ボドゲルールの動機付け

この動画を見て思ったこと。至極当然のことなのですがあらためて。

まとめ
・ルールの制定者は様々な状況を想定できないといけないなぁ
・さらに言うと人の悪意に敏感でないといけないなぁ

以下本文
この動画で遊ばれている「DiXit」というボードゲーム、ルールを簡単に説明すると

1.プレイヤーに異なる絵の描かれたカードを複数枚配る
2.1名の親が手札の中から1枚を選び、それに描かれた絵にふさわしい言葉を言いながら裏にして場に出す
3.親以外のプレイヤー(子)は親の言った言葉に近しい絵が描かれたカードを手札から1枚選び裏にして場に出す
4.子には誰がどのカードを出したかをわからないようにカードを表にして場に出す
5.子は親から出されたカードはどれかを予想し1枚選ぶ
6.子の予想の正誤に合わせて親と子に得点を与える
7.親を変えて繰り返す

8.親が数巡し、ゲームが終了した時点で得点が最も高いプレイヤーが勝利

となります(間違っていなければ)。

では私は何がすごいと思ったのか。
このゲームの肝は、「子が親の言葉に近しい絵のカードを出して予想を困難にすること」です。したがって、各プレイヤーの手札にはまあまあの確率で似たような要素を持つカードが配られるようにデザインされていなければならず、必然的に1枚の絵に多数の要素を盛り込むことになります。

例えば動画2:47における3の絵には黄色いコインの入った袋と羽を天秤にかけている様子が描かれています。この絵から要素を抜き出すならば①天秤にかける ②黄色いコインの入った袋と羽を天秤にかける ③羽のほうが重い ④金貨のほうが軽い ⑤(羽とコインの入った袋という要素を無視した)質量の比較をしている ⑥天秤に物を載せる人は見えない ⑦暗い背景 ⑧右下からは明かりのようなものが漏れている といったところでしょうか。

「将来設計」というテーマに合わせて出されたので、自由を表す羽と実利を表す金貨を比較考量し(て自由をとっ)た状況、と推理できます。羽と金貨の比較なんていかにもですし、羽のほうに天秤が傾いている奇妙な状況も将来設計感を出すのに役立っています。

もちろん、このゲームの肝を殺さないようにデザインされたこれらの絵はとてもすごいです。しかし、長々と語りましたが私がすごいと思ったところは別にあります。

私がすごいと思ったところは得点関係のルールです。①親の出したカードが当てられた場合親と当てた人に3点 ②全員が正解した場合には親は0点 ③ほかの子から自分の出したカードが選ばれた子は選んだ人数分得点 この4つのルールで前述したゲームの肝が生かされ、面白いゲームになっているのだと思います。簡単に言うと、この4つのルールが制作者の想定した動きをする(ないしはしない)インセンティブをプレイヤーに与えているということです(至って極めて当然ではある)。繰り返しになりますが、このゲームの肝は「子が親の言葉に近しい絵のカードを出して予想を困難にすること」で、場には一定の同質性を持ったカードが出されなければなりません。

このゲームの構造上①の得点ルールは必然的に導出されるので、③と④の得点ルールがない場合を考えてみます(プレイヤーはみな勝利を目指して行動するものとする)。

②がない場合
親は1人でも子が正解すればいいので絵を具に説明するようになります。上記の天秤の絵ですと、「向かって左には羽が、右には金貨の入った袋が載った天秤です。背景は…」といったように、ほかの絵と混同されないようにより詳しく、より具体的に、より漏れのないように説明します。これを抑制するために字数制限を設けても、「金貨と羽」というように象徴的な要素をポンというだけで同じような状況に陥ります。したがって、③があることで親は抽象的な言葉でしか表せず、場には一定の同質性を持ったカードが並び、子の予想が困難になります。

③がない場合
子は自分の出したカードに誘導する必要はないので親のテーマに沿ったカードを出す必要もなく、むしろ親に得点を与えないために他の子全員と共同して全く関係のないカードを出すようになります。したがって、④があることで場には一定の同質性を持ったカードが並び、子の予想が困難になります。

力尽きたしまとめは最初に書いたので、いい感じの結論部分は書かないし校正もしない!後日気が向いたらしよ~~~

ゲームがいかに完成されていて面白そうでも友達は売り物でないをむすびの言葉として

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