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『きみはだれかのどうでもいい人』伊藤朱里

🙂あらすじ🙂
人とわかりあうことは、こんなにも難しい。 

税金を滞納する「お客様」に支払いを促すことを仕事とする県税事務所の納税担当に、同期が休職したことで急遽異動させられてきた若手職員の中沢環。彼女は空気の読めないアルバイト・須藤深雪を始めとする周囲の人間関係に気を遣いながら、かつての出世コースに戻るべく細心の注意を払って働いている――(第1章「キキララは二十歳まで」) 
週に一度の娘との電話を心の支えに、毎日の業務や人間関係を適当に乗り切るベテランパートの田邊陽子。要領の悪い新米アルバイトや娘と同世代の若い正規職員たちのことも、一歩引いて冷めた目で見ていたはずだったが――(第3章「きみはだれかのどうでもいい人」) 
業界中から絶賛の声、殺到!ブクログ第1位、啓文堂書店大賞第2位、「ダ・ヴィンチ」の「今月の絶対にはずさない!プラチナ本」にも輝いた超話題作がついに文庫化。 
同じ職場に勤める、年齢も立場も異なる女性たち。見ている景色は同じようで、まったく違っている――。職場で傷ついたことのある人、人を傷つけてしまったことのある人、節操のない社会で働くすべての人へ。迫真の新感覚同僚小説! ─Amazon説明より



🙂感想🙂
胸の奥が、ズキン、と痛んだ。
恐怖で一旦読めなくなった作品は、本書がはじめてだ。
なぜなら私はこの物語の要である須藤深雪そのものだからだ。
いつも自信がなくて、おとおどしていて、簡単な作業すらままならず、小さなことでも注意されるとすぐにしゅんとなる。
だが、彼女からの視点で描かれた話はなく、様々な年代や立場におかれた4人の女性の視点から切り込まれるストーリーに織り交ぜられているのだか、客観的、多角的に映された自分は他者からどのように見えていて、思われているのかよくわかった。
その容赦のない描写がリアルで生々しい。
被害者の立場が多かった人生だが、加害者には加害者なりに悩んで苦しんでいるのだと、はじめて理解できてよかった。

こんな小説読んだことない!
凄すぎて何も言えない…。
こんなに他者のことをわかっている人っているの?
傷つけてしまう人、傷つけられた人、双方の血が通ったストーリーが書けるなんて、作者はエスパーか何かなんじゃないかと思いう。
観察力が鋭い。
しかしながら、女性とはなんとも難儀なものです。年だからと好きな物さえ選べず、既婚未婚、子有り無しでマウントを取り、他人の不幸に群がる。
女もいろいろ。
でも、そんなのどうだっていいって少しづつだけど思えだした。
だって、所詮、私は誰かのどうでもいい人だから。

また、作者の優れた文章力、表現力に驚きと感動がとまりません!✨
こんな小説、はじめてです!😮
伊藤朱里さんの他の作品もまた読みたいと思います☺️

こちら、読書メーター主催のレビュアー大賞の課題本です。

『きみはだれかのどうでもいい人』伊藤朱里


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