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『僕が僕をやめる日』松村 涼哉

🙃あらすじ🙃
「死ぬくらいなら、僕にならない?」生きることに絶望した立井潤貴は、自殺寸前で彼に救われ、それ以来“高木健介”として生きるように。それは誰も知らない、二人だけの秘密だった。2年後、ある殺人事件が起きるまでは…。高木として殺人容疑をかけられ窮地に追い込まれた立井は、失踪した高木の行方を追う。自分に名前をくれた人は、殺人鬼かもしれない―。葛藤のなか立井はやがて、封印された悲劇、少年時代の壮絶な過去、そして現在の高木の驚愕の計画に辿り着く。─本書のあらすじより

🙃感想🙃
心臓が高鳴る。
立井と高木の行く末を最後まで見守る。
本書は読む毎に濃度を増し衝撃のラストへと向かいます。
物語を語り合い、紡ぐ日々。
入れ替わった二人は幸せそうだった。
高木が疾走するまでは。
立井は高木の過去を辿り寄せ真実に辿り着きます。
どれだけ心を痛めただろう…
そして苦悩しただろう…
まさか自分と繋がっていたなんて。
高木は立井の命の恩人です。
豊かな経験と生活を与えてくれた。
でもそれは全て陥れる計画だった。
こんな事(高木の罪を被ること)になってまで、それでも高木を恩人と呼べるだろうか…?
立井が背負わされたものは救済への代償と捉えるべきなのだろうか。
ラストには納得がいかない自分がいます🙁

King Gnuの「The hole」の曲が頭の中に流れてくる。
何だかこの曲にピッタリ。

また、私が私である事を証明する時、何も無かったら私はどうすればいいのだろう。
本書で初めて無戸籍児の存在を知りました。
父親からのDVを逃れるために、あえて出生届けを出さなければ、法律上その赤ん坊の父親にはなれない。
その代わりその子はこの世に存在しない事になります。
病院に行けない。
学校にも行けない。
何も知らないまま鬼畜(親)の言いなりになって生きていく。
高木と真衣の孤独はきっと私達には計り知れないものだと思います。
世界から忘れられた真衣の結末は悲しく、高木の結末はなんとも言えないものになりました。
ラノベですが、かなり読み応えのある作品でした🙂

p150世界から忘れられた孤独な魂が出会い、そして彼らにしか伝わらない感情で響きあった。

P206世界から忘れられた僕たちも、人間に昇華させる記号→自分の名前を指す

『僕が僕をやめる日』松村 涼哉



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