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完全母乳育児にしたいなら、産院選びも大切なんだね【3】

(「完全母乳育児にしたいなら、産院選びも大切なんだね【2】」の続きです)
時間授乳と、増え続ける規定量のミルクのプレッシャー。息子におっぱいを吸わせることを蔑ろにした結果、退院の頃にはおっぱいが張らなくなっていた…。

実は母乳よりミルク推しの病院だった

出産に関して、病院への不満はほとんどないし、感謝もしている。けれど母乳育児に関して、産院選びを失敗したと感じるのは、すべてここに尽きると思う。私が産んだ病院が「ミルク推し」の病院だと知ったのは、退院してから。やはり母乳育児がうまくいかず、悩んで相談したおっぱいケア専門の助産師さんから言われて初めて知ったのだ。病院としては、赤ちゃんの体重をしっかり増やして元気に退院させることがミッションなので、飲んだ量が明確で、確実に体重が増えるミルクを推しているという。もちろん母乳育児をしたい人の否定はしないし、母乳育児が軌道に乗るように目をかけてはくれる。けれど、もしも私が選んだのが母乳推しの病院だったら、指導もまた違っただろうし、こんなにモヤモヤしなくて済んだのかも…と思わなくもない。出産方法だけでなく、産後の方針ももっとよく確認して産院を決めればよかった。

退院後、病院にいた頃と同じように授乳をするも、まったく上手くいかなかった。相変わらず息子は寝たらなかなか起きないので、規定量のミルクを飲ませ切る途中でいつも寝てしまう。張らなくなったおっぱいはやはり分泌が減っていて、手で絞っても10ml程度。搾乳機も購入してみるが、結果は変わらず。おまけに吸われていない乳輪は分泌が始まった頃よりも硬くなっていて、息子もうまく咥えられないようだった。
「母乳を飲ませたい」「でも少ししか絞れない」「ミルクを飲ませ切れなくても、おっぱいを吸わせることに時間をかけたい」「でもミルクを蔑ろにして、この子を大きくできなかったらどうしよう」「2週間検診が怖い」
堂々巡りの横で、母乳育児をしっかりケアしてくれる産院で産んだ妹は、順調に完全母乳へ移行しようとしていた。この時期はもう辛くて辛くて。夜になる度に泣いていた。

自治体が勧めるおっぱいケアに救われる

悩んだ末、自治体が勧める母乳育児・おっぱいケア専門の助産院に相談することにした。その助産師さんに、私の選んだ産院がミルク推しの病院であること、2週間検診でも母乳育児のケアはなく、体重が増えているかの計測しかないことなどを教えてもらい愕然とした。ここで思い切って相談しなければ、完全母乳育児は諦めていたと思う。
その場でまず、おっぱいマッサージを施してもらい、硬くなった胸をほぐしてもらった。すると、手で絞ってまったく出なかった母乳が飛ぶように出始める。助産師さん曰く「母乳育児のポテンシャルがあってもケアできないことで「自分は母乳がでないんだ」と諦める人も多い」そう。おっぱいの咥えさせ方も教えてもらい、その場で5分ほど息子に吸わせて直母体重を測ると、なんと25gも増えていた。
その時、2週間検診までに飲ませなければいけないと病院で言われていたミルク量は60mlから80ml。しかし、毎回息子が飲み切れるのは40ml程度。「母乳育児にしたいのにミルク量をどんどん増やしていくことに違和感がある」と伝えると、「増やさなくていい」ときっぱり。「体重が減っているわけでも、排尿がないわけでもないから。2週間検診が怖いのなら、まずは赤ちゃんが飲み切れる40mlのミルクだけ母乳に増やしてあげたらいい」と言われ、やっと肩の荷が降りた気がした。
里帰り出産だったので、おっぱいケアを受けるにあたって自治体の助成は受けられなかった。少し費用もかかったけれど、それでも完全母乳育児にしたいなら、思い切って相談して良かったと思う。

1ヶ月検診前にミルク撤廃。完全母乳育児へ

その後、結局息子は2週間検診にひっかかった。1日の体重増加量30gを少し下回ったから。ミルクも増やせと言われたけれど、「完母にしたいから」と断った。別にいい、と思えるようになっていた。
次の1ヶ月検診までの間、柔らかい乳輪が咥えやすくなったのか、少しずつ食欲が出始めたのか、息子もおっぱいを吸えるようになっていき、それに従って母乳も出始めた。40mlを守っていたミルクも自然と「もういいや」と思って誰の指示もなく止めた。
「赤ちゃんには個人差がある」
よく聞くその言葉を、やっと大らかに受け止められるようになってから、育児に向き合う心もすっと軽くなったのだ。

いま、息子は生後3ヵ月。体重6kgに届こうという先週、初めて私の右乳に血豆を作った。お腹が空きすぎていると、吸い始めの時間が待てなくて「早く乳出せ!」と歯茎で乳首をぎゅうぎゅう噛んで、首をぶんぶん振って噛みちぎらんとする。あの寝てばかりで小さくて、病院で「飲みが浅い」と言われた息子が。まったく、心配させやがって。

自分の母親世代や経産婦さんが言う「そんなに神経質にならなくても、赤ちゃんは勝手に大きく育つわよ〜」は、辛い思いをしてあれこれ試した自分からすれば、半分「そうじゃない」と思いながらも、半分はやっぱり合っている。
私も里帰り先の実家で泣きながら朝ごはんを食べていた時、自分の母親に「今は辛いけど、いつか笑い話になるから」と言われた。その時は「気休め言わないで」と思ったけれど、今は実家とテレビ電話をしながら、息子に乳首を噛みちぎられそうになった話を笑いながらしている。
育児が楽しいと思えるようになって本当によかったけれど、一度もつまずくことなく母乳育児をスタートできればもっと良かったとも思うので、これから母乳で育てたい人、「母乳で育てたいけど私には無理かも」と思っている人も、私を反面教師に産院選びからこだわってほしい。万が一つまずいても、立ち直る方法もあるから大丈夫。

息子お昼寝中に、ここまで書ききれて良かった。

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