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「おカネの切れ目が恋の始まり」最終回。人が突然いなくなることを考える(ネタバレあり)

毎週、楽しんでいた「おカネの切れ目が恋の始まり」が終わりました。三浦春馬さんの死去が原因で放送も危ぶまれましたが、全四話に再構成しての放送でした。

当方、おっさんですがTBSの火曜ドラマは好きな枠です。刑事や医師などのジャンルドラマ的な派手さはないですが、働く女子を主人公にして現代の価値観が出ていてリアルな感じが好ましい。

さて、このドラマ「カネ恋」1〜3話、心を閉ざしがちな玲子さん(松岡茉優)と彼女の生活にずかずかと介入していく猿渡くん(三浦春馬)たちの価値観がぶつかり、たがいにバランスがよくなっていくさまが見ていてホッコリします。コメディとして普通に面白いし、春馬さんも本当に生き生きと演じています。

1〜3話は春馬さんが生前に完全に撮り終わっていたのでしょうか。綻びも違和感もない脚本でした。

そして最終話。猿渡くんは出てきません。

3話のラスト、雷の鳴る中、猿渡くんは玲子さんに衝動的にキスしてしまうのですが(唇が一瞬、ぶつかるような可愛らしいキスです)それで気まずくなったのか、新たに居住先が見つかったのか、早朝に下宿先を出ていきます。

そしてプロットは玲子さんの話に。玲子さんはとある人物に会いに、伊豆まで行きます。猿渡くんが可愛がっていた猿彦(ペット型ロボット)を胸に抱きかかえて電車に乗ります。後輩の板垣くんもついてきますが、本来の脚本だと猿渡くんがついてくる予定だったのかなと考えてしまいます。

一方、猿渡くんの両親は下宿先におしかけ、部屋を物色します。そこで猿渡くんの子どもの頃のデッサンを見て、昔話をします。

そこにいない人の話を残された人たちが語りだす。ドラマのなかの猿渡くんのことなんだとわかってるのにね。すごく淋しくも悲しい、だけど優しい気分になりましたよ。

伊豆から帰ってきた夜、玲子さんは猿彦に語りかけます。猿渡くんが突然いなくなったことに、心配するじゃないかと腹が立つ。と言いつつも「どうしてか淋しいみたいです」「会いたいみたいです」と恋のはじまりを意識させるセリフ。

「つまり私はほころびを繕っているうちに、猿渡さんのことを……」ここで猿彦の充電が切れ、目をつぶります。「今日はとても長旅だったから、疲れましたね」優しく猿彦を撫で、抱っこする玲子さん。

翌朝、玲子さんが目覚めたタイミングで戸が開きます。戸を開けた人物が誰なのかはわかりません。玲子さんは立ち上がり、戸を開けた人物にむかって微笑みます。見ているぼくとしては「おかえり、猿渡くん」とでも言って安心させてほしかったのですが、それはそれで野暮な演出でしょう。玲子さんの微笑みでドラマは幕をおろします。

1〜3話は終始、春馬さんが生き生きと演技していました。亡くなったことを忘れてしまうほどに、コメディとして楽しみ、春馬さんが出るシーンで笑っていました。だけどなんでしょう。終始、不在を意識する淋しい最終話となりました。

もうね、役者さんたちが淋しそうだけど、穏やかな表情をしてるんですよね。どんな気持ちでこの最終話を演じきったのだろうかと考えてしまいます。

なんかけっこうグチャグチャな文章で、まとまっていません。なにが言いたいのか自分でもよくわかりません。すごく印象的な最終話でしたが、やっぱり全10話で見たかったし、春馬さんにも生きていてほしかったです。

素晴らしいドラマでした。スタッフ一同に感謝します。そして三浦春馬さんのご冥福をお祈りします。


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