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子供に魚の釣り方を教えよう~お年玉から始める投資教育 パート3~【イベントレポート】

皆さん、こんにちは。NVIC note編集チームです。
相場は大荒れの様相ですが、こんなときこそ投資との向き合い方、子供への伝え方を考えていただきたいと考えています。

というわけで、空気を読まずに、いつもどおりイベントレポートの続きをお送りします。

(パート1、パート2はこちら)


奥野:
皆さんこんにちは。農林中金バリューインベストメンツの奥野と申します。
田端さんお話しありがとうございました。すごく分かりやすくて、すっと入ってきました。

私が喋るといつもトゲが出ちゃうんですね。それでいつも敵を作っちゃうんですけど、今日田端さんのお話を聞いて、同じことを言ってもこんなに柔らかくいうことができるんだということを痛感しました。できるだけ柔らかく今日はいきたいなと思っています。

田端さんの話の中で、貯める・使う・譲る・増やす、この4つの貯金箱の話、とても重要です。お子さんにそもそもお金に馴染んでもらうという、その前段の所が重要なのかなと思っています。

僕が今からお話しすることというのは、その4つの中の「増やす」ところ、投資ということについて少しお話しさせて頂きたいと思います。

投資と投機の違い

投資って皆さんこういう風に思っていらっしゃいますよね。
たぶんほとんどの人が、投資っていうのは、いくつも画面を並べてわーと騒ぎながら売り買いして楽に儲けると。そういう風なイメージを持ってらっしゃると思います。
でも今日、ここうちのオフィスなんですけど誰一人としてそんな感じじゃないですよね。要はこの画面の中だけでやるのは、ハッキリ言うと投資ではなくトレードなんですね。投機に近い話だと思います。

投機と投資の違いって、実はこういう風に考えるととても分かりやすいと思っています。

もし皆さんが2,000万円で農地を買う時に何が一番気になりますか?
当たり前なんですけど、その農地からどれだけの収穫があがるのかっていうのが一番気になるはずですよね。この2,000万円で買った農地が3カ月後いくらになるんだろう、いくらで売れるんだろうなんて考える人なんていないですよね。

この農地から一体どれだけのものが取れるのかっていうことを考えるのが投資です。2,000万円で買って、天候とかにも色々左右されるので年によって違うと思うんですけど、例えば200万円の作物が取れれば、2,000万円の投資に対して10%のリターンですっていうのが投資なんですね。

これ農地の話だとみんなわかってもらえるんです。
でも、何故か株の場合はみんなこっちの話になっちゃうんですよね。極端な例だと買って3秒後いくらになっているのかみたいな話です。ほとんどの人達はこの株の値段が一体いくらになっているんだろう、誰が自分の買った値段よりも高い値段で買ってくれるんだろうっていうことばかり考えるんですよ。

株は企業の一部

でも本当のことを言うと、ここはちょっと重要な所なんですけど、株って企業が紡ぎ出してくる利益の持ち分なんですよ。株を持つということは、企業の利益の一部に対して持ち分を持つということなんですね。

さっきの話でいうと、その企業が上げてくる利益が一番重要ですということになります。農地からいくらのお米が取れるのか、野菜が取れるのかっていうのとこの話は全く一緒で、企業がどれだけ利益を出すのかということが一番重要になります。

市場で毎日付いている値段はそれを反映します。反映してはいるんですけど、市場参加者の気持ちとか他の色々な要素で、その時その時の値段は影響を受けます。でも実際に長期的にずっと利益が出てくれば株価は必ずその利益の大きさに付いていきます。

なので短期で売買しようとすると本当に博打になるんです。
誰が売ってるの、誰が買ってるの、トランプさんが何か言ったら下がったみたいな話になってしまいます。

でも、例えばNIKEを想像してもらうと、トランプさんが何かを言ったからといってNIKEの売上とか利益が変わるわけないですよね。だってトランプさんが何か言ったからって今日はちょっと走るのやめようかっていう人はいないわけですよ。

なので、実質的に考えると、企業の利益っていうのはその企業がどれくらい強いのかとかいうことに左右されるものであって、あんまり皆さんが気にされるような、タイミングがどうとか、今年は大統領選挙が、みたいな話っていうのはあまり関係がないということかと思っています。

オーナーとしての株式投資

そんなことなので、株を持つということは、企業の一部を持つ、企業のオーナーになるということなんです。この概念はとても重要です。長期投資の場合は特にそういうことになります。

それからもう一つ重要なのは、先程田端さんも「お金って感謝のしるしです」という風に仰ったと思うんですけれども、企業が儲ける利益というのが一体何なのかというと、それは社会の問題を解決した、例えばチョコレートを作っている会社であれば、そのチョコレートを食べて子供が喜んだ対価として利益が出るんです。

利益というとたくさん儲ける奴はずるい奴だみたいに思っている方がとりわけ日本人には多いのかもしれないんですけど、利益を上げるということは実は顧客の問題を解決しているということなんです。

先程のNIKEの例で言うと、今年の年初の駅伝とか見たらほとんどみんなピンクの靴履いてましたよね。ある調査によると85%がピンクのシューズだったらしいんですけど、あれはヴェイパーフライというNIKEの新しいシューズです。

以前は、マラソンや駅伝みたいな長距離を走る人には薄底がいいという考え方だったんですけど、実はそうじゃないんだと。底の所にカーボンプレートを入れて反発力とクッション性を高めたんですね。あれによってランナーはものすごく楽に走れるようになって、ものすごくタイムが縮んだんです。それを受けて全員があれを使い始めているということです。

この話でいうと、NIKEという会社は顧客であるアスリートの問題を解決したんですよ。その結果、NIKEという会社は、世界中で4兆円の売上があって、そのうちの5,000億円が利益になるということなんです。

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投資ってこの図の左側だけで切れてると自分が儲かって終わりっていう話なんですけど、実は社会とつながっているんです。

本当に良い会社、ここで言う良い会社というのは「利益を上げ続ける会社」というイメージですが、利益を上げ続ける会社というのは社会の問題を解決し続けているからこそ利益を上げ続けるんですよね。

そういう会社のオーナーになることができれば、それは投資によって自分が儲けるということももちろんあるんですが、実はその仕組みを使って社会を良くしているっていうことでもあるのです。この仕組みのことを資本主義と言います。近代最大の発明です。

これが本当は金融教育で一番教えなきゃいけないことなんですけど、残念ながら最初から「積立NISAとは?」とかテクニックの話にいきがちです。ああいう話では本当はないはずなんですよ。

僕らは資本主義の世界に生きているわけです。資本主義という仕組みをどういう風に使うのかということについて、本当は中学校とか高校生ぐらいの時から学ぶ必要があるんじゃないかなという風に思っています。思っているだけではしょうがないので、最近では僕らが高校に行ってそういう話をしているわけです。

(パート4につづく)