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好きな本を7日間で振り返る。5

五日目
高校から大学にかけて
哲学書を読み漁った時期があります。
様々な人の本を読みました。
最も影響を受けたのは、ニーチェとソクラテスの二名です。
相反するような思想の二人ですが、
この相反する力のせめぎあいが私の作品の核を支えているのではないか、と思います。
とくにニーチェは私に、既存の価値観と徹底的に戦うことを教えてくれました。
道徳というものを復讐と捉えた彼の凄みは察するにあまりあります。
弱い人は偉い、という感覚ではない。
強い人は強いのだ。そして、強さとは肉体だとか金銭のことではない。
このなんの価値もない世界、自分に対して、無条件にイエスと言える人間こそが強いのだ。
と率直に彼は語ります。
そしてニーチェの思想を学んだとき、
世界、自分を取り巻く環境というものについて考える機会を得ました。
なにがどうで、こうだから気に入らない。ということは書きません。
様々な人がさまざまなことを考えて良いのです。
そしてニーチェが繋いでくれた出会いがありました。
それこそが今回ご紹介する哲人。
アルトゥル・ショーペンハウアーです。
彼はニーチェに強い影響を与えた人物です。
ニーチェに影響を与えた人の本なら、是非とも読んでみたい。
ニーチェが紹介してくれているに違いない。
本がもたらす出会いを信じるのだ。
ニーチェは無価値な世界に無条件でイエスといえる人が強い。と言いました。
対してショーペンハウアーは「生きることは苦である。この苦を逃れるには諦めるということをするほかにない。」
という極端な主張をしました。
恐ろしく後ろ向きな思考です。生きることは最悪だ、と主張したのですから。
これらの現代の価値観で見れば、後ろ向きな主張のことを「ペシミズム」と言います。
ショーペンハウアーは紛れもない「ペシミスト」でした。
なにせ、人の最大の幸福は生まれてこないことだ、とまで言い切ります。
ここまで来るともう爽快です。
ただ、彼なりの「生きる」という最悪なことについての解決策は仏教的な悟りでした。
実は彼は仏教に強い影響を受けていたのです。
1800年代のドイツの哲学者が仏教に傾倒していたという事実に驚きを隠せませんでした。
私の作品はポジティブな作品が多いといわれます。
しかし私は紛れもなくペシミストです。
ペシミストであるが故に、誰よりも生きることを強く肯定できるのです。
少なくとも私はそうあろうとしています。
正直なところ、ショーペンハウアーを読んでも、ニーチェを読んでも、
サラリーをもらう上で、助けになることはまずありません。
しかし、そこで読んだ一冊は決して無駄にはなりません。
私は哲人、文豪たちの本を読んで、無駄だと思ったことはありません。
一つ一つがエッセンスとして私を支えているのです。
私は本を読むということを人生に例えることもあります。
そうならば、人生において無駄なことは何一つないと言えましょう。
恐れることはない。大きく歩こう。

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