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子供に魚の釣り方を教えよう~お年玉から始める投資教育 パート4~【イベントレポート】

生き方のパラダイムチェンジ

個人の生き方として考えてみると、オーナーになるということは一体どういうことなのかというと、人に働かせるということなんですね。日本人ってとかく自分が働くことにこだわりすぎていると思います。

確かに1960年代70年代、僕の父親であるとかおじいちゃんの時代っていうのはお金がなかったから自分で働くしかなかった。日本もまだ発展途上国でしたからね。

でも、いまや個人金融資産って2,000兆円近くあるんですよ。ものすごい金額を実は日本人は持っています。そんな中で自分で働くことはもちろん尊いんだけれども、人に働いてもらうっていう発想っていうのを持つ必要があるんじゃないかなと、先進国の国民として。もう先進国ですからこの国は。

これまでは人間の寿命って大体80歳で、80歳で死ぬことを前提に色んな仕組みが作られてきました。その時代っていうのは自分が働くだけで、働いて得られるお金だけでなんとか生活ができたのかもしれません。

ところが人生100年時代が現実味を帯びてくる中で、プラスでもう20年付いてくるわけですよ。本当は嫌なのかもしれないけれど、100年生きちゃうわけです。

その時に自分で働いて稼いだお金だけで生活していくのは物理的に無理な話かなという風に思っています。だからこそ人に働いてもらうという発想を持つ必要があります。パラダイムチェンジですね。

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もちろん自力で稼ぐのはものすごく重要です。しかも自力で稼ぐのは最もリスクがないです。自力でもっとたくさん稼ごうと思うと、ちょっとブラックな感じになりますけど、たくさん働くとか。

あとは転職だとか副業だとか、これから2つ3つの仕事を持っているというのが普通になる時代になってくると思います。とりわけ皆さんのお子様の時代にはそういう世界になってくると思います。その時に一番重要なのはやっぱり能力なんですよね。なのでその能力を身に付けるべく自分に投資をする。これも重要です。

もう一つ、人に働いてもらう。企業を保有して稼いでもらうという発想です。新聞やテレビに出てくるような優秀な経営者、例えば日本電産の永守さんという方がいます。もし日本電産の株を買ったら永守さんが部下になるということです。痛快ですよね。

例えばウォルト・ディズニー。皆さんお子さん連れてディズニーランドに行かれると思います。ディズニーランドに行くと入園料と食事でだいたい1人あたり1万数千円払うと思います。
ウォルト・ディズニーの株を買うと何が起こるかというと、ミッキーマウスがあなた達のために働いてくれるわけです。世界中のディズニーランドで踊りまくって稼いでくれるということです。この株を持てば、ディズニーランドが単なる消費の場所というだけではなくて、世界で一番有名なミッキーマウスというキャラクターがあなたの手下として稼いできてくれるようになります。

もっと言うと、例えばディズニーの経営者の年俸って20億円なんですね。20億円っていうのは年間250日で割ると1日当たり800万円です。1日当たり800万円ということは時給100万円なんですよね。皆さんのお子さんが高校生だとしてアルバイトしたら時給1,000円です。時給1,000円の人が時給100万円の人を使う唯一のやり方が、株式投資なんです。

こういう風に考えるとものすごい痛快ですよね。生き方が変わるんですよ。だから僕は別に自分のファンドがどうとか、この場ではそんなことを言う気は全然ないです。そんなことよりも株式投資をするということが、生き方そのものを変えるんだということをお伝えしたいと思っています。

貧困を遺伝させない

今日お伝えしたいのは、長期投資をしましょう、オーナーになる投資をしましょうということです。もう一つ重要なことというのがこの教育のきっかけ、先程から田端さんがずっと仰ってましたけど、親がお子さんと一緒にお金や教育について考えようという働きかけはすごく重要だと思っています。

これは田端さんが言うとものすごく柔らかい話になるんですけど、僕から言わせるとどういうことなのかというと、「貧困は遺伝する」ということです。嫌な言葉でしょ。

これは何を言いたいかというと、いまお金をどれだけ持っているかなんてそんなに大事じゃないんですよ。親がお金を持っているから子供もそれを受け継ぐことができるという単純な話じゃなくて、お金を持っている親というのは、人を働かせるという発想、パラダイムを既に持っているんですよ。

そのパラダイムを子供に移植すると、その子は「自分で主体的に働くこと」ができるようになる。「人に働かされる」世界ではなくなってくる。これこそが僕は重要だと思っていて、自分が持っているお金を子供に引き継ぐとか、そんなことをやったってどうせ税金で取られていくだけですから、たぶん子供のためにならないです。先程の田端さんの話で言うと、魚の釣り方を教えるんです。

NVICの投資

じゃあ一体どういう会社、あまり僕らがどういう会社がいいよということを大声で言うつもりはないんですけど、やはりどんな会社を買ったらいいんですかっていう疑問はあると思うので、僕たちの考え方をご紹介します。

まずは、付加価値が高い、簡単に言うと世の中にとって必要なんですかという点です。NIKEのシューズがなかったら運動できないですよね。部活が成り立たないわけです。

2つ目は圧倒的な競争優位性。何を言っているかというと、もうその会社の向こうを張って勝負できる人がいないという状態。例えばNIKEと同じ規模でちゃんとスポーツシューズのビジネスをできているのは世界中探してもadidasだけです。それぐらい強いかどうかということ。

3つ目は、長期的な潮流。誰しもが健康で長生きしたいですよね。これはもう太古の昔からある、人間の根本的なニーズです。人は単なるファッションじゃなくて、健康でいたいからNIKEの靴を履いて走るんです。

この3つを全部満たす企業のオーナーになれば売り買いなんかする必要はなくなります。それを僕達はこれまで13年間ずっと追求しています。どこまで追求したって、こうじゃないかなっていう仮説なんですけど、それを確かめるために2ヵ月に1回以上アメリカに行って、企業に行って話を聞いたり、工場見学させてもらったり、経営者に会ったりしています。

NIKEのケースで言うと、NIKEに行って話を聞くだけではNIKE側からの偏った話しか聞けません。だからドイツの片田舎にあるadidasまで行きます。そういうことをしながら、一つ一つ丁寧にネジを締めるように、仮説を確かめていくんですね。だから僕達がやっている投資っていうのは、皆さんが思っている画面を睨んでかちゃかちゃっていうんじゃなくて、ある意味「ものづくり」なんです。

投資は知の総合格闘技

こういう投資をやる時に、皆さんのお子さんへの教育的な発想で言うと、例えばadidasやNIKEに行きます、英語ができない人は絶対無理です。片言でもいいのでちゃんと英語で会話ができるようになるというのは絶対重要です。

数学、これはもう世界の共通言語です。日本人が誇っていいのは数学の教育レベルが圧倒的に高いということです。これを使って会計学というのが成り立っています。会計を知らないで企業を分析するというのは不可能です。ルールを知らないで麻雀をやるようなもので、その人はもう完全なカモですよね、という状態になります。数学はそういう意味で絶対重要です。

あとは経営者と話をするわけですよね。その時にオフィスで喋っている分には会計ができればある程度ちゃんと話せるんですけど、例えば飲みに行ったら仕事の話以外をすることもやっぱり重要なんです。その時に何が重要かというと、文化的な素養であるとか、日本の歴史について語れるかとか、京都の良さについて語れるかとか、そういうことができる人がエリートなんです。エリートという言葉を使うと日本人はすごくアレルギーがありますが、本当の意味でエリートにならないとグローバルに経営者と話をしたりできません。

英語、数学、歴史・・・いま皆さんの子供さんは、僕が子供の時もそうでしたけど、これらを単純に大学に行くために勉強しています。それは仕方がないと思います、今のところは。

ただそれがものすごく重要であるということが、後で振り返ってみた時に初めてわかります。それをやっとけば良かったなという風に思うことが起こります。たぶん50歳になって英語やっときゃ良かったって思ってももう遅いんです。そういうことをお子さんに伝えて頂きたいという風に思います。

このビジネスを見極めるっていうことをする時に、これを全部組み合わせた総合格闘技なんですよ。というのが、私が高校生たちにも申し上げている話なんですね。

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じゃあ投資家以外はこういう勉強をしなくていいのか。もちろんそんなことはありません。

例えばうちの会社で人を雇いたいなっていう時に、やっぱりビジネスのセンスがあるかないかって一番重要です。ビジネスがわかるということは、この3つだけじゃないですけど、全てにおいてある程度のものを持って、それらをちゃんと組み合わせながら仮説を作れるかどうかということが重要です。

例えばいま就活をしている人がいたとして、綺麗なエントリーシートが書けて、大学の時に何かサークルでやっていましたとか、本当に欲しいのはそういう話じゃないです。

就職して営業をやることになったとして、その時に自分の売っているその電化製品の話だけをしてものが売れるわけないですよね。じゃあ一体何をしなきゃいけないかというと自分が営業に行っているお客さんがどういう産業にいるのか、どういう問題があるのかとかっていうのを自分なりに考えて、そこのネジの緩んでいる所をきちっと締めて問題を解決してあげる。それができれば必ずものも売れます。

営業であろうが企画であろうが、会社で勤めるということは、そのビジネスのセンス、要はこういうことをちゃんと分かるかどうかということが最も重要です。もしこういうことが問題意識として持っている大学3年生がいたらもう即採用です。本質的に物事を考えるとそういうことです。リクルートスーツが綺麗がどうかは全然関係ないんだと思うんですね。というのが今日の言いたかったことです。

まとめ

投資をするってすごく遠い世界の話だと思われる方が多いかもしれませんが、実際はすごく身近なことです。投資というものを使うことで世の中も良くなっていける、それからその投資というものを実際に勉強する中で生きていくために必要なスキルを身に付けることができる。いいことづくめだと思います。

さっき2,000兆円ありますという風に言いましたが、実はそのうちの1,000兆円は銀行預金なんですよね。ほとんど何も生まないものに置いてあって、銀行員が、僕も銀行員なんてあまり悪く言うとあれですけど、銀行員がダブつかせているわけですよ。

この1,000兆円が投資されて仮に5%のリターンを生めば50兆円です。日本のGDPが500兆円ですから、それだけで随分かさ上げされるということです。個人にとっても、この国にとっても、真剣に「投資」というものを考えなきゃいけないと思っています。ということで僕の話は終わります。

ご清聴ありがとうございました。

(本シリーズ、終わり)