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【詩】はじめての果実
ひょんっとテーブルに現れた
見覚えのないフルーツ
実らない初恋のように 一目惚れしたんだ
眺めて香りを嗅いで触れてみた
なんという変態行為
高鳴る心臓にフェチズムがブッ飛ぶ
掠れた喉が潤いを求める
こぼれた言葉を手紙にしたためる
キスしてみたんだ
そっと取り分けて緊張のヒトクチ
ひどく秩序を乱す口づけは甘酸っぱく
どうしようもない切なさで涙の味
とどのつまり僕は淡く広がって
未経験の君に翻弄されてしまった
はじめてが溢れて過ぎていて
果実に相応しい人間なのかなんて
祭りのフィナーレで芽生えた自問自答だった
さよなら ごめんね
散り散りになった心を拾い集めるよ
写真にならない記憶にするために
ありがとう またね
儚いフルーツはテーブルの外へ
去り際の吐息のように消えて行った
振り返ってごくりと挨拶
ごちそうさまでした
2022/06/11
トップ画像は一昨日の記事にも載せた、詩のイメージイラストです。……いえ、イラストを元に書いたのがこの詩、か。下記リンクも合わせてご覧頂けたなら幸いです。
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