そうだ、哲学者に会いに行こう!「幸せになるお金の法則」~メイキング
皆さんこんにちは。NVIC note編集部の長原です。
前回に引き続き、再び登場です。
去る2月20日に哲学者の小川仁志さん、日経WOMANさんと一緒に「投資のプロと人気哲学者と一緒に考える! 幸せになるお金の法則」というイベントを開催しました。
「哲学と投資??」 今まで見たことのない組み合わせなので不思議に思われる方も多いのではないでしょうか?今回のnoteはこのイベントに至るまでの背景やきっかけ等のメイキングをお届けしたいと思います。
「何でみんな投資しないんだろう?」
私自身、NVICのブランディング担当として、「どうやったら長期投資のコンセプトが国内に浸透していくのか?」ということを常日頃考えています。テレビや映画を見たり、本を読むときでも何となく頭の片隅には「投資」のワードが張り付いていて、何かを見るたびに、「あ、これ投資に関係あるな?」とか「このアイデアは長期投資の浸透に活かせないかな?」とかぼんやりと考えることが習慣になっています(ぼんやりとしただけで終わってしまうことも多々ありますが……笑)
そのような中で気のせいでしょうか、世の中に「哲学」というキーワードが割とよく出てきているような気がします。
私自身は、山口周さんの「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?(光文社新書)」を読んで以来、「哲学」というものを意識するようになりました。本書の中でも「VUCA」(Volatility=不安定、Uncertainty=不確実、Complexity=複雑、Ambiguity=曖昧)という現状の環境の中で従来の「問題解決能力」は既にコモディティ化している。論理的に白黒つかない問題に対処するためには、最終的に個人の「美意識」に頼るしかなく、その美意識を育成するために(特に欧州エリートにおいては)哲学が重んじられているということが述べられています。
それ以降、山口さんの本はもとより(「武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50(KADOKAWA)」もおすすめです)、色々な哲学関連の本に目を通しています。
何となく混沌とした世の中のせいなのでしょうか?テレビでも「哲学」が取り上げられることが多くなってきたように感じます。「世界の哲学者に人生相談」(NHK)もお気に入りの番組の一つですね。
https://www.nhk.jp/p/tetsugaku-soudan/ts/K6KQ5G3VN5/
この番組は、様々な視聴者からの悩みを切り口に、ゲストの方の体験等も織り交ぜながら著名な哲学者達が問題を解決していくという構成になっています。「哲学」という一見とっつきにくいテーマも日常生活に落とし込んだ形で非常に分かりやすく解説されていますので、我が家では家族も一緒に楽しみながら見ています。最近シーズン3も始まりました。
前回のnoteで、「なぜ人は投資をはじめないのだろう?」ということを皆で議論したことがあり、その中で私は「欲望」が全てを決めるのではないかという仮説を持ったという話をさせて頂きました。CIOの奥野からは「投資ってやはり生き方、ライフスタイルそのものなんじゃないか?」という話題がありました。
奥野もアドラーの心理学で有名な岸見先生の本を読み漁り、哲学と投資の親和性について様々な仮説を持ち始めています。
奥野との話でフォーカスが当たったのは岸見先生の大ヒット著作「嫌われる勇気(ダイヤモンド社)」の一部分で、”人は常に「変わらない」という決心をしている”というくだりです。
アドラーの心理学ではライフスタイルは決して先天的に与えられたものではなく、自ら選び取るものだと考えています。よって自分で選んだものであるならば、再び選びなおすことが可能であり、もし変わることができないのであれば、それは自らに対して「変わらないという」決断を下しているに他ならない、ということが本書籍の中で述べられています。「変わりたい」と思ったとしても、現状維持を選択した方が楽ですし、安心であるということなんですね。
投資の話に置き換えるとどうなるでしょうか?
「何となく頭では老後の心配とか将来に向けての準備で投資の必要性が分かっているつもりだけど、投資の知識や経験がないから、なかなか一歩を踏み出せない。でも、投資を始められないのは、実は”知識や経験がない”ということよりも、”自分は投資をやらないんだ”と自ら決断を下していることのほうが大きく影響している?」
これは考えれば考えるほど禅問答のようなかたちになりそうですが、いずれにしても「投資」と「哲学」、何か面白い親和性がありそうです。
哲学者の小川さん
ある時お客様とお話ししているときに、「大学の同級生で哲学者をやっている面白い男がいて……」という話になりました。実はそれが「世界の哲学者に人生相談」に出ている小川仁志さんそのものだったのです。
「こんな偶然あるんだろうか……」と感動しながら早速、そのお客様に小川さんの紹介を頂くよう、ダメもとで頼んでみたところ、「あ、来週同窓会で丁度会うんだよね。話をしておくよ!」これまたなんという偶然なのでしょうか。後日、無事ご紹介を頂き、早速小川さんに連絡をさせていただきました。
恐らく物凄くお忙しい年末に関わらず、非常に暑苦しいメールを送ってしまった……そんな記憶がよみがえります。
自己紹介から始まり、長期厳選投資のコンセプトの話、投資教育等の取り組み、投資が浸透していないことに対する課題認識、「なぜ日本において本来的な投資が進まないのか?」という問いに対して「哲学」という概念でアプローチすることができないだろうかとの仮説云々、かなりの長文メールに対して小川さんは「投資を哲学してみる、非常に面白そうですね!是非お話ししましょう」という快い返信をくださいました。
早速アポイントを取り、年始に奥野と二人で小川さんのいる山口大学を訪ねました。
山口、実は今まで降り立ったことがない未開の土地であったため、若干不安を抱えながらも宇部空港からバスを乗り継ぎ山口大学に向かいました。
山口大学、予想以上に広大なキャンパスです。奥野と二人で不安そうにうろうろとしていると、それに気づいた大学職員の方が話かけくれて、無事小川さんのオフィスまでたどり着くことができました。
ドアをノックして入った瞬間、「あれ、まちがえたかな?」、そんな風に感じてしまうほどファンキーな部屋がそこにあったのです。
と同時にものすごくラフな格好をした人がたたずんでいました(失礼ながら一瞬大学教授には見えませんでした。。。)
小川さん自身もテレビでお見掛けする以上にフランクで気さくな方です。
お互い自己紹介を行う形で小川さんと奥野の双方の理解も進み、お互いの出身校である洛南高校の話も交えながら、かなり盛り上がる形で話が進んでいきます。「投資ということを“投資”という言葉を使わずに再定義していく、そんなプロジェクトにしていきたいですね」、そんな発言も小川さんから飛び出しました。
「来月一緒にイベントやりませんか?」「面白いですね!是非一緒にやりましょう」、なんとその場で2月20日のイベントが決定してしまいました……
「え!一ヵ月切ってるんですけど」、個人的には一瞬そんなことを考えながらも、山口大学から駅に向かう途中にすぐさま日経WOMANの編集者の方に連絡を取りました。「実は先ほど小川さんとお話しして、急遽哲学と投資を組み合わせたイベントをやることになったんですけど、日程も2月20日に決まってしまいまして……」、「え、2月20日ですか(絶句)」。日経WOMANさんはかなりびっくりしている模様です。
「”投資女子“という言葉を今年は流行らせたいですよね!」、日経WOMANさんとは今までも何かイベントを一緒に出来ないかという話を継続的にさせて頂いていたこともあり、最終的には編集長の了解も取り付け、何とか企画実施に漕ぎつくことができました。
以上様々な偶然が重なる中で、色々な方の協力を得てイベント開催に至ったわけですが、メイキングはそろそろここまでにして、次回からはいよいよ「投資のプロと人気哲学者と一緒に考える! 幸せになるお金の法則」、本編のスタートです。