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#日記

つまらないのは、対象ではなく、自分自身だ

つまらないのは、対象ではなく、自分自身だ

この木を見て、あなたは何を思うだろう?

僕は、何を思わずに通り過ぎた。その時、僕は、明治神宮の宮司さんと一緒にいた。宮司さんがぽろっと言った。

「木が生えている時は、幹から緑は生まれない。ですが、切り倒されると、このように緑が芽生えてくる。本当に不思議ですよね」

その言葉を聞いて、急に今まではただの切り株だったが、生命の象徴のように感じた。

『インベスターZ』で、面白くない映画の途中で、映

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編集者は情報のDJであり、ソムリエでもある。

編集者とは、クリエーターをサポートする役割だ。それは、今も昔も変わりがない。

サポートとは、具体的に何を指すのか?

シンプルに言うと、作家の価値を最大化することだ。そして、価値を大きくするとは、影響力が大きくなるようにすることでもある。

昔はメディアが、影響力の拡大装置だった。なので、編集者は、社内で調整をして、そのメディアにクリエイターを載せるだけで、影響力を大きくすることができた。

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絵の具が変えた世界

絵の具が変えた世界

 僕は、今、コンテンツが大きく変化する時代だと感じている。それで先日、著作権の専門家と特に議題を決めずに話し合う時間をとった。その時、「絵の具」の話を聞いて、衝撃を受けた。

 絵を描こうと思ったら、今の人は何をするのか? YouTubeで検索をして描き方を教えている人の動画をみて、真似て描くだろう。それで、pixivに投稿するかもしれない。

 pixivで毎日、他の人の投稿を見ていて、それを

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新しい感情と孤独の関係について、または大人は本当に鈍感なのかについての考察

新しい感情と孤独の関係について、または大人は本当に鈍感なのかについての考察

『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE』という本を出してから、孤独というものについてより深く考えるようになった。

孤独とは、どういう感情で、どういう時に生まれるんだろうかと。

高校・大学の頃の僕は、自分がすごく孤独だと感じることが多かった。でも今は、一人でいても孤独だという気持ちになることはない。

子供であることと、大人であることに、孤独は関係しているのだろうか。

子供

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そこに想いはあるのか? 拙さの揺さぶる力

そこに想いはあるのか? 拙さの揺さぶる力

僕たちはメッセージを伝える時に、うまく伝えないといけないと思う。

しかし、メッセージが伝わるかどうかは、伝え方のうまさではなく、そこに想いがあるかどうかが一番重要だと実感させられる、ふたつの映画に出会った。

そのふたつの映画の中にあるメッセージは、拙い英語と拙い歌だったが、「心に届く」ものだった。

ひとつは、インド映画の『パットマン 5億人の女性を救った男』。

インドの小さな村で新婚生活を

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気合いではなく、仕組みで解決する。

気合いではなく、仕組みで解決する。

12月からずっと咳が止まらなくて、こんなに長期間、体調が悪くなったのは人生で始めてだった。

医者に相談すると、風邪はもう治ってると言われたんだけど、ずっと息が苦しいまま。いつも朝五時半とかに起きれていたのに、それも全くできなくなり、noteを更新する時間がなかなかとれなくなってしまった。

正月休みもどこにも行かずに寝て過ごしたのだけれども、それでも治らず、さすがに何が原因なのかを調べるために大

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伝えるために、「頭の中にある世界」の解像度を上げろ。

新人マンガ家と打ち合わせをする時の全てのアドバイスは、あることを目的としている。

作品世界に対する解像度をあげる。その気づきが増えるように、様々なアドバイスをする。

作品世界で起こっている出来事を、読者に魅力的に伝えるのが作家の仕事だ。作家が、作品の世界を誰よりも深く理解していないと、表面的で薄っぺらい物語になってしまう。

一流の作家は、自分の作品世界について、まるでその世界の住人のように詳

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みんなが僕に「ケアが足りない」と言う意味が、ようやくわかった。

みんなが僕に「ケアが足りない」と言う意味が、ようやくわかった。

昔から僕は、「人に対してケアが足りない。佐渡島は人に厳しい」とよく言われる。

でも、僕は僕なりに相手のことを誠実に思い、一生懸命ケアしているつもりだった。

このギャップは、一体どうして生まれるのか?

その長年の謎が、臨床心理学者の東畑さんの新刊『居るのはつらいよ』を読むことで、ようやく理解することができた。

この本は、「ケアとセラピーについての覚書」という副題がついているが、僕が他人に対し

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水をすくうのではなく、水を交換する

水をすくうのではなく、水を交換する

新しいコミュニティに参加した時に、あるアドバイスをされた。

「水をすくうのではなく、水を交換する」のだ、と。

シンプルな言葉だけど、この言葉は僕の胸に刺さった。この前開催したコルクラボのマンガ専科でも、この考え方で参加してほしいとお願いをした。

コミュニティにこれまで蓄積された知識や智恵が、大きな樽に水となって溜まっていたとする。

参加費を払ったからと言って、空のコップを持ち込み、樽から水

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「ヤバい」から「エモい」へ。言葉から浮かび上がる時代の変化

言葉は、集団の無意識が、現実に表出したものだ。ほとんどの流行り言葉は、水泡のようなもので、現れては消えていく。でも、一部の言葉は、社会がどのように変化しているのかを指し示してくれる。

数字の指標よりも、一つの言葉が雄弁に社会の変化を示唆することもある。

「ヤバい」も「エモい」も、僕は好きな言葉ではない。書き言葉では基本、使わないし、「エモい」は自分で言うこともほとんどない。

でも、コルクラボ

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