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『神様のケーキを頬張るまで』彩瀬まる

🍰あらすじ🍰
ありふれた雑居ビルで繰り広げられるいくつもの人間模様。シングルマザーのマッサージ師が踏み出す一歩、喘息持ちのカフェバー店長の恋、理想の男から逃れられないOLの決意…。思うようにいかないことばかりだけれど、かすかな光を求めてまた立ち上がる。もがき、傷つき、それでも前を向く人々の切実な思いが胸を震わせる、明日に向かうための五編の短編集。─本書あらすじより



🍰感想🍰
シングルマザーのマッサージ師、喘息持ちのカフェバーの店長、パートナーが違う道を歩むことに裏切りを感じる作曲家、理想の恋から逃れられないOL、夢に敗れた元カフェ経営者、の5編の短編からなるチェーンストーリー。
この作家さんは何でも描ける人なんだと、この一冊を読んでわかった。
マッサージ師や作曲家、シンクロナイズドスイミングの振付師など、特殊な職種は経験がないと、なかなか書きにくいんじゃないかと、勝手に思ったり🤔
5編の中で1番面白かったのが、「光る背中」。
ハイスペックな男性を追い求める主人公に感情移入してしまいました(だから、いつまでたっても結婚できないのだけれど)
作中の「今の俺の顔が事故で潰されて、職場をリストラされて、金もなくなって、そんな状態なったとしても、俺と力を合わせてやっていこうって。1回でも、ほんのちょっとでも、思ってくれたこと、あるかい」のセリフにヒヤリ💦
本当に好きなら、あなたになにがあっても大丈夫だと言いたいところだが、実際にそうなったときまでそう強く思えるか、と訊かれたら、正直、自信がない。
また、「正直に、取り繕わず、製作者の心をさらけ出した作品は、必ず誰かに嫌われます。そういうものは力強い代わりに粗も多く、でこぼこで、違う意見を持った人間とってはひどく目障りになるからです」の台詞がじーんと染みました。私の書く小説は、どうしても登場人物と心の距離が近くなってしまって、つい自分の正義を語りがちになってしまうので、きっと読む人にとっては、ものすごく不快になるだろうなと思いました。万人に好かれるなんてありえないんだから、割り切れるしなやかな心を作れるように頑張ろうとおもいます🙂

『神様のケーキを頬張るまで』彩瀬まる


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