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入院徒然草#01 恐怖の記録いまむかし

入院生活2日目。あまりにやる事がないのでnoteを始めてみました。
(当方大腸憩室炎という病気で入院中の27歳女性です)

昨日の夕方看護師さんが部屋に来て、
「今日から1泊12歳の子がこの部屋に来ることになりました!夜寂しくて泣いちゃうかもしれないから、皆さん優しくしてあげて下さいね」とお話があった。

前提として私が今入院している病院は、入院患者の殆どが65歳以上の高齢者だそうなので、10代の患者はレアだ。

それもあって同室のお婆ちゃん達は皆嬉しそうで、
「〇〇先生顔怖いから泣いちゃったかな?」「夜泣いたらそーっとカーテン開けて笑ってやろうかな」「そりゃもっと泣いちゃうわ」
などと盛り上がっていた(お婆ちゃん同士かなり仲良いので私が入り込む余地無し笑)。
実際私も、お年寄りばかりの空間に小さい子が来てくれるのがとても嬉しく、ワクワク待っていた。

しかし、結局その子が男の子だったことが判明し、男部屋へ入室となってしまったのだ。
同室の皆さんも、な〜んだ とがっかりしていた。

❇︎

この一連のくだりで鮮明に思い出したのが、幼少期の入院の記憶である。

当時小学2年生だった私は、スキーで右足を骨折し、2週間ほど6人部屋に入院する事となった。
それまで親と一緒に寝た事しか無かった私にとって、1人ぼっちで、しかも知らない場所で寝ることは相当な恐怖体験で、毎晩人形を握りしめてビービー泣いていた。
厄介なことに私は静かにシクシク泣く事が出来ない子供だったので、同室の方々にとってはかなり睡眠妨害だったことだろう。

しかし、隣のお婆さんは毎日優しく声をかけてくれて、お煎餅を分けてくれた。
向かいのお姉さんも何かと話しかけてくれ、小2女子には完全にアウトな大人向け漫画雑誌を貸してくれた(『あなたの理想のエッチは〇〇タイプ』という内容の、画期的な別冊付録を鮮明に覚えてます。ありがとうお姉さん)。

当時のことを思い出す度、どんだけ迷惑なガキだったんだ…と反省していたが、実はそうでも無かったのかもしれない。
もちろん超絶迷惑には違いないのだが、どうしても平均年齢高めになりがちな病院に、小さい子供(私)が来て、明るい気持ちになったり、嬉しいと思って貰えていたのかもしれない。
そう思うとなんだかほっこりと温かい気持ちになったのだった。

❇︎


現在27歳の私にとって、さすがに病院で一人で寝ることは怖くも何ともないが、大人になった今だからこそ恐怖を覚えることもある。

今日の午前中、シャワー室の前を歩いていると赤ちゃんの泣き声のようなものが聞こえた。産科の病棟は1番離れた所にあるので、違和感を覚えよくよく聞いてみると、それはお婆さんの叫び声だった。

恐らく認知症のお婆さんを看護師さんが入浴させていて、お婆さんのヒィ〜ヒィ〜という悲鳴の合間に看護師さんの必死の声かけが聞こえた。

何だか聞いてはいけないものを聞いてしまった気がして、そそくそと部屋に戻り、気持ちを落ち着かせた。 

その後、先生からシャワー許可が降りたので私もめでたくシャワーを浴びられることになった。
しかし、看護師さんが気を利かせてバケツに足湯用のお湯を張ってくれたのだが、どうしても介護用の椅子に座る事が出来なかった。
洗ってあるし汚くないと頭では分かっているのに、脳内で今朝聞いたヒィ〜ヒィ〜という声が再生されて足がすくんでしまう。
結局申し訳ないがバケツの水はシャワー後の床の掃除に使わせて頂いた。 

他にも、お風呂に住んでいる虫が数匹壁をトコトコ歩いているのを目撃したり、年季の入ったお風呂マットを見るたびに、身体の底からゾゾゾ…と縮み上がるような恐怖を感じた。

きっと小学2年生の頃の私なら、何も考えずお風呂タイムを楽しめたことだろう。
今日の経験も、数十年後同室の方々と同じくらいの年齢になった時には、全く違う気持ちで受け止められるのかもしれない。

夫が外資系保険会社に転職して以来、やたらと口にする『長期的視点』の重要性。
数十年後の自分の身体の変化はなんとなく想像出来るが、シワシワになった自分が、どんな事を楽しく感じたり、怖いと感じているかはなかなか見通せそうにない。

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