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それは自信か傲慢か?『虎に翼』と女性の自信問題

もうこのnoteではずっと『虎に翼』の話をしているような気がするのだが、それでもやっぱり『虎に翼』について書きたい。こんなに言いたいことがあふれてくるドラマもほかにないのだ。

朝ドラ『虎に翼』は、日本初の女性裁判官の人生をモデルに、猪爪寅子の人生を描いた物語である。5月末には男性陣がいなくなった猪爪家で「みんなそれぞれに柱となって支え合っていこう」という、大黒柱の否定をおこなったのち、司法の世界に復帰した寅子が、苦戦しつつ家庭裁判所の仕事をおこなう様が描かれてきた。とくにここ1〜2週間の『虎に翼』では、家庭裁判所の広報も兼ねてメディアに出たりと仕事に夢中になる一方で、家庭でのディスコミュニケーションに苦労する様子に焦点が当たった。

とくに先週、実話をもとにした、寅子が刺されかけたエピソードが放送された。離婚されそうになっていて困っている女性に対し、冷静な対応をする寅子は、自分の味方になってくれないのかと刃物を突きつけられる。

そうやって恵まれた場所から偉そうに……
あんたみたいなやつが一番腹立つのよ!

『虎に翼』73回

そして、職場でそんなことがあった前日、寅子は家庭での振る舞いについて弟や義姉から「娘のことを理解できていないのでは」という旨を指摘されていた。

寅子は職場でも家庭でも、傲慢さゆえの他人への配慮のなさをを指摘されるのだった。

ーーという展開で、寅子の「はて?」という誰にでも疑問を提示する勇敢さが、いつのまにか配慮できていない傲慢さに変わってしまった様子を描いている。


もちろんこの展開はまだまだ続いている問題だし、まだ解決していない話なのだが。それでも先週の展開を見ながらわたしが思いだしたのは、一冊の本だった。

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いつもありがとうございます。たくさん本を読んでたくさんいい文章をお届けできるよう精進します!