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『頭の体操』と私

筆者は現在まで生き延びてきたけれども、幼少期に読んで大きな支えとなった本のシリーズを紹介したい。多湖輝(たご・あきら)『頭の体操』(光文社カッパ・ブックス)というパズル集である。全23集のうち、大半を持っていた。多湖輝先生といえば、ビデオゲーム・「レイトン教授シリーズ」のパズル監修のかたと言えばおわかりいただけるだろうか。残念ながら先生の他のご著書を未読なので、どのような思想の持ち主か詳細はわからない。だが本シリーズから推察する限り、独創性にあふれた方なのは間違いない。

筆者が本シリーズに出会ったのは小学一年生のときであった。『第一集』の「まえがき」にある著者の体験談が興味深く(詐欺師にカモられた類の話)、著者はそこから「自分の頭で考える」ような姿勢を身につけたらしい。「みんなが疑わないことを疑ってみること」「話を鵜呑みにしないこと」「斜め上から考えること」なども、筆者は本シリーズから学んだ気がする。というより収録されているパズルが、このような見方でもしない限り解けないのだ。考えてみれば、こういった独創的な姿勢は当時のヒッピー文化などに影響を受けていたのかもしれない。当時の筆者はそのような背景を知る由もなかったが、上記のような多湖先生の思考スタイルは、確実に筆者にインストールされたと思う。

筆者にとって、そこから「教育」という名の洗脳が本格化し、実際に蹂躙され、生き延びて現在に至る。押しつけられた教育が「洗脳」と同義であることに気づけたのも、筆者自身が様々なことを考えに考え続けた成果であろうと、自画自賛する。そしてそのバックボーンとなり得たのが本シリーズであった。

自分流を貫く、などと言うと格好をつけているように思われるだろうか。実際のところは満身創痍である。だが「ヘンなやつだ」「変わったやつだ」と言われ続けても、「そう思うのがヘンなのではないか?」と疑ってしまう。そして実際にそうであることも少なくない--筆者のような人間が強く生きるためには、本書のインストールが必須であることは間違いなかったであろう。皆様にも強くおすすめ致します。


私の拙い記事をご覧いただき、心より感謝申し上げます。コメントなどもいただけますと幸いです。これからも、さまざまな内容をアウトプットしてゆく所存です。どうぞよろしくお願いいたします。