【マンガ】『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』の”ヤバさ”を、本気で語ろうじゃないか。
※9/18(金)00:30追記
・当記事は『100カノ』が全話無料公開していた時期に書かれたものです。
・現在無料公開は終了していますが、アプリ「ヤンジャン!」では、24時間チャージの無料チケットを利用すれば全話タダで読めます(最新話以外)。
・「となりのヤングジャンプ」「ジャンププラス」では、最初の数話と単行本未収録話(最新話の一週間前まで)は無料で読むことができます。
・既刊3巻です。気が向いたら、ぜひ。
ヤングジャンプで大好評連載中の新感覚ラブコメ漫画『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』が、マジでおもしろい。化け物レベルに。
いずれラブコメ史に名を刻む、革命的漫画だと思っている。
……いや。
もう刻んでるし、革命起こしてるわ。
超簡単に言えば「誠実さのお化けみたいな主人公が、高校生活で100人の彼女を作り、平等に愛して幸せにするまでを描くラブコメ(ギャグ)漫画」。
「なに言ってんだこいつ」と思った未読者のあなた。
ちょっとだけ待ってほしい。
なんと今なら9/17(木)まで、最新話含め全話無料公開中!なのだ。
(「次にくるマンガ大賞」第2位を記念して。めでたいね。)
※9/18(金)00:30追記:現在無料公開は終了しています。
現時点で最新30話。
「まだ読んだことねーわ」なあなた。ぜひ読んでみてほしい。
▼ヤンジャン!アプリでも今だけ無料で読める▼
※9/18(金)00:30追記:現在無料公開は終了しています。
しかし、ヤンジャン!アプリなら24時間チャージのチケットを使用すれば、最新話以外全話無料で読むことができます。
この記事を読むなら、まずは『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』を読んでほしい。話はそれからだ。
この記事は永遠に無料である。
しかし『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』は、間もなく無料期間が終わってしまう。
あなたの時間を無駄にはしない。ホントにおもしろい漫画だから。
さあ、読むのです。
…
……
………
…………
……………
よし。
もうここには読み終えたヤツしかいないな?
うん、この漫画。
ヤバくないか?
――本記事は
この頭のおかしい(褒め言葉)
ラブコメの皮を被った(褒め言葉)
エキセントリック・ギャグ漫画の(褒め言葉)
"ヤバさ”を紐解き、その魅力の言語化にチャレンジするものである――。
※以下『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』の第30話までのネタバレを含みます。
※画像はすべて、公式Twitterアカウントで投稿されたものから引用しています。
はぁ、しかし。
『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』
タイトルが長過ぎる。一昔前のラノベじゃねーんだぞ。"大”、いくつだよ(5個です)。
以降、公式略称である『100カノ』とも表記することにします。
(※9/14(月)22:30追記)
念を押しますが、以降「第30話」までのネタバレを含みます。
くれぐれもご注意ください。
❐ヤバい1:コンセプトが既にヤバい。
そもそも漫画の中身以前の話である。
以下、『100カノ』1巻キャッチコピーからの引用。
突然始まったDEAD OR LOVEな純愛ハーレムライフ!! 100人の運命の彼女達を絶対に脱落しない・させない! 負け彼女(ヒロイン)0の多人数(ハーレム)LOVEコメディの新発明・新回答の第1巻!!
??????????
何を言ってんだ………………?…こいつ……
だがしかし。
読み進める内に「確かにその通りだ」と納得させられてしまう。
実はこの怪文書、『100カノ』のコンセプトが濃縮された名コピーなのだ。
突然だが、ラブコメ近代史を語る上で欠かせない概念と言えば?
そう、「ヒロインレース」である。
最後に主人公と結ばれる「メインヒロイン」は誰か?
読者はそれぞれの「推しヒロイン」について熱く語り合い、それがそのまま作品の盛り上がりになる。
あえなくフラれ、「脱落」してしまったヒロインは「負けヒロイン」の烙印を押されてしまう。
(個人的に「負けヒロイン」がどう負けるか?負けた後どう成長するか?も見どころの1つだと思っているが、本記事では割愛。)
対して『100カノ』は、「負けヒロインを1人も生み出さない」「100人の彼女全員を幸せにする」という思想で設計されている。
「ヒロインレース」に対するアンチテーゼであり、メタ的視点でのラブコメへの挑戦……などと小難しい言葉で表現することもできる。
……が、まぁ雑にまとめると。
「じゃあ全員幸せなハーレムエンドにすれば良いじゃん!」という、インターネッツで毎回出てくる素人の解決案に、プロの漫画家がマジでチャレンジしてみました!という話である。
いやいや。
いやいやいやいやいや。
そんな夢物語を実現できるわけがない――。
連載開始時、誰もが「無理だ!」と思ったはず。
かくいう私も、そう思った。
『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』とかいう長ったらしいタイトルを見た時、いわゆる「なろう系・モテモテハーレム・俺TUEEEE漫画」なんだろうな……と予想した。
100人の彼女なんて描けるわけないし、魅力的になるわけがない。どうせ量産型・どこかで見た属性ヒロインの集まりになるんだろう……?
主人公もよくある鈍感型で理由なくモテて、モテに無自覚なまま、雑にハーレムを形成していくんだろう……?
第一、100人ものキャラクターを綺麗に動かせるわけがない。せいぜい4~5人まで行ったところで話が破綻してくるに違いない……。
奇をてらった設定で注目を集めて、そのまま打ち切りまっしぐら……。
よくある話だ……。
しかし。
しかしだ。
30話まで来た今、私はこう思っている。思わされている。
「これは、ひょっとしたら、100人いけるのでは?」
きっと、全国100億人の『100カノ』ファンも同じ思いに違いない。
読む前のネガティブな予感は、ことごとく裏切られている。
「ヤバいコンセプト」の実現に向かって、アクセル全開で走り続けるヤバい漫画『100カノ』。
いよいよその"ヤバさ”が、いかに巧みで、いかに魅力的かを語っていきたい。
❐ヤバい2:設定がヤバい。
『100カノ』のあらすじはこうだ。
中学卒業式に100回目の失恋をした愛城恋太郎は、高校でこそ初めての彼女を!と願う。そんな彼の前に現れた恋の神様が告げた未来は「高校生活で出会う“運命の人”は100人。しかし彼女達は、幸せになれなければなんやかんや(中略)あって…死ぬ」
――2巻コピーから引用
この、「神様の手違いで100人の”運命の人”がいる」「”運命の人”は愛し合って幸せにならないと死ぬ」という設定が非常に巧み。
・「どうして彼女達は、主人公を好きになるのか?」
・「どうして主人公は、100人の彼女達全員を幸せにしなければならないのか?」
という問いに対して、
「登場人物にはどうしようもない”運命”なのだよ!」→「だったら仕方ないな!」と、「やりたいコンセプトを押し通す舞台」を実現させている。
ご都合主義と言えばそれまでかもしれないが、納得できる漫画的理由があるのと無いのとでは、読みやすさが随分と変わってくる。
この設定が無いまま「負けヒロイン0の100人ハーレム漫画」をやろうとすると、必ずどこかで違和感が出てきただろう。
更に言えば「幸せにする」のであって、単に付き合うだけではダメなのも大きい。
「100人全員を真剣かつ平等に愛して、幸せにしなければならない。さもなくば死ぬ。」
この高いハードルを設置し、それを飛び越えていく主人公=愛城恋太郎を描けていることこそ『100カノ』の巧みさの表れだ。
個人的には当初、「死なせないために付き合う」というのが本当の恋愛じゃないようだったし、それを彼女達に言わないのはフェアじゃないな……という気持ちが1ミリだけあった。
しかし話数が進み、恋太郎の”漢気”を体感してきた今なら、「彼女達を悲しませないために言わない」という理論が理解できる。
幾らギャグ調だとは言え、神様に仕組まれた”運命の人”、その人と結ばれないと死ぬ、というのはある種の呪いだ。
心から恋太郎を愛する彼女達がそれを知ってしまったら、自分達の運命のせいで、彼氏に異常な恋愛をさせてしまっていた事実に、強く胸を痛めるだろう。
恋太郎は、たった1人でその100人分の呪いを背負おうとしているわけである。恐ろしい。
(この漫画のヒロイン達なら無いと思うが、万が一愛を疑い、騙されていたと感じたとしても、それは一瞬だろう。なにせ彼氏には、全員に、真剣に、平等に、愛情を注いでもらっているわけで。)
それにそもそも恋太郎は、「死なせないために付き合っている」わけではない。
この子が”運命の人”だからとか
付き合わないと死んでしまうからだとか
そんなんじゃなくて
本当に 純粋に 俺は――
――第3話「好本さん」より
つまり『100カノ』は、恋愛を強いる運命を設定しておきながら、そんなの一切関係ないピュアな恋心がちゃんとあることを描写し、「本当の意味で全員が幸せになる物語」を描こうとしているのだ。
いや~~~漫画がうまいッッ!
ついでに言うと「神様だから仕方ない」ではなく、「ラピュタだから仕方ない」にしているのも巧みである。人類はラピュタに文句を言えない。
ラピュタ初見でバルスのとこは、そらミスるわな。
ってなるかボケ!!!
テレビ見ながら仕事してんじゃねーよ 神が!!!
❐ヤバい3:ヒロイン達がヤバい
お待たせしました。
ラブコメを語る上で欠かせない存在、ヒロイン。
先述の通り「100人も用意するんだから、量産型でどっかで見た属性を当てはめるだけだだろう」と思ったら大間違いだった。
一人ひとりが、ソロでメインヒロインを張れるレベルのキャラの濃さである。個性的過ぎます。
みんな凄く可愛くて魅力的なんだが、みんなどこかおかしいんですよね……。
「おい訂正しろ殺すぞ!!!!」という絶叫が聞こえてきそうなので、早速ヒロイン達=恋太郎ファミリー語りに入りましょう。
なお第30話時点、今の恋太郎の彼女は8/100人である。
※9/14(月)22:30追記
念押しですが、あなたの読んでいる話数時点での、彼女の人数は「8人以上」ですか?
作品の楽しみを著しく損なうネタバレを含みますので、恋太郎の彼女の数が「8人以上」の方のみ、この先にお進みください。
彼女の人数でネタバレ度合いを判定できる漫画、それが『100カノ』――。
❤花園 羽香里(はなぞの はかり)
恋太郎に人生初の告白をもたらした彼女。
温和そうな見た目とは裏腹に、中身は腹黒。
何より淫乱。大大大大大淫乱。
くすぐられては嬉ションをかましかけ、彼氏の使用済みジャージの匂いで興奮するし、セクシーブロマイド集を突然送りつけたりもする。
なんとしてでも卑猥な方向に持っていこうとする、バカすけべ淫乱ピンクである。
が一方で、恋愛に関しては全くの素人なので、間接キスで緊張して失敗するし、手をつないだだけでドキドキしちゃう。
頭の中や言葉ではド淫乱を繰り広げているのに、思い切った行動にもどこか恥じらいがついて回ってしまうウブさが羽香里の魅力の1つだろう。
典型的な策を弄するタイプでもあり、よく謀(はかりごと)を企てては失敗している。
ラブラブの最中に突然別れを切り出す→ヒロインを親から取り戻しに行く、という、ラブコメにおける超ビッグイベントをたった14話目で展開した立役者でもある。
その際には、恋太郎の幸せを思って死を選ぼうとするくらい思い詰めてしまう、頭が回りすぎるが故の危うい一途さを見せた。
(彼女が運命の仕組みを知ったら……どう動くのだろうか。)
話題や問題を提起してストーリーの切欠を作る場面も多く、恋太郎ファミリーの智将(恥将)として今後も活躍が期待される。
まぁ「おや…こんな所に小さな洞窟が…」はさすがに引いたよね。
❤院田 唐音(いんだ からね)
ツンデレ怪力ツッコミ彼女。
彼女無しではこの漫画は立ち行かなくなってきた。ギャグ的な意味で。
「~ないんだからねっ!!」という、もはや定型化した「ツンデレ」をメタ的に茶化したキャラ。
本来「素直じゃない」という記号であるツンデレが、逆に素直過ぎるキャラ造形になっているのは興味深い。
とは言え可愛く描かれており、行き過ぎたツンデレによる隠し事ができない実直さと、ここぞという時に見せる素直な言葉に惹き付けられる。
ゴリラのような腕力を持つ武闘派でもあり、人間の首なんてポッキー同然にぶち折れるらしい。
加えて胸はぺんぺん草が生えてる平原、よく他のエベレスト(現実)と比べては悔しがっている。
そう言った女性らしくなさがコンプレックス。
「いやいや、そのギャップがめちゃくちゃかわいいんじゃ……脂肪袋は肉弾戦じゃただの足かせだし、戦場では命取りになるし……」と言おうと思ったが、恋太郎が徹底的に褒めてくれてるから大丈夫だな!ヨシ!
まぁなんだかんだ、羽香里並に色っぽいシーンが多い気もする。
同じく恋太郎の最初の彼女である、羽香里との絡みはいつも素晴らしい。初期パーティの安心感とでも言うべきか。
互いに減らず口を叩く仲ながらも、親友として信頼し合っているのが伝わってくる。
特に、唐音→羽香里への理解度はとても深い。
「彼女同士も仲が良い」という、恋太郎ファミリーの美しさの礎を築いた偉大なコンビだ。
二人はファーストキスの相手でもあり、それがきっかけか百合の領域に片足を突っ込んでいる気もする。
加えてもう1つ。
『100カノ』をギャグ漫画として見た時に、ほぼ1人で突っ込みを回しているのは何よりの偉業である。さすがツッコミ怪獣カラゴン。そのうち過労死するんじゃないか。
頼むから次の彼女はツッコミ役にしてやってくれ……!
❤好本 静(よしもと しずか)
3人目の彼女であり、最初の追加戦士。
ラブコメのヒロインに戦士というのもどうかと思うが、自分で言ってるんだから仕方ない。
ナチュラル小動物系であり、自然界最弱のミジンコウサギ、そしてお口がちっちゃいんだッッ!!!!
本好きで物静か、ちょこまか動きぷるぷる震える姿に癒やされるが、最大の個性は「自分の声で人と喋るのが苦手」という所。
普段は愛読書のセリフの電子音声で話す。
笑い声すらセリフである。”高らかに笑った。”
その実かなり重い過去を持っており、友人や母親に否定され「普通に喋ること」を強要されてきた。
そんな静ちゃんを恋太郎が受け入れたことをきっかけに、今や恋太郎ファミリーの中で、とても楽しそうに「喋っている」。この事実ッ!
「あ…アニキィ~!」「こいつが夢にまで見た――桃源郷でやんすかぁ~~~!?」
彼女の愛読書であり”声”でもある「王冠恋物語」だが、セリフが多彩すぎて、どんな中身かすごく気になる。
それ単体で小説化してほしいくらいだ(この漫画ならやりかねん)。
個人的に、静ちゃんが加わる第3話は『100カノ』の魅力を早期に確立した、優れた1話だと思っている。
一風変わったヒロインとの出会い
→ヒロインが抱える個性≒問題の提示
→主人公による全力の愛情表現&個性の受け入れ
→ドキドキの告白シーン
という、ラブコメのお手本のような流れを汲んでおきながら、最後に今カノ2人(2人!?)に向かって、「新しい彼女として迎え入れさせて頂いてもよろしいでしょうか」である。
そりゃ「脳みそ腐ってんのかおめー!!!!」にもなるわ。
何より1話にまとまってるのが圧巻。
この話で一気に引き込まれたファンも多いのでは?
3話で真髄を見せつけた作者の脳みそは腐っていないと思うが、気が狂ってないと書けないのは確かだと思う。
❤栄逢 凪乃(えいあい なの)
4人目の彼女であり、その正体はAI nano……ではない。
合理主義の権化であり、常に最効率を突き詰めて行動するアンドロイド系美女。
効率のためなら痴漢撃退には躊躇なく目潰し、猫用出入り口から石を投げ続けて鍵を開ける、咀嚼せず寿司を喉から胃に流し込む(しかし胃はメダカ並みに小さい。効率重視でサプリメントが主食のため。)など、やや常人離れした思考回路を持っている。
その思考を実行に移す行動力はファミリー随一であり、手順をすっ飛ばしてキスしちゃう度量も合わせ持つ。(告白→キスのスピードは、現状凪乃が最速。)
最初は「恋愛」や「楽しい」からは何も得られない、無意義であると定義していた彼女だが、恋太郎ファミリーに加入してからは、そこで過ごす時間を「楽しく有意義なもの」と感じている様子。イイ話。
あまり表情を変えず淡々としており、他メンバーのテンションが上がってても、1人だけ冷静だったりする。
が、その率直な物言いは、往々にして意図しないボケになってしまうことが多い。しかもほとんど物騒。
一方で、時たま見せるアツい感情の発露や乙女チックな表情には思わずキュンッ!!!っとなってしまう。
クールビューティーとそのギャップこそが凪乃のチャームポイントだろう。
個人的には、凪乃の登場からビックリドッキリおもしろ超人感が加速したように思う。
結果、加速度的なおもしろさ・彼女と彼女の掛け算的おもしろさに繋がったし、読者が超人を受け入れる土壌を更に拡げたという意味で、栄逢凪乃の登場は効率的……だったのかもしれない。
ゼェゼェ……。
今どんくらい?
……え?まだ今いる彼女の半分?
4人で既にキャラ濃すぎない?
作者大丈夫?主に頭が。(褒めてます)
❤薬膳 楠莉(やくぜん くすり)
お待たせしましたヤバい奴。誰が呼んだかシャブ先輩。「薬物を支配せし者(ドラッグルーラー)」。
ギャグ漫画には欠かせない、どんなシチュエーションでも生み出せるドラえもん枠であり、本漫画最大の問題児であり、最強のコメディリリーフでもある。
科学部部長を務める高校3年生で、5人目の彼女にして初の先輩ポジション。
理を超越したとんでもない薬を次々と発明しているモノホンの天才なのだが、その言動はかなりのアホの子である。
実年齢は18歳だが、自分の発明した「不老不死の薬」(!?)の失敗作の影響で、普段は幼い姿になってしまっている。どこの名探偵だよ。
が、より効力の強い「薬の効果を打ち消す薬」(!?)を服用することで、一定時間、元の姿に戻ることができる。メルモちゃんじゃねーんだぞ。
ちなみに幼児時はなのだ口調であり、18歳時はなのだよ口調。
いくらなんでも欲張りすぎへん?まだ5人目よ?
薬の話は後回しにするとして、彼女の魅力は「1粒で2度美味しい」ところだろう。文字通り。
幼女姿の天真爛漫さと、先輩姿の大人びたアンニュイな雰囲気、その両方を1人で担っている。
しかも性格や言動は共通なので、幼女の近しい距離感のまま、18歳のグラマラスなボディをぶつけてくるから、もう大変なのだよ。
あ、でも実験中はトイレに行くのがめんどくさくて常におむつをしている(!?)ことを考えれば冷静に……。
ならねぇよ!!!
恋太郎をヤバい性癖に目覚めさせないでください!!!!!(?????)
第29話では、元の姿に戻るのに1Pぶち抜きの変身バンクを披露してくれた。
精神年齢はいったりきたりのジェットコースターらしいが、なぜか人格は破綻してない。
精神力が強靭過ぎるのか、はたまた既に狂っているのか。
さて、かわいい幼女枠からお色気枠までこなせる……だけに留まらないのがシャブ先輩のヤバいところ。
そう。彼女が生み出してきた奇想天外な薬たちの話だ。
先述の「不老不死の薬」と「薬の効果を打ち消す薬」の他に、第30話までで言及があったのは以下のラインナップ。
「磁石人間になる薬」
「暗いとこで目が見える薬」
「声が遅れて聞こえる薬」
「惚れ薬」
「胸が大きくなる薬」
「ひねくれ者じゃなくなる薬」
「少しは女の子らしくなる薬」
「よりセクシーになる薬」
「うさぎみたいになる薬」
「髪を操れる薬」
「大好きな人とチューしたくてたまらなくなる薬」
「ぶっかけると皮膚がただれてめちゃくちゃ痛てー薬」
「赤外線が見える目薬」
「新しい自分に生まれ変わる薬」
「赤ちゃんになる薬」
ドラえもんもびっくりの何でもありっぷりである。
その効果もさることながら、副作用がやばすぎるのがまたおもしろい。「1粒で2度美味しい」。
本人が調合をミスった劇薬をよく飲んでいると語っているのも恐ろしい。臨床実験も自分でしまくるどえらい科学者だ。
『100カノ』の作劇の観点から見た時に、楠莉先輩とその薬の存在は非常に便利な助けになっている。
コメディを始めるための常識離れしたヤバいシチュエーションも、彼女のおかげで流れるように作り出せるのだ。
10話の初登場を抜きにしても、
・11~13話の「キスゾンビ」篇
・23話の「薬の名は。」篇
・28話の「ママごっこ」篇
と、現状の30話中5話、6分の1話の原因が彼女の薬。これは誇って良い実績だろう。
どの話もおもしろく、楠莉先輩の個性を活かしながらも、ギャグとしてきっちり仕上げてくる作者の力量が伺える。
底なしに明るく見える楠莉先輩にも「大好きな薬にのめり込んで、周囲に迷惑をかけた過去」というトラウマがあったりする。
「キスゾンビ」篇で恋太郎ファミリーに迷惑をかけてしまった際に、そのトラウマを思い出し、責任感から薬をやめると口走った彼女。
だが、恋太郎の「自分の”大好き”に一直線な楠莉先輩のことが大好き」という言葉に肯定され、引き続き楽しく薬開発に勤しんでいるようだ。(この流れには羽香里もびしょびしょ。)
「羽香里奪還」篇では、海外での研究チームとの将来を捨て、「恋太郎ファミリーこそかけがえのない存在である」と宣言するシーンもあった。
静ちゃん、凪乃、そして楠莉先輩。
恋太郎が”運命の人”の世界を広げ、彼女達が繋がった先で、互いを大好きになって、”ファミリー”の輪が広がっていく優しい展開は、『100カノ』にしかない魅力だ。
……まぁシャブを差っ引いても、真面目なシーンで1人だけズレたことを口走ってるのが楠莉先輩。
特に静ちゃんとの絡みが可愛くかつ笑えるのでとても好き。
現在まごうことなきコメディリーフ、ギャグの4番バッターを担うシャブ先輩。
今後、彼女を超えるヤバいキャラは現れるのか……?
と思ってたらもう次の彼女が十分ヤバいキャラでした。なんなんだこの漫画。
❤花園 羽々里(はなぞの ははり)
ビビーン!!
やりやがった!!マジかよ恋太郎
マジかよ運命ッやりやがった!!
「やりたがった!!」ではない。
さすがにこんだけ清々しく親子丼をやったラブコメ漫画を私は知らない。あるなら誰か教えてくれ。
6人目の彼女は、なんと最初の彼女である花園羽香里の実の母。13歳の時に夫を亡くした未亡人。(13歳……?)
最初敵だった人。
初登場時は愛娘である羽香里を5股なんかするクソ男と別れさせるために、あらゆる手を尽くす……というラブコメで障害になる厄介ママあるあるムーブをかましていた。
まぁ5股男なんか、そりゃ別れさせた方が良いよね……。
しかし羽々里さんも”運命の人”であり、恋太郎と目が合って「ビビーン!!」してしまう。
第17話ラストのビビーン!!には度肝を抜かれた読者も多いのでは。
「え?マジでそっちやっちゃって良いの?」と困惑すると同時に「この漫画ならまぁありか」とも思わされたので、だいぶ毒されている。
羽香里奪還完了まではまだ母親の威厳を保っていたが、恋太郎の娘と自分への愛を認めた後は速攻で陥落した。
このスピード感こそ『100カノ』の魅力。
恋太郎ファミリーにすぐ馴染み、失った青春を謳歌するためにめちゃくちゃやっている。
可愛いものに目が無いのだが、にしたって恋太郎や彼女達を見てヨダレ垂らし過ぎじゃないですかね。この母親にしてこの娘あり。
羽香里&羽々里の万年発情期親子結成以降は、二人で唐音をいじり倒す場面も増えてきた。
どピンク親子におちょくられる唐音の明日はどっちだ。
ぶっちゃけこの人が彼女になったことで『100カノ』の可能性は凄まじく広がってしまった。
もうだって「彼女の母親」がありなら、なんでもありじゃん……。
計算無しに描くと倫理的な嫌悪感を覚えそうなものだが、『100カノ』はそこをロジックと勢いで吹き飛ばしているのがヤバい。
しかもこの母親「金持ち」という超便利な強属性も兼ね備えている。
「彼女の母親だけど、学校買収して理事長になりました!だから毎回普通に出てこれます!!!!!」
凄まじく強引なのだが、しかし筋が通っている……ように見えるのが恐ろしい。
ここに、SF展開は楠利で、物理的な障害は羽々里で越えていける……という完璧なギャグ漫画フォーメーションが誕生してしまった。
……これってラブコメ漫画ですよね?
残念!!!!ママにクーリングオフは適用されません
❤原賀 胡桃(はらが くるみ)
ついに来ました中等部の後輩女子。
7人目の彼女は、いっぱい食べるはらぺこ系。
ドラえもんみたいな四次元胃袋、”バハムートの如き”「胃袋」を持つ。
食べることが大好きでいつも食べ物のことばかり。
さらに、ちょっとしたはずみですぐ食を連想しちゃう難儀な体質の娘。
リンゴを見るとマクドナルド(?)、「胡桃ちゃん」と呼ばれるとちゃんこ、自分で言った「かもだし…」で鴨出汁……。
食への連想力が高すぎる。読んでるこっちがお腹空いてくるわ。
しかし消化が早すぎて、しょっちゅうお腹が空いている。くるくるくるくる。
高すぎる連想力が仇となり、些細なきっかけでも一度食べたいものを想像すると、それを食するまで空腹イライラ状態が続いてしまう。
(これを理由に、外部からの刺激をシャットアウトするフードとヘッドフォンをつけている、とキャラデザに結びつけるのがまた上手だ。)
本人はこの体質を気にしており、イライラして周囲にキツく当たってしまう自分自身に一番イライラしてる。
大好きな食が原因でずっと孤独に過ごしてきた彼女。
ご多分に漏れず恋太郎にその好きを肯定され、ファミリーにも「ありのままのあんたでいなさいよ…!(意訳)」と受け入れてもらい、生意気な性格も引っくるめてみんなから可愛がられるようになった。居場所を見つけたんだね……。
しかし恋太郎は何人幸せに導けば気が済むんですかね。
あぁ、100人だったわ。
はらぺこ系の肩書に違わず、胡桃は本当に美味しそうにご飯を食べる。
「おいっしいぃ~~~~~!!♥♥♥」の叫びとともに、青緑の目をギンギンに見開いて食べる姿はマジで腹の底から味わってんだな……というのが伝わってくる。
作中でも、彼女に釣られて食べ物が美味しくなるシーンは度々描写されている。
愛くるしい食べる姿で、作中の登場人物も、我々読者のどちらも幸せにしてくれていると言えるだろう。
食べ方も礼儀正しく美しい。
いただきますとごちそうさまで、ちゃんと手を合わせられるいい子。
香りも食感の音も遮らず、全身全霊で食べ物を味わう。「吐く」ことは食べ物への冒涜。というセリフから、溢れんばかりの食への愛と感謝が伺える。
まぁしかし食べ物に釣られるあまり、ハイチュウ1つで屈する昨今の女騎士並みのチョロさである。そこがまた可愛いのだが。
なお、待望のツッコミ属性かと想いきや、比較的ボケ散らかしている。
唐音を支えるツッコミ役に成長できるのだろうか……?
❤銘戸 芽衣(めいど めい)
8人目の彼女にして最新の彼女。できたてホヤホヤ。
花園家のメイドにして羽々里様の忠実なる下僕。
そして、読者に差し向けられた刺客。
初登場は恐らく第18話。
羽香里の飛び降りを報せに駆け込んできている。
お顔がはっきり映ったのは第20話なので、別人の可能性もあるが。
以降、ちょくちょく恋太郎ファミリーに混じって登場していたが……。
まさかである。
読者も完全にやられた。
つまりこれは「背景だと思っていたら」「モブだと思っていたら」→「”運命の人”だった!」という展開であり、いつ誰が彼女化するか分からない。
この漫画から1コマも目が離せない状況を作り出してしまった。
マジで『100カノ』……!油断ならねぇ……!!
思えば第24話の「金持ちの家のメイドさん…♡」とか言う、謎のアオリによる強調で気付くべきだったのか。
気付けるわけねーだろ!!!!!
糸目キャラ……なのだが、マジで見えてないという驚愕の事実が判明。
しかも顔面の筋肉が言うことをきかず、自力でまぶたが開かない。
古今東西の糸目キャラでマジで見えてない人がいたら教えてください。
唐音もそうだが、既存の属性に一捻りを追加するのが上手く、しかも丁寧にギャグに昇華されているので『100カノ』無敵すぎへんか……?となる。
羽々里様のためならなんでもするヤバい人。
まぶたをメスで切除しようとするし、青酸カリを飲めと言われたら飲むし、カッターで刺されても、主人に御礼を告げることを優先する。
とどめに、その瞳は虹色。
よく息潜めてたな今まで
銘戸さんが彼女になる第30話は非常に秀逸。
これを読んで、このアホな記事を書くことを決意した。
後悔している。
1P目の時点でオチ=目が開いてビビーン!!は予想できるのに、そこから更にもう一段階強烈なオチを作っているのには脱帽。
やはりこの作者は頭がおかしい。(褒め言葉)
即落ち2ページ、ビビーン!!からの歴代最速落ち(わずか4ページ)をかました銘戸さんの今後の活躍に期待大だ。
や、やっと……終わった……。
キャラが濃すぎる。勘弁してくれ。
まだ8人、10人もいってないんだぞ?????
こっから+92人で100人!?いけるのか?????
いけそうなんだよな~~~~~!!!!!!!!!!
『100カノ』の強みは、個性的でめちゃくちゃキャラが濃いヒロインが新しく登場すると、既存のヒロイン達との掛け算で、みんなの魅力が倍々に広がっていくことだと思います。
しかも全キャラに平等に見せ場を作りつつ、新しい側面をサラッと提示し、なおかつストーリーをきっちり進行させている……。
話を考える原作も、それを視覚的に実現させる作画も、間に立つ編集もみんな気が狂っとる。(褒め言葉)
作者陣が、恋太郎と同じくらい全ての彼女達に愛を注いでいるのが伝わってくるので、この上ない信頼感と「ひょっとして……」という淡い期待を抱かされているわけです。
ここからまだまだ彼女は増えていくわけで、どうやってお話を転がしていくのか、キャラデザ含む描き分け、そもそも物理的なコマ、ページに収まらなくなるんじゃないの?という無理難題にどう立ち向かうのか、今からワクワクが止まりません。
もはやインフレっぷりを楽しみにしているので、さながらバトル漫画を読んでいるかのような錯覚に陥る。
なお以前、読者から理想の彼女を募集する企画があった。
漫画内への登場を確約したわけではないが、読者超人が生まれる可能性を作った夢のある企画。
果たして頭のおかしい作者よりもパンチの効いた理想の彼女を生み出した猛者はいるのか……。
今後の展開に期待です。
というかこの漫画はメタギャグも多いので「東京都のAさんから生み出されたキャラですが……」みたいに登場しかねない。
異様に丁重な扱いを受けそう。
次の機会があれば、ぜひあなたも応募してみては?
❐ヤバい4:画力がヤバい。
いやマジでカワイイんすわ。
紹介してきたヒロイン達はとても強烈なキャラクターを持っているが、『100カノ』はラブコメ”漫画”なので、当然ビジュアル面も重要。
その点、野澤ゆき子先生の作画は本当に素晴らしい。
可愛らしい顔はもちろん
ギャグよりのメチャクチャな変顔だってできるし
デフォルメで描かれることもあるし
シリアスな場面では真剣な表情を見せるし
告白やキスシーンは見ているこっちにまでドキドキが伝わってくるよう。
表紙や扉絵の書き込みも、毎度凄まじい気合を感じるし
しかもカラーまで巧いときた。
『100カノ』の魅力を最大限引き出せるのは、カワイイだけに留まらず、多彩な絵柄の引き出しがある野澤先生を置いて他にはいない。
個人的に、静ちゃんの告白シーン、胡桃のキスシーンは――
あれ…今読んでるの『100カノ』だよな……?
いや……ラブコメ漫画だからこれで良いんだよな……???
という謎のパラドクスに陥るくらい、ラブ全開で最高のシーンだったと思っている。
ただでさえ、原作側が出してくるのは頭のおかしいプロットである。
これをきちんと視覚化している点で、野澤先生も頭がおかしいのでは?(褒めてます。)
しかも、この漫画週刊連載だから。
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※9/14(月)18:50追記
公式さんが、100カノ制作フロートリビア(舞台裏)をつぶやいてくださいました。
「原作側が出してくるのは頭のおかしいプロットである」という表現に誤解を招くものがあったので、以下引用させていただきます。
△「頭のおかしい」
◯「面白い&凄く面白い」
✕「原作側が出してくるのはプロット」
◯「原作と編集で打ち合わせたネームを出してくる」
ホントすみませんでした。
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特に彼女の数が増えてきた最近では、1コマの中で複数の会話や行動を同時並行で描く、という離れ業も見せ始めている。
アニメ化どーすんだこれ(アニメ化することを信じて疑わない)。
しかし、彼女が増え続け、全員を平等に愛し描かなければならない『100カノ』にとって、このテクニックが必要なのもまた事実。
それでも、まだ8人。
野澤先生が描く100人の彼女が見開きでドン!と並ぶその日まで、先生の手は保つのだろうか。
休める時に休んでください。
この野澤先生の作画は、漫画内で褒めちゃうセリフが飛び出るほどである。
単純なルールなので図説より野澤先生のエッチな絵の方がみんな嬉しいかなと
――第25話「開幕!フードファイトフェスティバル」より
こういうところから、作画と原作の良好な関係が垣間見える。
ちなみに野澤ゆき子先生は、たまにTwitterで設定画や描き下ろしのイラストを上げてくださる。
キミもフォローして、ありがたく拝見しよう!
それにしても、みんな私服めっちゃオシャレだな……。
シルエットがしっかり区別されているし、個性も出ている。凄い。
❐ヤバい5:話の構成力がヤバい。
まぁもうこの漫画の元凶、ヤバさの8割は原作・中村力斗先生にあることは周知の事実であるわけですが。
しかし、ぶっ飛んだ漫画に見えて、実はもの凄く構成がしっかりしているのが『100カノ』なんです。
『100カノ』では、突然何かが出てくる唐突さ・違和感を感じることが全く無く、設定の絡め方が本当にうまい。
必ずその話の中、或いはそれ以前の話数で、後に繋がる伏線をしっかり語り、それを回収している。しかもさり気なく。
すべての事象に、ちゃんと納得がいく説明をつけているのだ。
例えば……。
第1話で通りすがりの教師が落としたコンタクトを4時間かけて探す恋太郎を描き親切っぷりを示しつつ、
同時並行で羽香里と唐音が4時間かけてピンクの四つ葉のクローバーを見つけられなかったことを描き、
コンタクトのお陰で許可をもらった恋太郎が、ひと晩かけてクローバーを2つも探し出す=4時間、2人がかりで1つも見つからなかったものを彼女のために1人で見つけ出した恋太郎の凄まじさを見せつける。
「羽香里奪還編」第20話で最後に恋太郎と羽香里が飛び込んだ金持ちの家の噴水は、第16話の潜入時に「噴水の水音に隠れて侵入するとは合理的」という凪乃のセリフと画ではっきりと示されている。
第16話で「赤外線が見える目薬」を使用し、その代償で赤外線以外何も見えなくなった恋太郎。
続く17話で羽々里さんの話に感動し、涙を流すことで目薬が落ちる。
そして第1話で神様が提示したルールの通り「”運命の人”と目が合うとビビーン!!」≒目が合わない限りビビーン!!しないことを明示。
さらにこの一連の流れ自体が、第30話の「銘戸さんの目を開けよう作戦」に繋がっている。
羽々里さんの前例があるから、読者はオチが「目が開いてビビーン!!でしょ?」と予想させられてしまうのだ。
そして、それを見越してさらなるオチを持ってきている。
う~~~~~ん、スタンディングオベーション!!!!!
たまにロジカルな話を急に持ってくるのにも、原作の頭の良さが滲み出ている。
主に恋太郎が立てる作戦がそれ。
・はじめてのチュウ作戦
・凪乃への説得にインスタントカメラを使う
・キスゾンビからの脱出作戦
・胡桃の「おいっっしいぃ~~!!!♥♥♥」で敵におかずを食べさせる
・銘戸さんの目を開かせる作戦
ラブコメなのにそこまで丁寧にルール作る?と思うくらいの徹底っぷりなので、ロジカルに考えるのがお好きなのかなと思ったりもする。
こういった緻密な丁寧さで読者を納得させられているのだから、そりゃまぁ凄い力量だ。
が、本当にヤバいのは当然ぶっ飛んだ展開である。ロジカル株大暴落。
毎話毎話はっちゃけた話を作るし、それを1話に収めているのがマジでヤバい。
お話の構成力が相当高くないと、彼女達をわちゃわちゃ動かしているだけでまとまらずに終わってしまう。
そして、登場する一部の彼女にフォーカスして進めるしかなくなる。
……ハズなのだが、全員出して、その全員に見せ場を作っているのは意味が分からない。どういうプロットの書き方してるんだ。
そして驚嘆すべきはネタの豊富さ。
毎週惜しみなく濃度の高いネタを放出しているが、よくまぁネタ切れにならないなと感心する。
しかも1コマ1コマへのネタの詰め込みっぷりが尋常じゃない。
週刊連載と思えないほど読むのに時間がかかるし、毎話必ず読み返したくなるくらい。
そもそも、100人の彼女達の個性を被せずに、きっちり描き分ける自信があるからこんなメチャクチャな漫画を描いてるわけで……。
もっと「どっかで見たキャラ」になるかと思ってたら、全然そんなことないし。
うん、やっぱり気が狂っとる。(褒め言葉)
あとはペースが早すぎる!最高に良い意味でだけど!!
30話時点で彼女が8人なので、およそ3~4話で1人ヒロインが増えている!!!
100人にたどり着くには、400話くらいかかるのか?
それまで中村先生のネタは保つのか?
そもそも100人同時にキャラクターを動かすプロットなんて人間に書けるのか?
休める時に休んでください。
❐ヤバい6:ギャグがヤバい。
ラブコメ漫画『100カノ』の真髄、それはハイセンスなギャグ。
主にツッコミ、セリフのワードチョイスがヤバい。
よくこの勢いでギャグをぶち込んで週刊連載してられるな。
読んでるこっちまで気が狂いそうだよ。
以下、個人的に気に入ってるセリフを並べてみる。
このままじゃ俺女の子になっちゃうから…
オセロじゃねーのよ
生徒が教師にキャラメルクラッチしていいと思っとるのか
教師が生徒にディープキスしていいと思ってんのか
「そなたは何故口をお開きにならないのか」
君がね!!!?
俺があんた達と好きなだけ遊んでやるからっっ!!!
おめーと遊んで何になるってんだよ!!!!!
なんだなんだ人の告白にオエーって失礼な奴だな!!君デリカシーって知ってっか!!!?
人の懐でションベンできる奴に言われたかねーよ
あばあばあばあばあばれんじゃーッッ
二階からぼたもち
三度の飯より赤ちゃんが
うん、パワーワードの応酬だな。
漫画のギャグを文章で読むと寒くなってくるのでこの辺にしておくが、中村先生の引き出しはどうなってんだホントに。
何食ってたらこんなキレッキレのギャグ思いつくんですか。
❐ヤバい7:ラブ描写がヤバい。
ラブコメ漫画『100カノ』の真髄、それはハイセンスなラブ。
9割ネジが飛んだギャグ!!!!!
……なのだが、1割のガチな恋愛描写がうますぎて、『100カノ』をギャグ漫画と一蹴できない。ちくしょう。
普段どれだけギャグで暴れまわっていても、”運命の人”との出会い=ビビーン!!のシーンや、告白シーン、キスシーンは必ず大ゴマ・1Pぶち抜きで派手に描いてくれる。
その時のヒロイン達の表情はマジでかわいく美しいし、恋太郎のキメ台詞は相手と読者に突き刺さるほどカッコいい。
普段から笑ってばかりいるのに、急にラブコメをかまされるとドキドキしてしまう。ジェットコースターか?テンションの高低差で風邪を引いてしまう。
いやむしろこの漫画はもう少しちゃんとラブコメするべき
――第22話「花園家の人達」より
大丈夫だ凪乃。かなりラブコメしている。
『100カノ』の魅力は、破天荒なギャグシーンの中に時折見せるラブシーンの美しさ……そのギャップ……。
ひょっとして我々は、『100カノ』という漫画に恋しているのでは?
❐ヤバい8:主人公がヤバい。
お待たせしました。
『100カノ』のヤバさのトリを飾るのはもちろんこの御方。
この漫画で、ぶっちぎりで一番ヤバいやつ。
♠愛城 恋太郎(あいじょう れんたろう)
彼女たち好き好き大好きモンスターであり、誠実さのお化けみたいな100股(予定)男。
『100カノ』の主人公は彼以外有り得ないし、彼でなければこの荒唐無稽なチャレンジに「いけるかも……?」なんて誰も思わなかった。
~恋太郎さんの最強彼氏烈伝~
・99回フラれてもなお告白に向かえるメンタル
・生後8か月で好きな女の子に告白
・運命の人に出会って早々怪我させたことを悔やんで涙を流して謝る
・それにとどまらず自分をボコボコに殴る
・自分のファーストキスが彼女達の喧嘩の原因になるからと、それをドブに捨てるためにクリーチャーとキスしようとする
・運命の人のために小説一冊の文章をスマホに手打ちする
・恋人への愛を化石燃料で例える
・大切な人を傷つけた時に自決するためにAmazenでドスを注文する
・彼女達に仲良くしてもらいたいがために「人と仲良くなる方法」「交友術」「心理学」を一晩で学ぶ
・かと思ったら彼女達を信じてその場を任せる器を持つ
・彼女達との写真や思い出が詰まったスマホは命より大切な宝物
・彼女達をハレンチ女呼ばわりされるとブチギレて「おい訂正しろ殺すぞ!!!!」と叫ぶ
・死の淵をさまよっていても彼女達のピンチと聞くだけで蘇る
・群衆の中でか細い彼女の声を聞きつける
・惚れ薬での偽りの愛を防ぐために吐こうとする
・彼女がハゲようが宇宙人に体を乗っ取られようが愛せる自信がある
・ちゅちゅ語しか話せないキスゾンビと化した彼女の言葉を理解する
・彼女が転んだらバイオハザード中でも助けにすっ飛ぶ
・彼女が転んでおでこが真っ赤になったら、それはもう一刻を争う一大事
・彼女の熱いキスを振り払い元の人格に戻すために奔走する理性を持つ
・彼女に怪我をさせないためなら背中がただれるほどのスライディングをかます
・彼女の好きが嘘判定されると、現実と現世からの逃避を選んで死にかける
・窓から落ちる彼女を抱えて池に飛び込む
・不健全 ダメ絶対 彼女達ののぞきを見越してタオルを腰に巻いて入浴する
・未亡人の彼女を二度と一人ぼっちにしないと誓ってファーストキスをかます
・彼女の元夫であり義父の幽霊に誠実っぷりを見せつけて成仏させる
・休み時間に彼女の家まで会いに走る
・彼女が弁当を忘れたらすぐに自分のをあげる
・運命の人のために昼休みに調理室でメンチカツサンドを作る
・彼女をバカ呼ばわりされると「誰だ今バカって言ったやつ名乗り出ろ!!!!!そっちの方から聞こえたぞ!!!!!」とブチギレる
・彼女達によそってもらったご飯は全部味が違うとか言い出す
・自分の胃が楽になるより彼女の胃が楽になった方が楽になる胃をもっている
・胃が限界で普通なら吐くところでも彼女にあーんしてもらったものは絶対吐かない
・赤ん坊でも彼女達の裸を見ることはしない健全さ
・赤ん坊になった彼女達をあやすために顔面と前半身がただれるまでスライディングし続ける
・朝の占いで「死ぬほどラッキー」だった彼女のためにピチピチの学校指定水着で一日を過ごしなおかつ彼女の命を救う
・そのことを負い目に感じさせないために朝から彼女達に言わない(頑張りすぎ判定されても気にしない)
・驚かせようと勇気を出した彼女の意図を察し、すぐに激しく驚いてあげてみせる
ヤバい。なんだこいつ。
「負けヒロインを1人も生み出さない」「100人の彼女全員を幸せにする」
『100カノ』のコンセプトを達成するために、練りに練って描かれているのがこの愛城恋太郎という主人公。
「ラブコメで一番大事なのは主人公」とはよく言ったもので、全てのヒロインと絡まざるを得ない主人公は最もセリフと出番が多いキャラになるし、そいつが嫌われると誰も読んでくれなくなる。
かと言って『100カノ』においてそれを回避するために、無味無臭で女の子の反応を引き出すためだけの舞台装置になるわけにもいかないし、鈍感で気づかないふりを続けるわけにもいかないし、誰か1人だけを愛したり、誰か1人だけを愛さないわけにもいかない。
『100カノ』のコンセプトへの解答となる主人公は「ただひたすら全力で、100人の彼女達に平等に愛を注げる男」しか有り得ないのだ。
恋太郎は誠実さの塊であり、相手を理解するために言葉を尽くすし、躊躇せず身体を張るし、彼女を笑顔にするためならどんなことにでもチャレンジする。
すべての彼女が大大大大大好きで、全員が世界で一番可愛いと豪語する。
彼の一挙手一投足、言動の端々から、彼女達への底なしの愛を感じる。
決して八方美人ではない。
100%の愛を分配しているのではなく、一人ひとりに対して100%の愛を注いでいる。
ので、彼女が増える度に100%ずつ愛の容量も増えていく。
つまりいずれは10000%の愛を与える彼氏になる男だ。器が違ぇよ。
全員に正面から向き合い、平等に全力で愛を注ぐ姿は、見ていてとても気持ちが良い。
この、ラブコメ主人公特有の不快さ・嫌味さみたいなものが一切感じられないキャラ造形に辿り着き、愛城恋太郎という男を生み出せたことこそが、『100カノ』の一番のヤバさであり、最高の魅力だと思っている。
中村力斗先生・野澤ゆき子先生の「負けヒロインを1人も生み出さない」「100人の彼女全員を幸せにする」という、願いと決意と覚悟が具現化した存在だとも感じる。
つまり恋太郎の言動は、そのまま作者のキャラクター達への愛でもあるのだ。
キャラデザにも一番時間がかかったらしい。
恋太郎の「100回フラれた」という過去は、一見ギャグっぽい。
しかし恋太郎は、100回もフラれ、「お前はいらない」「お前じゃない」と存在を否定され続けたために、愛されないことの辛さを誰よりも知っている。
(この辺りの話は単行本1巻のおまけ漫画が詳しい。ダイマである。)
だからこそ、様々な問題を抱えた彼女達を全力で肯定し、誰よりも深い愛を注ぐことを約束し、実行できる。
自分を幸せにしてもらっている分、同じだけ彼女を幸せにする。
例えそれが1人でも、100人でも……。
このキャラ設定も、本当にお見事。
彼女のためなら、どれだけ困難な壁にぶち当たっても、決して諦めず精一杯努力する恋太郎。
誰よりも相応しいこの漫画の主人公である彼が、残る92人の彼女達と、どう運命の出会いを果たし、どう幸せにしていくのか。
その生き様を見届けるために、私は毎週『100カノ』を読んでいる。
いやぁ……恋太郎を大大大大大好きな我々読者も、実質彼女なのでは?
❐ヤバい番外編:公式ASMRがヤバい。
漫画本編ではないのだが紹介させてくれ。
『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』大好き看病ASMR①両耳に「ふ~ふ~」編と、ASMR②両耳に「大好き」編をッッ!!!
まずこのASMR、音響が”ガチ”。
ダミーヘッドマイクで録音されたであろうボイスはもちろんのこと、足音から衣擦れの音、環境音まで、音の左右上下の配置・距離感の調整が完璧。
凄まじい臨場感と立体感、奥行きを感じる。
音だけなのに、そこに空間が見えてくるのだ。
さらに、羽香里(上田麗奈さん)と唐音(白石晴香さん)の声、演技もイメージ通り。
いるんですよね、耳元に、二人が……。
そして極めつけ……。
全編書き下ろしエピソード!!!!!
ASMRなのにボイスドラマじゃねーか!!!!!
「声だけじゃん」と侮るなかれ、『100カノ』のエッセンスが溢れており、羽香里と唐音がセリフの端々で笑わせてくれる。
何よりおもしろいのは、声無しなのに最強彼氏をやってる恋太郎です。
あ、ちなみにこのASMRではお前が恋太郎になります。マジで。
最高の最初のメディアミックスです。
『100カノ』ファンなら聞くべし。
いや編集部さん、これ特典とかじゃなくて、タダで聞いて良いんですか!?
お金出しますよ!?
❐むすびに
長ぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
誰が2万文字も書けっつったよ!!!!!!!!!!!!!!!
読む気なくすわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ここまで読んでくださったあなた。
もしまだそこにいるなら……本当にありがとうございますと伝えたい。
『100カノ』のヤバさにあてられた、まとまりのないカオスで読みづらい文章を、よくぞここまで……という感謝の気持ちでいっぱいだ。
『100カノ』の”ヤバさ”を言葉を尽くして語ったつもりだが、もう全然語れた気がしない。だってなにもかもヤバいんだもの。
要素が多すぎるし言語化が難しすぎる。なんなんだこの漫画本当に。
なのになんでこんなおもしろいんだ。
『100カノ』好き同士なら「良いよね…」「良い…」で済むことを、自身の理解を深めるためにひたすらダラダラと列記しただけになってしまった気もする。
お付き合いいただいたあなた……本当にありがとうございました。
少しでも『100カノ』のヤバさと、こんなことになってしまうヤバいファンがいることを知ってもらえたなら、それで十分です。
あ、単行本はこちらです!!!!!
既刊2巻で、最新3巻は9/18(金)発売!もうすぐだね!
2巻の「大好きな」のセリフの吹き出しが、静ちゃん・凪乃に合わせてデザインされてるの、芸コマで好き。
記事執筆時点でAmazonに反映されていないが、3巻の表紙はダブル楠利先輩である。
※9/18(金)00:30追記:反映されてました。
一人二役で単独表紙!
知らない人が見たら姉妹に見えちゃう!!
さすがシャブ先輩!他の彼女達にできない事を平然とやってのけるッ
……いや、今後分身する彼女とか、ロボット彼女とか、過去と未来を行き来する彼女とか、異世界系彼女が出てくる可能性があるな……。
打ち切り無し、引き伸ばし無しで100人達成するまで駆け抜けて、ラブコメ漫画史に唯一無二の伝説を残すところをこの目で見たいので、みんな応援してくれ~~~~~!!!!!
『100カノ』最終話で、見開きドン!で100人の彼女が全員並び立ち……。
「私達は、君のことが大大大大大好きです!!!!!」とか言われたら……。
絶対号泣する。とんでもない達成感と幸福感に包まれる自信がある。
がんばれ恋太郎!!!!!お前ならできる!!!!!
むすびも長くなってしまったのでこの辺で。
『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』、100人達成するまでずっと応援し続けます!
まずは漫画もめっちゃ売れて、アニメ化してくれ!!!!!
頑張って中村先生!野澤先生!編集部!あんたらならできるよ!!!!!
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