ファンレターのはなし



言葉が好きだ。



“言葉”って言葉をよく使うけれど、そういえば意味をちゃんと考えたことは無い。調べてみると【意味を表すため、口で言ったり字に書いたりしたもの】と出てきた。確かに、言葉は何にしたって意味を持っている。



けれども、人と人が顔を合わせながら発する“言葉”と無機質な文字で発する“言葉”ってたぶんかなりの差がある。人は出来ればみんな言葉を大切にした方が良いと私は思っている。良くも悪くも使い方次第だ。





そんな“言葉”を使ったファンレターのはなし。




アイドルオタクをして早ウン年、特別多くファンレターを書いてきた方ではない。むしろ少ないほうだとは思う。




もともと手紙を書くのは好きだ。学生の頃は授業中、何でもないことをノートいっぱいに言葉を埋めて友達に渡した。今でも親友たちの誕生日には必ず便箋と封筒を買ってきて思いを綴っている。



だがしかし、大好きなアイドルに手紙を書くとなったらまた別問題。初めてファンレターを書いた時には、書き出しはどうしたらいいのか、どんな便箋と封筒にするのか、言葉遣いは?呼び方は?自分の名前は?とわからないことばかり。手紙を書いている時間よりどうしたらいいか検索している時間の方が確実に長かった。



実際今でもファンレターを書くときはどうしようかと迷ってネットサーフィンの波に呑まれ、ペンが進まないことの方が多かったりもする。



なので備忘録、2021年の私のファンレター事情をnoteに書き記しておこうかな、と。だってきっと忘れちゃうから。


封筒と便箋とペンと




正直、こだわりは無い。100円ショップで買い集めたもので書くときもあれば、ふと目についたステーショナリーを購入する時もある。舞台を観劇しに行き、マチネとソワレの間に溢れる想いをファンレターにぶつけたことがある。その際には慌ててコンビニで買ったセットで書いた。次からはレターセットをオタク用品に入れることにした。可愛いモノからシンプルなモノまであるから選ぶこともファンレターの楽しみの一つ。量ばかり溜まっていくのがたまにキズ。オタクはなんだって収集癖が付きもの。



極まれにポストカードを送ったこともあるが、いかんせん無な語彙力でポストカードの文章量では伝えきれることも伝わらない。向き不向きは誰にだってある。



ただ一つ私のルールがあって、使うのは必ず黒ボールペンということ。カラーペンは使ったことが無い。特に理由はないが常にジェットストリームの0.5を持ち歩いている習慣でそうなっている。1度大人びて万年筆で書いた時にはもう大変だった。慣れないものは使うべからず。文字がミミズ。さすがにアイドルにミミズを見せるわけにはいかない。


書き出しは最大の壁



ここが1番の迷いどころ。必ず下書きをするのだが書き出しが決まらず内容ばかり埋まることはザラ。昔は【はじめまして。〇〇に住んでいる〇才の〇〇と言います。】的な自己紹介な事が多かった。



でも同じ人に何回も送るのになんか趣ねえなあ、、と思いはじめてからは、手紙の基本にならって時候の挨拶を挟むことにしている。と言っても固すぎる言葉を選んでしまい、取引先へのお礼状か?となっては面白く無いので季節感も有り、少しカジュアルになるように意識する。





今までに書いたことのあるフレーズ



【初めての手紙に緊張しながらも、夜空には満月が綺麗に輝きまるでファンファーレのようです】

まさかの満月限定。



【お手紙の書き出しって、とても緊張します。庭には梅が咲き始め、ピンクが〇〇さんみたいだなあとほっこりしています】



このときはメンバーカラーに合わせて花の色を選んだはず。そしてここで分かる先手必勝、手紙は緊張しますアピール。ファンレターというのはどれだけ書いても緊張するから、もうそれを書いちゃう。




この後に自己紹介。名前だけだったり年齢だったり住んでいるところだったり。怪しいものではありませんというアピールにもなるかなという思い。


内容〜論文にならないように〜



時と場合によりけりだが、舞台中やライブ前後の場合はその内容に触れる事が多い。無い語彙力をかき集めてアイドルを褒めちぎるというのがモットーなのでそれ以外は基本書かない。〇幕の〜というセリフが好きだとか、ライブのこの衣装が〜とか、好きだときめいた、魅力的だ、もう幸せいっぱい!!!ということをふんだんに盛り込む。



お誕生日や結成日、記念日、デビューなどはお祝いの言葉を溢れんばかりに。ポエミーなことも沢山書いているだろうし、推しの良いところ好きなところ、自分にとって影響があること、アイドルが輝いているから私も私の居場所で輝きたいと思っていることを伝える。アイドルは自己啓発だから。




なるべく丁寧な言葉で、自分の想いと、相手に伝わる想いをなるべくすり合わせられるように。“伝える”と“伝わる”は似て異なるものだ。言葉遣いも殆どが敬語や丁寧語。1度砕けた感じにしてみた時、卒論になったからだ。舞台観劇のレポート、酷いものである。



あとは『てにをは』をきちんと使えているか確認する。助詞の使い方ひとつで意味が全く変わってくる。ら抜きい抜き言葉とかも出来るだけ正しく使えるように意識はする。自信はない。




必ず下書きをすると書いたがほとんどの場合スマホのメモに行うから何度も読み返して違和感がないか確かめる。が、所詮自分が書いたものを自分が読むので多分違和感に気づかずアイドルの手に渡っている。



アイドルへ
ごめんね
私より




終わり良ければ全てよしの締め



9割5部
【〇〇さんが〇〇でありますよう願いを込めて】



定形文。コロナ禍では


【いつか、みんなが安心して歓声をあげられて、〇〇くんが、△△のみんなが見えないよーー!!ってくらい大きな会場で幸せな時間を共有出来る未来がきますように願いを込めて。】

とりあえず願っとく。願わんよりかは願った方がいい。

最後には書いた日付とフルネーム。きっと読めるであろう名前でも必ずルビをふるようにしている。市役所に提出する書類なんかも全部書くしそんなもんだとも思っている。


宛名を書くときは切手との位置関係が大切



必ずフルネーム+様



これ以外は書いた事がない。裏面に自分の名前。住所は時と場合によりけりで舞台中のプレゼントBOXなどに入れる場合は名前のみ。郵送の時は住所を書く時もある。所在が怪しくない方がいいか、、?と考えた結果だ。



ほとんどの封筒を洋2と呼ばれるL版はがきサイズのものを使っている。オーソドックスで1番よく見られるやつだと思う。



ここで私の課題点。宛名を書く際に切手のサイズ感を失いがち。切手はその時々に可愛いイラストやキャラクターのものを購入するのだが、いかんせん今の切手というのはおしゃれだ。サイズが全部違う。いや、大袈裟ではなく、本当に違う。必ず切手の大きさを確認してから宛名を書くべきである。


その他の話





とにかく受け取り側にとって満タンの愛になるように意識をして。便箋に2〜3枚程度、心を込めて丁寧な字で。愛は伝わるし、想いは溢れるものだからこれからも一つひとつ紡げるように。




コロナ禍になってからは現場も無く、ファンレターを書く機会もグッと減った。2021年では全部で7通。(2021.9.1現在)

量では無いと思うけれど、貴方を応援している人がここにもいますよ、と少しでも伝わるように想いを込めて書く。正直アイドルが本当に読んでいるのかなんて分からないし、手元に届いているかさえ不明なことのほうが多いファンレター。それでもこの想いが届いたらいいな、と思う私がいることを大切にしていきたい。



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