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【卒論アドバイス⑥】先行研究の立場、その整理と研究へのつなげ方

こんにちは!サポートデスクの院生スタッフです。

前回まで、卒論のテーマや問いについて話してきました。今回から、先行研究についてお話ししていきます。

そもそも先行研究とは何か、なぜ読まなきゃいけないのか、どうやって読むのか、などなど。数回にわたってアドバイスしていきます。


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先行研究の立場



先行研究とは、簡単にいえば「これまで行われた研究」のことです。

今回は「これまで行われた研究」について、有名な研究を例にざっくり説明します。みなさんの思い浮かぶ有名な研究とは、コペルニクスやガリレオの地動説、プトレマイオスの天動説、ダーウィンの進化論、メンデルの法則、ワトソンとクリックのDNA二重螺旋構造、メンデレーエフの周期表・・・などでしょうか。

例えば、1860年代当時に発見されていた元素を原子量の大きさと性質が似たものが並ぶようにまとめられたものがメンデレーエフの周期表でした。メンデレーエフは当時未発見だった元素の存在とその性質を周期表から予測しておおよそ的中させています。

これより前に元素を一覧にまとめた表がなかったわけではありませんが、元素の性質と周期表の空欄部分に注目したところに、メンデレーエフの周期表の新しさがあります。

このメンデレーエフの周期表は、この後発見された希ガスなどの元素が追加されたり、順番が原子量の大きさではなく原子の核の正電荷の数になったり・・・と研究が進むにつれて発展して今の周期表になっています。

つまり、「これまで行われた研究」を踏まえた上で、説明できなかったことや明らかになっていないことを、新たな視点で説明したのです。研究には新しい事実の発見や新規手法の提案、または既にある事実を新たな視点から再構築するというような「新規性」が必要です。

そのためには、まず「これまで行われた研究」=「先行研究」を読むことから始めなければいけません。

先行研究の立場とは、自分の研究を生み出す踏み台のようなモノです。

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先行研究を探して整理する


じゃあ、自分の研究に関連する先行研究はどうやって整理するのでしょうか。

まず、テーマに関連する先行研究をキーワードで探します

たとえば、研究テーマが「英語教育法は何を目指すべきなのか」だとします。WEBで知った「CLIL(Content and Language Integrated Learning:クリル)」という新しい英語教育法をキーワードにします。「CiNii」や「Google  scholar」などのデータベースで、キーワード「CLIL」を検索してみます。

次に、集めた先行研究の文献をカテゴリごとに整理します

おそらく、CLILについての先行研究は、CLILの「内容」や「方法」、「特徴」を明らかにしていると思います。
そのため、先行研究をいくつか読んで、それぞれのカテゴリーごとに整理してみてください。

(例)CLILに関する先行研究の整理
  ・CLILの指導する内容と方法
  ・CLILという教育法の特徴



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先行研究を研究につなげる


研究テーマは「英語教育法は何を目指すべきなのか」でした。

つまり、今後活躍すべき英語教育法は何か、それは何を可能にするのか、について考えなければなりません。

指導する内容と方法、教育法の特徴に整理した文献から、「言われていること」と「言われてないこと」をみつけます。次に、言われていない問題点から、卒論でどのように解決するのかを考えます。

例えば、先行研究でみつけた課題から、CLILの特長をあてはめ、「CLIL」が日本の高校で実現可能な英語教育法かを考える、というまだ言われていない課題の研究をすれば、先行研究から発展した新たな研究になります。

(例)CLILに関する先行研究の成果と課題
 CLILについて,その内容や方法,特徴が詳細になっている点は先行研究の成果といえる。しかし,それが日本の高校での英語教育において有効かどうかについては,それほど詳細に検討されておらず,議論の余地がある。

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ここまで話したことを整理すると、

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以上、先行研究の立場と、具体的な整理の仕方・研究へのつなげ方でした。

先行研究ってなんぞや、と思っていた方に少しでも伝わればいいのですが。もしわかりづらいっていうときは、ぜひコメントなどを送ってください!

次回は、先行研究の読み方についてお話します!


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