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赤ワインの「常温」の「常識」〜なぜワインにとって温度が重要なのか?〜


「ワインは生鮮飲料である」


と、はっきり明言してしまう某有名ソムリエがいるほど、ワインの品質にとって管理環境下の温度というものは非常に重要です。


「ワインは生鮮品として扱え!」
と、主張する神経質なソムリエも実際にいて、少し置きっ放しにしてしまったくらいで「ワインが腐る!」と。


「それは少し言い過ぎでは?」と聞こえるかもしれませんが、これは決して大幅に間違っていないのです。


たとえばこう想像してみると、少しイメージがわくかもしれません。


中が見えないボトルの内部では、ワインは刻々と非常に複雑な化学変化を起こしつづけているまさに真っ最中です。


この状況をふまえてみれば、そのときの保存温度というものがどれだけこの微妙な化学変化に影響をおよぼすか、ということはそこまで想像に難くありません。


さらに細かい品質についていえば、適さない温度で保管されたワインはその温度による劣化で、頭痛がしやすくなったり、二日酔いになりやすくなったりするそうです。


ですから、これは無視できません。


1. 意識の高い酒屋は肌寒い

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ワインの保管に適した理想の温度は一般的に、年間を通じて12から15℃、といわれています。


いっぽう人が過ごしやすい温度はというと、大体25℃前後。


ワインの理想的な温度は、人にとっては少し肌寒いと感じる温度ということになります。


お酒の保管温度に対して意識が高い酒屋さんは、お客様よりも陳列しているお酒達の方を優先した室温設定にしてあります。



陳列している間の保存状態にも気を使っているからです。「良い酒屋さんは肌寒い」という法則はここからきているのでしょう。



私がワインの勉強中、大変お世話になった近所の酒屋さんの店内は正直寒かったですし、その酒屋さんの店主は真夏でも店ではジャンパーを着て仕事をされていました。


とにかくワインに対して、のある方でした。


2. 戸棚にしまいっぱなしのワインは、「熟成」しない

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よく、


「このワイン、ずいぶんしまいっぱなしになっていたから結構熟成しちゃってるんじゃない?」


とか、


「物置から発掘されたこのワインは、かなり熟成されててきっと神秘的な味になっているにちがいない!」



間違いなく神秘的な味がするでしょうが、いわゆる熟成された味とは違うものでしょう。


歴史的にも最初は「たまたま放置されていたワインが美味しくなっていた」というのがワインの熟成の起源です。



ですが、それは偶然にも奇跡的に完璧な保存環境(温度や湿度など)がそろっていたがゆえに、その結果としてワインが理想的な熟成を経た、というのがのちのち解明されたということ。これが重要です。



「そんなに都合よく熟成するわけないだろう」
ということです。



熟成によって生まれる価値とは、長い時間と愛情をもって産み出される何よりも得難いなのです。


3. 赤ワインは少し冷やして飲むと美味しい

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「白ワインはよく冷やしてから、赤ワインは常温で飲む事をおすすめします」



これはよく見かける有名な台詞なのですが、この常温というものをまずは勘違いしてはいけません。



この常温とは、平均気温の低いフランスの常温だからです。



ですから、実際の温度でいうと大体14から16℃くらい。少しひんやりしているくらいです。



なぜ冒頭の台詞で「白ワインはよく冷やして〜」と温度の勧めをしているのかというと、ワインの味わいは飲む時の温度によってその感じ方が変わるからです。



もし温度が高ければ、甘さは膨らみ、酸味は減ります。


もし温度が低くければ、今度は甘さが萎み、酸味が増えます。


そのワインが勧める適正な温度とは、そのワインの味わいを最大限に楽しむためのバランスを教えてくれているのです。



ばっちりバランスの取れたワインの味わいは、カメラのピントがあったかのように、はっきりとその潜在的な魅力まで感じることができます。



普段飲まれているワインも、もし適正な温度で飲んだことがなかったすれば、温度を適正にして飲んだときその違いにびっくりするかもしれません。


ぜひ「温度」というものを、ワインを楽しむ上でのキーワードの一つとして胸におさめていただけばと思います😊



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