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アミノ酸スコアの計算方法①

Explanation of a calculation of an amino acid score, from Table 1 in Chapter 4 Page 24 of "Dietary protein quality evaluation in human nutrition - Report of an FAO Expert Consultation, 31 March - 2 April 2011, Auckland, New Zealand", FAO, 2013, Rome, Italy; ISBN: 9789251074176

アミノ酸スコアとは、たんぱく質の良し悪しを示す数値です。一般的には特定の管理栄養職に就いておいでの方、スポーツ栄養学に興味のある方はご存知かと思います(画像はhttps://www.freepik.com/ @macrovector氏より)。

先日、Health Nudgeにてアミノ酸スコアに関する話題を投稿しました。それにも記しましたように、2013年に従来から知られた計算方法を改訂する案が国連食糧機関(Food and Agriculture Organization; FAO)より公的な推奨として発表されました。

その計算方法をここに紹介したいと思います(引用される方、ご注意ください)。その計算方法の例はFAOの文書の第4章の表1(p24)と同様の内容です(最下部に添付済み)。日本語をあてて次の図表のように表わしてみました。計算方法について①~⑥にしたがって解説します。

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① この例では粉ミルク100グラムを扱っています。実際に考慮すべきアミノ酸は必須アミノ酸より9種(His, Ile, Leu, Lys, Sulfer Amino Acids, Aromatic Amino Acids, Thr, Trp, Val)に分けて考えますが、ここでは簡単な例として紹介するために4種のみ挙げています(原文どおり)。
② 各アミノ酸の回腸で吸収率です。この4種では90~95%という意味になります。各食品、各アミノ酸について同様の値が生理学的な研究により集められ、FAOを含め専門機関がその集積を進めており2011年の会議の分科会から発表されています。(日本独自のものが少ないために、この新たなアミノ酸スコアの計算の普及が進んでいないのかもしれません。)
③ それぞれのアミノ酸について、①と②の値を掛け合わせた数字になります。
④ ここで年齢ごとの参照値(推奨値)と照らし合わせることになります。これらは別途、生理学的に定められた数値です(FAOの文書のp29)。たんぱく質1グラムあたりに含まれるべき量で単位はmgです。
⑤ これらは③の数字を④の数字で割る割った値です。1より大きいと、吸収される量が参照値より多く、その特定の必須アミノ酸量がその食品のたんぱく質量から考えると多いものと解釈できます。
⑥ そして⑤の数字でもっとも少ない数字を、アミノ酸スコア(%)として考えます。

⑥の数字でもわかるよう、そしてHealth Nudgeでの投稿でも紹介したように、年齢、食品によっては100の値を超えることになります。吸収率も食品によって異なるので注意が必要です。吸収率について計算する食品に沿った数値を選ばなくてはならないのが難しいところでしょう。推定アルゴリズムやデータベースの構築が期待されます。

今回は1つの食品に関する計算方法を紹介しました。ご存知でなかった方、お役に立てば幸いです。標題を①としたのは複数の食品を同時に摂取する際の計算方法もFAOでは紹介されており、それについても紹介できたらと考えているからです*。

* 4月10日、別のNoteで公開しました。

次の表は今回の紹介に用いた原文のものになります。

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