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車のサブスク(KINTO,ClickMobi,・・・)は本当に安いのか?

ここ最近話題になっているのは、車のサブスクリプションサービスである。

とどのつまり要するに車のリースだ。車を買うとなると200万、300万するわけだが、いきなりそんな大金は出せない。

どうせ5年くらいで乗り換えるんだから、満額払うより月々数万円払うだけにして、飽きたらやめるという人もいるはず。そういった層の方が多いと思う。

満額払わないで終わるのだから普通に考えたら安く上がる。ただ、本当に安いのか。果たしてお得なのか。


▷やってる会社は

自動車メーカーでおこなっているのは以下である。
・TOYOTA KINTO
・日産 ClickMobi
・Honda マンスリーオーナー 、楽まる
・三菱 ウルトラマイカープラン

自動車メーカー以外だと以下。
・オリックス自動車 カルモ
・カーコンビニクラブ もろコミ
など

▷実際安いのか

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とりあえずKINTOでアクアを7年リースする契約で申し込みするとしよう。

トップページには、月々19,580円と記載されている。
となると1年で234,960円(19,580円×12ヶ月)。7年で乗り換えると考えるわけだから、×7年の計1,644,720円!

これは安い!ちょっと高い軽4くらいの値段だ。

しかも、自賠責や車検代もコミでこの月額なんだから安い!

・自賠責保険
任意保険(対人・対物賠償責任保険:無制限、人身傷害:上限1名につき5,000万円、車両保険:上限規定損害金【自己負担額:1事故5万円】等)
任意保険は東京海上日動だ。

維持費の車検代(自動車税・重量税など税金もコミ)

法定点検、定期点検、故障修理、代車、ロードサービス、油脂類の交換及び補充、所定の消耗品の交換、車検(契約期間3年の場合を除く)


▷あれ、これはどういうことだ?値段上がるぞ?

いやしかし、7年も乗らないだろう。見積もりを3年にして取ってみよう。

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んん〜?

いきなり値段が上がったぞ?しかもボーナス払いをやめたら20,000円も上がった。おい、どういうことだ。

つまりリース年数で月額が変わるということだ。

この時点で雲行きが怪しいが、進めていこう。


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3年ボーナス払いなしとして、まずグレードを選択する。上から2番目のGグレードを選ぶと48,950円/月だ。グレードを変えると月額も変わる仕組みだ。

すでにトップページに掲載されていた月々19,580円からはかけ離れている。30,000円も上がってしまった。

ということはオプションを追加していくごとに月々の額が上乗せされていくのでは?とりあえず疑問はさておき、次に進める。


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次はオプションだ。ディスプレイオーディオと自動駐車システムはほしいとすると、+4,070円になる。

今、合計53,020円/月だ。


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ETCは1.0で0円、サイドバイザーがほしいので+440円、ヘッドライトはLEDが良いので+3,080円、ディスプレイオーディオは10.5インチにしたいので+1,100円。

今、合計で57,640円/月だ。


▷結果、安くない・・・

となると、3年で乗り換えなので・・・2,075,040円!!
おい!ジャロを呼べ!!!ジャロを!!!!200万超えてるやんけ!!

最初の19,580円/月はどこへ行ったんだよ!人寄せの表示か!


▷別の年数でも安くない・・・

だが待ってほしい。5年リースで他を同じ条件で見積もりを取ってみよう。そうすると43,010円/月になる!

オプションまで進めると、3年の時に比べて半額になっている。どうも年数を増やすとオプションも割引が効くみたいだ。

これはもしかして安いのでは?3年にするからダメだったのか。光明が見えたぞ。

では計算してみよう。5年乗るとすると、43,010円×12ヶ月×5年だから・・・2,580,600円。うーん、安くない。


▷一括支払いで購入する場合と比較しても安くない、むしろ高い

アクアを現金一括購入で、全く同じオプションで見積ると2,537,520円だった。リースの方が高いってどういうことよ・・・。

▷リース終了後にさらに金を取られる!

いや待て、リースの方は自賠責・任意保険・故障・点検・車検込だ。それを考えると実質10万くらいは安いはずだ。5年リースなら車検は1回だけだなので、あまりメリットはないと思うが。

ただ、現金一括購入の場合は値引き交渉ができるので、更にリースの方が不利だ・・・良いとこなしである。

加えて、契約終了時等のお手続きについて(KINTO ONE)にはこう書かれてある。

<4> お車のご返却時の留意点
契約満了日までに、お車は原状回復の状態にてご返却いただきます。
(1)車両返却時の査定結果により、日本自動車査定協会基準、またはその他公正な方法による査定結果に基づき、1点あたりトヨタ車1,100円(税込)、レクサス車2,200円(税込)で計算した金額をお支払いいただきます。具体例はこちらよりご確認いただけます。
(2)一定の条件を満たす場合に改造が認められる車種(GRヤリス・GRヤリス"モリゾウセレクション"・GR86)についても原状回復の状態にてご返却をお願いいたします。但し、トヨタ販売店(含むGR Garage)にて取り付けられた部品などが装着されている場合に限り、装着された状態で返却いただけます。その場合、追加装着された部品含めて査定対象となります。
(3)走行距離が月間1,500kmを超過した場合、超過1kmあたりトヨタ車11円(税込)、レクサス車22円(税込)で計算した金額をお支払いいただきます。修理費用を保険適用する場合は、免責5万円をお支払いいただきます。

つまり、

①車は、新品と同等の状態で返すこと。
②傷や凹みがあればその破損の具合によって、追加料金を請求する
③走行距離が一定以上だと更に追加料金を請求する。

ということだ。請求例には車のシミ・汚れ・擦りキズも請求するとある。傷があるかどうかなんて、トヨタ側がイチャモンつけてきたら全部言い分で払わなければいけないし、遠距離も運転できない。ましてや、「原状回復」で返却とある以上、少しの傷でも追加料金を取られるのは明白だ。

こんなことならもう気軽に使えない。

加えて、利用の注意事項は、禁煙・ペット連れ込み不可・改造不可・サーキット走行不可である。

自賠責や点検、車検込であっても新車を買った方が安くなるのは明白だ。

日産のClickMobiは更に悪質だ。こっちは車の残価という概念で非常にわかりにくくしている。耐用年数の金額版と考えて貰えばいいが、車体の状況で残価が減る可能性もあり、日産次第で残価変動額が無茶苦茶に変わってしまう可能性もあるという仕組みになっている。

▷まとめ

自動車のサブスクリプションという新しい単語に安易に食い付いてはいけない。結局は昔ながらのリースと同じだ。

貸手が儲かるようにできているのは大昔から変わらない。きちんと調べない借り手がバカを見る仕組みになっているのだ。

借りる年数を増やせば月額が減るので安く感じるが、よく調べると新車を買った方が明らかに安い。




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