二組の野生の眼
つれあいが帰郷中に体調を崩し、わたしの仕事場へと帰って来れなくなった。結果的にわたしは仕事を辞めることになるのだが、しばらくは夜行バスで故郷と仕事場とを頻繁に行き来する日々が続いた。
ある日、わたしはいつもどおり故郷の繁華街で夜行バスを待っていた。乗車までまだだいぶ時間がある。わたしは石段に腰を下ろして本を読んでいた。目を上げると、いつの間にか中学生くらいの女の子が立っていた。少し衣類が汚れており汗臭い。髪の毛も洗っていないのか、ぺったりくっついている。彼女は言った。
「ねえ、ホテルいかへん?」
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