『貴公子』優しくはない優雅さ
今週、予期せずして映画のことばかり書いています。連続で読んでいる方、すみません。これで一旦終わりです。
(土日でまた書く……かも?)
韓流映画『貴公子』。昨日、観て参りました。
小雨の中、チャリンコをこいで駅に突撃(笑)。
あのですね……。
警戒していたよりは、優しい世界だったかも?
あ……違うな。全然優しくないな……。
うん……優雅でした。さすが『貴公子』(笑)。
全体的に見ると貴公子然ではないシーンもありつつ。キム・ソンホの演じる謎の男は、スクリーンの中で縦横無尽に暴れまくった印象。
本作のジャンルはアクションノワールとされていますが、私の想像していたバッキバキの格闘技シーンはなく(笑)、どちらかというと銃撃戦の方が多めでした(肉弾戦も無いわけではなかったですけれどね)。
あと、作品全体で見ると、一貫してアクションシーン満載という風には思いませんでした。一旦アクションが起こると激しく過酷で残酷な展開になりますが、そうでないシーンは静か。それかお茶目な貴公子が喋っている。
それに翻弄される青年マルコ。
元来の性格なのか、環境に抑圧されることに慣れきっているせいか、あまり喋らない。でもカン・テジュ演じるマルコの目は、口よりも感情を素直に伝えてくれます。私はそう感じました。たぶん根は素直なんですね(テジュ本人が、かもしれないけれど)。
さて、唐突ですが、ここで全体評価です。
少し厳しい判定になってしまいますが☆3です。
ただし、この基準は、私の想定していたアクションノワール及び貴公子像から逸脱していたという理由で、まず☆1の減点です。ちょっと八つ当たりが入っています(笑)。
それでも面白いと思っていますけれどね~。
他の減点は、主に、この作品は宣伝で「新たなアクションノワール」と謳っているのですが、単に王道アクションノワールではないよなと感じたからです。『貴公子』はアクションノワール映画という「娯楽」でもあるけれど、「社会問題」を捉えたフィクション映画でもあるのです。
そもそもマルコの立ち位置はコピノです。
彼がコピノだから、この物語は成立します。
生い立ちからして複雑。だからあまり語らない?
そんなマルコが物語のキーマンとして巻き込まれていくわけですから、きっとパク・フンジョン監督も、コピノの現状を伝えることを1つのテーマとして映画製作をしたのだろうと考えられます。
あと、フィリピンの国籍ごった煮なアンダーグラウンドの描写も。
考えれば考えるほど、『貴公子』にはアクションノワール×フィクションの2面性を感じるのです。だから王道ではないと私なら言う。
日本に対して突然コピノのことなんて言えないから、伏せての宣伝だったとは思うし、そもそもネタバレに繋がりかねない面もあったけれど、知っているのと知らないのとでは、受け取り方は違う。
私みたいに悶々と考え込んでしまう人間にとっては、知っていた方が、気合を入れて観たかなと。というか、もっと前面に出したってよかったのに。なんなら徹夜して思い耽るのに……。だから、-☆1(笑)。
これも八つ当たりかな? 広報係に対する……。
ここまで、批評も書いてしまったのですが、各キャラクターは魅力的で、楽しませてもらった側面も確かにあります。
というか……監督?
アナタ本当に、これで満足ですかっていう。
私はこっそり想像するのです。
この『貴公子』……監督は相当にイメージを膨らませて、ヤキモキさせていたのではないかと。仕事のない日の過ごし方とか、同業者との共同戦線ストーリーとか、マルコとのバディとか考えていませんでしたか??
『貴公子』のゼロエピソードとか、スピンオフストーリーとか、考えていませんでしたかぁ??
ぶっちゃけ連ドラでやってみたくない??
──とか、考えてみました(笑)。
連ドラでたくさん貴公子の活躍を観た後に、改めて『貴公子』を観直したら、新しく観えるものがあるのかなぁって思いました。
……ならんかなぁ……。
もしもやり遂げたら、私は観たいなぁ。
貴公子。
義賊ではないんよなぁ。そこがミソ。
正直、彼が天使か悪魔か、私には断言できない気持ちがまだある。
こんだけ私に考えさせるとは、やはり良作なのか。ならば、もしも続編が本当に出るのならば、☆を1つ返上しようかな。
もうしばらく、個人的に考察はしようと思います。