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『ふがいない僕は空を見た』窪美澄

🌞あらすじ☁️
高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。─本書あらすじより



🌞感想☁️
うーん…感想を書くのが難しい…。
人間、いや、全ての命あるものは、いつか亡くなる。
この世に生まれる前から命絶えた者もいれば、いま、まさに天寿を全うし息絶える者もいるだろう。
前者の短さを、後者の長さを、説明できる者は誰もいない。
前者の場合、生きる「意味」を、そもそも生まれてきた「意味」を誰か教えてほしい。
こればかりは神のみぞ知ることなのだろうが、生きる、とは荒波に揉まれ、まだ見ぬ明日を迎えるということだ。
本書に出てくる者はみな、自身の中に「喪失」を抱えている。
時には死にたくなるほど辛い日もあれば、やがて訪れず愛しいものの死に怯える日もあるだろう。
どうか、時が流れ、一日もはやく、彼らが穏やかな日々を過ごせますように、と祈りながら、同時にそれが自分に向けられたものであることに、今、そっと、気づく。



♡こころの付箋♡
p281
寿命だから、運命だから、仕方ないのだ、とリウ先生以外の人にも言われたことがある。あの子たちはほんの短い日数で自分の人生を全うしたのだと。でも、もし本当に寿命や運命だとして、なんだって子供達は、そんなに短い人生を過ごすために、この世に生まれてくるのか、そんな意味を私にもわかるように教えて欲しかった。全身を震わせて小さな棺に取縋るようにしてなく若い親の姿を見る度に、そう思った。どんな宗教も、前世が、生まれ変わりが、というオカルティックな話にも、私は納得できなかった。誰でもいいから、あぁ、あの子達の短い人生にはそういう意味があったんですか、と私を納得させてほしかった。

p296
悪い出来事をなかなか手放せないのならずっと抱えていればいいんですそうすれば、「オセロの駒がひっくり返るように反転する時が来ますよ。いつかね」

『ふがいない僕は空を見た』窪美澄


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