見出し画像

アミノ酸スコアの計算方法②

Explanation of a calculation of an amino acid score, from Table 2 in Chapter 4 Page 25 of "Dietary protein quality evaluation in human nutrition - Report of an FAO Expert Consultation, 31 March - 2 April 2011, Auckland, New Zealand", FAO, 2013, Rome, Italy; ISBN: 9789251074176

2013年に国連食糧機関からアミノ酸スコアの計算方法が推奨され、その基本的な計算方法を先日、Noteに記しました(アミノ酸スコアの計算方法①)。先日の内容は食品1つに着目したアミノ酸スコアの計算方法でした。今回は複数の食品を一緒に食する際のアミノ酸スコアの計算方法を紹介します。前回と同様、管理栄養職に就いておいでの方、スポーツ栄養学に興味のある方のお役に立てば幸いです。万が一、引用される場合はご注意ください。

ここに紹介する計算方法の例はFAOの文書の第4章の表2(p25)と同様の内容です(最下部に添付済み)。FAOの文書に紹介された例では
・粉ミルク35グラム
・麦400グラム
・グリーンピース100グラム
を用いた食事を想定しています(粉ミルクはWhole milk powderのを略したものですが、赤ちゃん用のものなどではなく、スキムミルクのように溶かして使うタイプでしょうか。そしてオートミールのような調理を想像すればよいかと思います)。

さて、実際に考慮すべきアミノ酸は必須アミノ酸より9種(His, Ile, Leu, Lys, Sulfer Amino Acids, Aromatic Amino Acids, Thr, Trp, Val)に分けて考えますが、ここでは簡単な例として紹介するために4種のみを考慮しています(前回と同様)(原文どおり)。その紹介されている例に日本語をあてて2つの図表のように表わしてみました。計算方法について①~⑨にしたがって解説します。

画像1

 粉ミルク、麦、グリーンピースそれぞれのたんぱく質含量、そのたんぱく質に含まれるアミノ酸の量を示しています。
 各アミノ酸の回腸で吸収率です。この3つの食品の4種のアミノ酸について66~95%の吸収率のようです。前回、紹介しましたようにFAOの専門会員の分科会から参考資料が発表されています。
それぞれの食品の使用想定量から、それぞれのアミノ酸がどれほど吸収できるか示した数字です。粉ミルクであれば35gの使用を想定しているので
35 g  ×(28 g/100 g)×①のアミノ酸の数字 mg/g × ②のアミノ酸の数字を、それぞれのアミノ酸について算出します*。

画像2

④ ③で計算した数字をそれぞれの食品について並べたのみです。
⑤ ④の各列の数字を足した値になります。たんぱく質の総摂取量の推定、そしてそこから各アミノ酸がどれほど吸収されるか示しています。
⑥ そしえ各アミノ酸の吸収される量が、1グラムのたんぱく質からどれほどか計算します。リシンの場合は、75 gのたんぱく質から2,914 mg吸収されると推定できるので、1gのたんぱく質あたりとは2914 mg÷75 gから、38.9 mg/gというように計算できます。
⑦ ここで前回と同様、年齢ごとの参照値(推奨値)と照らし合わせることになります。これらは別途、生理学的に定められた数値です(FAOの文書のp29)。たんぱく質1gあたりに含まれるべき量で単位はmgです。
⑧ これらは⑥の数字を⑦の数字で割る割った値です。1より大きいと、吸収される量が参照値より多く、その特定の必須アミノ酸量だけ着目すると、その食品の組み合わせから得るたんぱく質から考えると質がよいと解釈できます。
⑨ 最後に⑧の数字でもっとも少ない数字を、アミノ酸スコア(%)として考えます。

前回と類似して食品の組み合わせ、摂取者の年齢、食品によっては100の値を超えることになります。今回の組み合わせの例では100を越えることはなかったので質はそれほど良くない、リシンの相対的な量がよろしくないという判断になります。

計算方法については以上です。2つの記事で紹介した内容は日本では一般への普及(栄養士の職場や食品会社)はまだのようで、実践に応用するのが当然となる日はまだ先と思います。とはいえ、これからの発展の準備、従来の計算方法の問題点の把握について等、(繰り返しになりますが)お役に立てば幸いです。以上です(考えたいことがまだありまして、まだ続くかもしれません・・)。

* 公開時、ここの記載が誤っており改めました。@SanRakuda さん、ご指摘、ありがとうございました。

原著で紹介されたTable 2は次のものになります。

画像4

画像3



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?