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馬鹿げた自分の行動

正直今でも彼が好きだ。

初めて好きになった人は自分より約20歳年上の男性だった。その人とは人間観や宗教観、好きな音楽とも一致していたし、エッチももちろん相性が良かった。ただ、この関係は声を大にして言えるモノでは無かった。彼には30年連れ添った相方さんが居たからだ。

最初のきっかけは、出会い系アプリ経由の彼からのメッセージだった。短い文面が好印象で、すぐに会う段となった。
会った時、恋に落ちるのはこのことかと思った。
顔も身体も性格も全部が素敵だった。実はこの時、自分にも付き合ってる人がいた。けれど、彼と会ってから、程なくしてその人とは別れてしまった。

その後、何度か逢瀬を重ねた。そして、2-3回目に彼から相方さんがいることを告げられた。なんとなく気付いていたし、少し傷ついて、躊躇う気持ちもあったが好きだった。離れたくなかった。

その後も関係を続けた。時々、彼から別れを切り出された。それでも、離れたくないと懇願した。

彼は私を彼と相方さんの住む家に連れていき、私を相方さんに紹介してくれた。どうやら相方さんには私との関係全部話をしていたようだ。
頭ハッピーセットな自分は彼といれるだけで喜んだ。彼、相方さん、彼の友人の中に入れてもらって一緒に旅行や食事に連れて行ってもらった。

この頃から、相方さんに激しく嫉妬し出した。その怒りは彼に向かった。その度に喧嘩になった。喧嘩の中で、彼から「相方は1番にならざるを得ない。君は2番だし、君以外とはセックスしていない。それの何が不満なのか?」と言われて、私は彼との連絡を絶った。

しかし、ダメだった。一ヶ月くらいしたら私から連絡して以前の状態に戻っていた。

そんなのを繰り返して3年経ったくらいに、相方さんが病になった。そこから彼は相方さんの看病につきっきりになった。「今は相方との時間を大切にしたい。」と言って、彼と会うことも無くなっていった。

相方さんが入院中、何度かお見舞いに行っていた。亡くなったと連絡を受けた日も深夜だったがタクシーで向かい、最後の別れを済ませた。動揺する彼を支えないとと思った。お葬式の段取りなども手伝って、彼が喪主として取り仕切った。彼の周りの友人は彼と私とのことを知っていたので、口々に「彼のことをよろしく。」と言っていた。

そのあとはしばらく彼と過ごした。彼は相方さんと訪れた場所を私と訪れたりしたり、相方さんとの家族とのことを話してくれた。

心が万力で締め付けられるような日々だった。

そして、それから1年経った。彼の家にはまだそこら中に相方さんとの写真や思い出が溢れていた。もちろん、自分の写真はどこにもない。そして、ようやく気づいた。自分はこの枠の中には入ることはできない、額縁みたいなモノなんだと。絵の主人公は彼とその相方さんであり続けるのだ。

そこで、ようやく別れに踏み切れることができた。
自分の愚かな行為で色々な人を傷つけたことに今更ながら後悔をしている。自分が馬鹿げた行動もしなければ、誰も傷つかなかった。

今でも彼のことは許せない。が、それでも好きなことは変わらない。

恋愛なんていうものは危なくて無意味のように思える。それでも、時に飛び込まなくてはならない気持ちになる。

自分は馬鹿なことをした。その懺悔としてこの文章を残しておきたい。

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