【卒論アドバイス⑦】先行研究ってどうやって読むの?
こんにちは!名古屋大学附属図書館サポートデスクの院生スタッフです。
今回は「先行研究ってどうやって読むの?」という疑問について、お話したいと思います。
もちろん、先行研究が日本語で書かれた資料の場合、「いやいや読めるでしょ」と思う方もいるでしょう。
しかし、実際に読んでみると「本当にこれは日本語なのか…?」と疑うくらい難しいのです。ただし、先行研究は論文である以上、決まりを守った文章であることは間違いないです。そのため、いくつかのポイントを押さえて読むと、理解がしやすくなります。
今回の記事では、そのポイントを4つに分けて紹介したいと思います。
1.パートごとに分解して読む
まずは、論文を要素ごとに分解して読んでみましょう!
参考書によっては、「序論」「本論」「結論」の3部構成やIMRAD形式で4部構成で説明しています。[IMRADは序論 (Introduction)、材料と方法 (Materials and Methods)、結果と考察 (Results and Discussion)、結論(Conclusion)]
今回は、上記の3部構成に「要旨」を加えた4部構成で説明します。論文の順序はだいたい決まっていて、「要旨」「序論」「本論」「結論」で構成されています。
要旨:論文の概要が400字程度で書かれたパート
序論:問題背景や先行研究の整理から、その論文の課題を示すパート
本論:実際に調査や資料にもとづき、分析や考察を行うパート
結論:その論文の結果や、結果から示唆できることを示すパート
そのことを踏まえ、先行研究を読むのは「要旨」+「結論」から始めてみてください。
なぜなら、どちらも論文全体を説明するパートにあたるからです。
この論文では何を話すのか?ということを明確にすることで、多少難しくても内容を推測することができます。
また、自分の研究に必要あるのかないのかを、その時点で判断できるというメリットもあります。
2.主張と根拠は切り分けて読む
じゃあ、自分の研究に必要ありそうだから全部読まなきゃいけない…!
そんなときはどうすればいいのでしょうか。
おそらく全ページを細かく集中して読むのは、やはり疲れるし、大変手間のかかる作業だと思います。
そこで、その論文著者の「主張」と「根拠」を分けて読んでみることをオススメします。
とはいっても、どうやって分ければいいのでしょうか?
まず、どちらかといえば、見分けがつきやすいのは「根拠」です。なぜなら、「根拠」は実際のデータや先行研究を引用していることが多いからです。数字や先行研究の引用などがあれば、「根拠」である場合が多いので、その近くにある「主張」を見つけてください。
3. パラグラフごとに読む
論文はパラグラフ・ライティングと呼ばれる形式を用いていることが多いです。なので、「このパラグラフでいいたいことは何だろう?」と考えながら読むといいかもしれません。
パラグラフ・ライティングって?
パラグラフ・ライティングとは、論文を論理的に書くスキルです。パラグラフ(段落)ごとに1つのトピック(話題)が書かれ、いくつものパラグラフから構成されています。1つのパラグラフには1つのトピック、先頭にトピックセンテンスがあります。ちなみにトピックセンテンスは、その段落の言いたいこと(主張)を表す文章です。
では、実際の文章でトピックセンテンスを読んでみましょう!
[文章例]
本章では、「ホントの基本」というテーマで、大学に入ったら知っておきた
いポイントを紹介します。1 つ目はレポートやプレゼンのベースとなる、大学ならではの頭の使い方と表現の仕方です。特に参考書にあまり載っていない学生生活が長くなると感覚的にわかってくる常識や要求を、丁寧に言語化するように努めました。2 つ目はメールを書く時のルールとメールを送る時のマナーです。
【出典: 名古屋大学附属図書館 サポートデスク著. アカデミックスキルズ : 大学生ならこれだけは知っておきたいキホン.国立大学法人 東海国立大学機構 名古屋大学附属図書館, 2022, p.7.】
上記の文章では、1行目に「本書では、「ホントの基本」というテーマで、大学に入ったら知っておきたいポイントを紹介します」と書かれています。2行目以降では、ポイントの紹介が1つ目、2つ目…と続いています。よって、トピックセンテンスとなる1行目で大まかなテーマを把握することで、文章の流れがより分かりやすくなるはずです。
あなたにとって大事なのは「主張」をしっかりと読んで、先行研究の論証を理解していくことです。
細かいデータや先行研究は、できるだけ省エネで読んでいきましょう!
4.論文の背景にある先行研究のことを考えて読む
最後に、先行研究を読むときは、その先行研究の背後にある膨大な先行研究を考えながら読んでみましょう。
前回の記事(【卒論アドバイス⑥】)で、先行研究は自分の研究の「踏み台」ということを確認しました。
つまり、いま目の前にある先行研究もまた、別の先行研究を踏み台にしているのです。
そうすると、脈々と続く先行研究の流れを追うことができます。
自分の研究はいまどのあたりにいるのか、それを論文のなかで書くことが必要です。
そのために、まずは先行研究を読むときに、その背後にある先行研究を意識しながら読んでみてください。
今回は先行研究の読み方について4つのポイントからお話ししました。
もちろん、今回の方法以外にも様々な先行研究の読み方があります。ぜひ自分に合った読み方を参考にしつつ、多くの先行研究を読み進めてみてください!
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