチベーションはあくまでも「お母さん、お父さんに褒められる」ことにあるのだろうな、と思います。


低学年のうちは特に女子はその傾向が強いのか、授業中手を上げながら必ず後ろにいるお母さんを振り返る女の子が多い。

お母さん見て。私、頑張ってるでしょ?と言いたげに。

あてられて正解するとまた振り返り、ドヤ。
でも外れるとしゅんとなって、石のようになってしまうのです。

興味深いのは、私が見てきた中では、低学年ではこのように母を気にする男子はいなかったこと。男女の精神年齢の違いなのかもしれません。

男子というのは、外れても外れても懲りずに発言をし、手を挙げたそばから当てられてもないのに答えを口走る子が多かった。

はたで見ているお母さんは、この子大丈夫?と思うかもしれませんが、むしろ低学年で通塾するなら、それくらい元気でいい加減な方が安心です。

しかし、そんなやりたい放題な女子は見たことがないので、もしかすると女子と男子の低学年から通塾することの精神的負荷というのは少し違うのかもしれません。

男女関係なく、前述した女の子のように親の目や人の目を必要以上に気にしてしまう子や間違いを極端に恐れる子にとっては、むしろ低学年のうちは家でじっくり勉強した方がいいケースも多いのではないかと思います。

実際、低学年で塾で習うことというのは、市販の中学受験用のテキストで対応できますし、理系ではない大人も十分に教えることができる内容です。

中学受験に対応しているテキストとは以下のようなテキストです。

難易度は、最レベ>トップクラス>スーパーエリート
という順で考えていいと思います。スーパーエリートは、2年次でも1年のものが出来ないほど難しい内容です。

ちなみに国語は、漢字を知っていたり、読書をする習慣があれば、低学年のうちはテキストをやりこむ必要はそれほどないかなと思います。



もし、上にあげたものを子どもがやりたがらない場合は、こちらがおすすめです。10級は1年生相当、9級は2年生相当です。

このような問題集を、自宅で少しずつでも親と勉強ができるなら、低学年の通塾はスキップしても問題ないと思います。

ちなみに、これらもやらせるのがしんどければ、子どもと一緒に本屋さんに行って、子どもに好きな問題集を選んでもらうのもいいかもしれません。どのようなレベルのものであっても、何もやらないよりは自発的に何かをやれたらそれは素晴らしいことであって、子どもがチョイスするものに対しては肯定してあげるといいでしょう。

長男の塾では低学年のうちはおはじきや積み木を使って考えられるような、規則性や場合の数の導入のような問題が多かったので、具体物を使った上で家で教えた方が理解がスムーズかもと感じることも多々ありました。

4.塾によっては席を確保する必要がある

都心部のサピックスは年々入塾が低年齢化していて、長男のころは3年からなら入塾できたはずなのに、次男は校舎をまたいでも2年すら入塾できないかもしれないと知り愕然としました。

そのような塾では内容に関わらず、席を確保するために低学年から入塾するおうちが殆どです。

実際には、枠は少ないものの3年や4年からの募集もないわけではないようですが、ハードルは高くなると不安に思う親の心理により、月々1万やそこらで安心を買おうとする人たちが大挙する。

塾の作戦なのかは分かりませんが、非常にやっかいだと感じます。

なぜなら、低学年から席を確保しなければ入れないのはサピックスなど一部の塾だけであったとしても、王者であるサピックスがそんな感じだと、みなそこに追随せざるを得ないから。その結果、中学受験は長男の時よりも明らかに低年齢化しているように感じます。

3.4年の入りたい時に必ず入れるという安心があれば、こんな芋づる式に低年齢化する状況にはならないと思うのですが、塾側もはっきりとした数字を出さない辺りは、どこかしら不安を煽って早めに入塾させた方が儲かるという計算があるからなのかなと感じます。中学受験産業がビジネスである以上、仕方ない部分もあるかもしれません。いずれにしてもネギを背負ったカモになっていないかは常に省みる必要がありそうです。

5.低学年から効率的に学ぶことで、自由な表現力を阻む可能性もある

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