8月に読んだ本

小説

優等生は探偵に向かない

 自由研究には向かない殺人の続編、がっつり前作絡んでいるので前作読んでから読むの推奨。
 前作だとなんとなくのキャラ像は描かれつつもそこまで深く掘られてなかった主人公について結構抉り出して書いている感じで良かった、相変わらず治安は悪い。
 終盤の後味の悪さも色々心に残るような感じで結構好き、個人的には前作より良かった。

私が大好きな小説家を殺すまで

 誰かにとっての神様になってしまった人と誰かを神様に仕立ててしまってしまった人の話。
 最後に破綻してしまうのは約束されてた話だったけど、幸せな日々は確かに存在したのだし救いはあった話なのかなって思います。

沈黙

 あまりにも重くて何度も読む手が止まりかけた、でも読むのをやめることは出来なかったし、最後まで読んで良かった作品だと思う。
 自分は何かしら人間には理解出来ない超常の存在が在る可能性自体は存在しうるとは思いつつ、それらの存在のことをそこまで信じていない無神論者であり、ましてや基督教で語られるような全知全能の存在なんてものはあり得ないと思っていますし、だからこそこの作品のことを全て受け止めて理解することは出来ないのだろうけど、神の沈黙の重さや不条理さというものは痛いほどに感じた。
 個人的にはキチジローの言った「俺は生れつき弱か。心の弱か者には、殉教さえできぬ。どうすればよか。ああ、なぜ、こげん世の中に俺は生れあわせたか」という言葉が痛いほど刺さった。
 今の時代はこの作品に描かれた時代に比べて、どこまでも生きやすく幸福な時代だろうけど、それでもこの悩みは現代においても普遍的なものであると思う。

ライトノベル

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金1~3

 沈黙があまりに重かったので合間合間にラノベとか漫画挟みまくって徐々に読んでいたんだけどその時に読んだ作品。
 あまり深いことを考えないで読み飛ばしていい感じに楽しめるライトノベルらしいライトノベルで良かった、独特なネーミングも普通の小説ならともかくライトノベルなら全然ありだと思う。
 とりあえず全巻買ったので読み切ろうと思う。個人的には初期の絵柄が好きなので8巻くらいからイラストレーターさんの描き方が割とがっつり変わっている感じなのが少し残念ではある。

竜殺しのブリュンヒルド

 おすすめされて読んだ作品。
 おすすめされたのだいぶ前ではあるけどそれは置いとく。
 救いが無いと言えば救いが無いけど、救われてしまった方が彼女にとっては惨い結末となったと思うのであるべき終わり方をしたって感じ、ハッピーエンドとは間違っても言えないけど読後感も悪くなくて結構好きな作品でした。

雪の名前はカレンシリーズ

 個人的に大当たりだった作品。
 独特な世界観の中で、あまりにも特異な境遇に置かれている主人公たちだけど、その悩みはある種ありふれたものであり、故に寄り添いやすいし彼らの結末がどうなるのか気になるようになっていて、割とすぐに読み終わってしまった。
 文章の雰囲気が好き。

イリヤの空、UFOの夏

 そろそろ夏が終わるということで読み直し。
 個人的にこの作品の一番好きなところは終わらせ方で、主人公がきっちりと夏にけじめをつけて自分で終わらせようとするところだったりする。
 ひと夏の物語を自分の手でちゃんと幕を引いて、日常へと戻る、非日常のことをいつまでも引きずり続けることなくちゃんと終わらせる。
 そこに浅羽という少年の確かな成長を感じられるのがとても好きなのだ。


漫画

ぐらんぶる

 恋のさや当てがメインになってきた感じ。
 面白いけど個人的にはギャグとダイビングもりもりの方が好き。

戦国妖狐

 沈黙を読んでいる合間合間に読み直して全巻再読した。
 千夜の悩みや成長に寄り添いながら物語が大きく展開していくのは読んでて小気味良いしとても楽しくてやっぱり大好きな作品だなと改めて感じた。
 万象王のつかみどころのないところが好き。

半神

 心情描写にしろ情景描写にしろ本当にえげつないくらい凄くてとてつもない満足感があった、とんでもなくすごい短編集。
 表題作である半神の心情描写は本当に圧巻のもので、あっという間に作品に引き込まれてしまった。

山口つばさ短編集 ヌードモデル

 ブルーピリオド読むかどうか悩んでいるタイミングで出たので読んでみたけど大当たりだったのでブルーピリオド買います。
 個人的にはおんなのこが特にヒットした、思春期の性への興味とか偏見とか未成熟ゆえの悪意とかがすごく鮮明に描かれていて素晴らしかった。

華奉公

 無料で読める、というか読んだことあるけどめちゃくちゃ好きな作品だったので電子で出ると聞いてすぐに買った。
 おまけ4コマもヒロインの強かさとかがいい感じに感じられて素晴らしかったです。
 日暮ずむさんの作品だと甘い葬送とかもめちゃくちゃ好き。


後記

 9月は龍ヶ嬢七々々の続きとかマチネとソワレ、あと実はまだ読んでなかったどろろとかも買ってきたのでそのあたり読みたいと思ってます。
 月とライカとかも途中で止まっちゃってたので星雲賞を機に一から読み直して全部読もうかと。
 小説も買って読んでないのが結構あるので、読みたい作品は尽きないなー、と。
 まずは映画に備えてマリアビートル読み直すのと、すずめの戸締りを読もうかな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?