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カシミアのセーター

唇をむぬむぬむぬむぬ動かしながら、下の子どもが、私のカシミアセーターをなめなめと舐めている。もちもちと動く唇は、とてもかわいい。だけどどうして、私のカシミアのセーター。
疲れている、眠たいけれど、寝つけない時など。赤ちゃん用のタオル地の掛け布団でも大人用の掛け布団でもドゥドゥ(小さい子が好んで持つ、人形や布のこと。フランス語)でもなくて、私のカシミアセーターを舐めたがる。
肌に直に身に着けて、痒くも痛くもならないので、家着としてほぼ毎日着ているカシミアセーター。着心地がよければ、そりゃあ舐め心地だっていいはず。
下着一枚の格好で寒いな〜と心の中で囁き、子どもがむぬむぬなめなめしながら眠りにつくのを待つ。カシミアセーターが犠牲になってくれたので、ひと騒動起きることもなく、平和に寝入ってくれる。
子どもがするように、唇をむぬむぬ動かしてはみるが、できない。全然、ちゃんとできない。こんなことを無意識にできるなんて、子どもはすごいなあ。

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