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【取材】スマイルフードプロジェクトについて

新型コロナウイルス患者への対応で日々激務をこなしている医療従事者の皆さんへ無償のお弁当を届ける一流シェフたち

ースマイルフードプロジェクト事務局 フードジャーナリスト 佐々木ひろこさん

 新型コロナウイルス患者への対応で日々激務をこなしている医療従事者の皆さんを支援するために一流レストランのシェフの皆さんが特製弁当の差し入れをおこなっているプロジェクトがあるのをご存知ですか?

その名も「スマイルフードプロジェクト」

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 今回、スマイルフードプロジェクトの事務局、フードジャーナリスト 佐々木ひろこさんと5月初旬にお話をさせていただくことことができました。プロジェクトの内容やシェフ達の思いや、お弁当を届けている病院の状況などお伝えしたいと思います。

 「スマイルフードプロジェクト」

 スマイルフードプロジェクトは、4月6日フレンチの名店『シンシア』の石井真介シェフのSNS投稿をきっかけにその2日後にはプロジェクトとして発足し、4月13日からお弁当の配達をスタートしました。お話を伺った5月7日現在で感染症指定病院を中心にのべ26病院、3000食を届けたそうです。 


プロジェクト発足当時は2、3日に1回200食のペースでしたが、現在は午前、午後200食ずつ作り各病院へ届けています。

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「コロナ病棟にいると簡単に外に出られず、院内食堂も使えず、コンビニ食しか食べられない人も多いと聞く。そんな方々にはぜひ届けたい。ただ現場は欲しがっていても組織としてすぐに態勢が整わず、残念ながらお届けが難しいところもある。」中には届けられないこともあるそうです。


「料理人は普段のお店ではその場で反応が分かる、コミュニケーションを非常に大事にしているが、今回はお弁当。しかも現場の人は出てこれないしお互いの感染のリスクもあるので、病院の外で事務の方に受け渡しているので、食べている人の顔が見えないのがちょっと寂しいんです。」
食べた方から直接感想を聞ける機会があると嬉しいといいます。


「どういうものがありがたい、こんなものが足りないという希望があれば吸い上げたい。料理人はやる限りはもっと満足して欲しいというプロの想いを持って関わっています。今、お店で料理ができない辛い状況ですが、やっぱり料理をしていたい、喜んでくれる人がいるなら料理を作りたいと思っているんです。もちろん一番は医療現場の人を助けたいと思っているが、2番目には自分の作ってくれた料理で喜んでくれる人がいることがうれしいと思っているんです。だから自分が困っている状況でも自分の料理を欲している人がいるとやらずに居れない。」

「プロフェッショナル 」そんな言葉ではいい尽くせない想いを乗せたお弁当。それはまた私たち看護師や医師、多くのコメディカルもまた、プロとして目の前の命に向き合い、全力を出し合っている現場の皆さんをすごいパワーで癒していると確信しました。

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また、お湯を注ぐとお味噌汁になる味噌玉を付けたいと思ったが、「そんな時間もないので冷たくてもいいから液体の味噌汁にして欲しい」と言われて衝撃を受けたそうです。
それには私も驚きました。
実際、看護師は普段からご飯を放り込んですぐに戻るような時もあったり、逆にしっかり休憩が取れることもあったりその日その日で患者さんの状況が変わりますのでそれに対応した形で働いています。それに加え、現在PPE(個人防御具)も不足している状況で、なるべく脱ぎ着をしないように工夫していたり、感染エリアを分け関わっているので、PPEを脱ぎ着するだけでも時間がかかります。脱ぎ着する順番を守らなければ感染のリスクがあるので、そこは看護師もすごく気を使っています。
病院によってはマンパワーを「コロナ病棟」に集め、負担が集中しないようにしていて、休憩が取れやすくまた残業がないように工夫しているところもあります。病院によっても違いはあると思いますが、確かにそのお弁当をどのように食べているのか気になるところです。


5月7日現在で、募金も2200万を超えました。
募金は食材費、お弁当の容器代、光熱費、配送費、レターの印刷などに当てられるそうです。お弁当にはレターが毎日ついているそうです。レターにはスタッフが描いたお弁当とシェフのイラストがついています。


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和食、フレンチ、中華、アジアエスニック、モダンアメリカンと5種類のお弁当があるそうで、6月末までに2万食を医療機関に届けることを目標にしています。

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今回のプロジェクトは3つの団体、水産資源の未来を考えるトップシェフのグループ『一般社団法人 Chefs for the Blue(シェフス・フォー・ザ・ブルー)』、レストラン、ケータリングサービスを行っている『サイタブリア』、広告会社『NKB』が関わっており、これまで全員ボランティアで動いているそうです。

ープロジェクトのスピード感がすごいと思うのですが?

やりたい思いがみんなにあって、海外ではこのようなことをしているのは知っていて、3月の終わりごろにはそれぞれ思っていた。石井真介シェフがFacebookに投稿したタイミングに『サイタブリア』代表・石田聡氏が一緒にやりましょうとなって・・・いろんなプロが集まって作ったのでこのスピード感でできましたと話します。

重なった想いとタイミング、また人のつながりがこのような偉大なプロジェクトとなりました。

今回、このようなプロジェクトを知り、医療従事者の私たちからも「ありがとう、感謝を届けたい」と、佐々木さんとお話しさせていただき、純粋に強く思いました。

レストランが営業できないという自分たちも苦しい中、自分たちより医療従事者のためにそれでも行動する、皆さんに感動しました。
そして、実際に病院によって状況は様々で、影響のない病院や施設で働いている看護師もいます。「みんなが辛い中、何かできることがしたい」と同じ看護師として何かしたいと思い行動している看護師もいます。
実際に病院へ就職したり、率先し軽傷者患者受け入れ施設へ行っている看護師もいます。
新型コロナウイルス感染症の患者は受け入れずに、後方支援的に通常の患者の受け入れを行う病院、また院内感染でマンパワーが不足している病院、みんなそれぞれの場所で今頑張っています。

「ありがとう」
お互いの支援と気持ちを重ね、早くこの状況が落ち着きますように。

 落ち着いたら、ぜひプロジェクト参加シェフのレストランで看護師さんの食事会を開催したり何か楽しい企画をしたいと思います。また、実際にお弁当を食べた看護師さんの感想や、最前線の要望を少しでもお伝えしたいと思います。
オンラインサロン(facebook非公開グループ)にスマイルフードプロジェクトの紹介と、実際に食べたことのある方の感想や画像などを集められないでしょうか?もしこの記事を読んだ看護師さんの中で、このお弁当を食べたことのある看護師さんがいましたら、ご連絡をお待ちしています。


スマイルフードプロジェクト
(医療機関からの問い合わせ窓口あり)
https://smilefoodproject.com




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