不登校・うつ病からの生還とライフハック的読書論

わたしは、かれこれ小学五年生の頃から不登校になり、そのかたわらメンタルクリニックに通い、精神科の入院も複数回経験しています。リストカットをしたこともありますし、希死念慮に駆られた時は何度もありました。わたしは、自殺の仕方を検索し、自殺未遂を複数回行った人間でもあります。このように、わたしは暗い十代を送ったのでした。

今思えば、小中高と不登校であることは、さしたるデメリットにはなり得ないことが良く分かります。とくに、スマホが完備した現代では、YouTubeやスタディサプリでいくらでも動画を見て自学自習することができます。昔ながらの読書という方法もあります。
したがって、学業・進学面では何も心配はいらないのです。

しかし、当時は学校が社会的に立ちはだかるような大きな壁に思えたものです。わたしは、学校に通えている生徒に対して、無用の劣等感を抱きました。そしてわたしはうつ病のトンネルに入り、自分で自分を傷つけるような真似をしてしまったのでした。

しかし、そのような過酷な出来事がありながらも、結局、二十代後半のわたしは、うつ病から生き残り、友達も作れるくらい元気になり、今度は仕事探しという局面に入って来ました。
うつ病や自殺未遂により再起不能なダメージを負ってしまう人がいることに比べれば、雲泥の差です。
そのような療養に成功した生き残り組として、どのような心掛けがうつ病から生き残る上で有効であったか、そのライフハックを述べたいと思います。

結論から先に言えば、わたしのもっとも有効なライフハックは、読書が挙げられます。

わたしは読書が好きで、かれこれ2000冊以上の本をこれまでに読了してきています。このように言うと凄そうに見えますが、実際には難しいものではありません。わたしの読書歴は高校生の頃にさかのぼり、現在二十代後半ですから、10年以上になります。2000冊といえども10年で均して考えれば、2日で1冊読むペースです。それは読書好きの人にとって、さほど困難な課題ではないでしょう。

そのような読書は、確かにわたしが生きる上での力を与えてくれたと思います。正直なところ、わたしが読んできた本は、並の東大生でも今どきは読まない教養主義的な本が中心です。

最初はラノベを読んでいましたが、じきに飽きたりなくなり、普通の小説を読み始めました。しかし、それにもじきに飽き足りなくなり、今度は文学・哲学・宗教の本を読み始めたのでした。最近は、必要上、ビジネスの本にも手を出しています。

したがって、わたしはそのような形で、過去に抱いてきた学歴コンプレックスを克服したのでした。

わたしは、文献を読み解く力において東大生に劣っていると思ったことは一度もありません。もとより、上には上が必ずある以上、わたしは自らの力を誇ることはありませんが、だからと言って卑下することもないのです。

わたしのうつ病の原因の大部分は、学歴コンプレックスに起因している以上、読書を通じてその原因を消すことができたことは、一番の幸いであると考えます。大学院レベルは今後の課題ですが、大学レベルの知識は基本的に自学自習できていると評価しています。

このようなわけで、わたしは療養の手段として読書を勧めるわけですが、もちろん現代的には読書だけではなく、Google検索も積極的に利活用するべきです。とはいえ、わたしはあくまでも本による情報摂取に優位性があると考えます。

たしかに、高度に情報化された社会において、インターネット検索により蓄積されている情報や知識は相当なものがあります。たとえば、Wikipediaの記述は、フリー編集にしてはかなり高度になっています。したがって、スマホで検索する力は大切でしょう。

しかし、スマホは多機能であるがゆえに他の暇つぶしに流れてしまい、読書そのものに集中できないことがあります。また、まとまった分量の文章を熟読する際には、明らかに本に優位性があります。本は、論理的にまとまった思想・主張を持つ著者が、編集者を通じてそれを伝達するための、古典的な媒体です。そのような媒体を通じて、人生を打開するヒントを得ることは多数あります。

わたしは、これまでに本によって人生を学んできたといっても過言ではないくらい、本を読んで来ています。仮にわたしの人生から本を抜き取ったら、ほとんど何も残らないでしょう。

もちろん、本を読むのに慣れておらずだるいとか、そのような時間を取れないという人もいるでしょう。そういう人は、まずは漫画を読めば良いと考えます。

現代のエンタメとして漫画は、単なる平易な伝達の手段にとどまらず、主題やストーリーやメッセージの多様性において、文学的にも特筆するべき完成度を誇っています。したがって、これを読み解くことで現代のトレンドを知ることができます。アニメやゲームと比べてもタイムコンシューミングではない点、漫画は優れたメディアです。

本にせよ漫画にせよ、大切なのはそのような代理経験により、自我の主観的な閉塞を脱却することであると考えます。うつ病からの脱却において、代理経験による癒しは重要です。

以下に、うつ病の人に勧められる本のリストを記します。これらの本は、Amazonで中古で安く買えるか、新品でもたかだか数千円なのですから、生活保護状態でも読める本ばかりです。また、生活保護から脱却するためのヒントをもこれらの本は与えてくれます。

・堀江貴文 全著作
堀江貴文の本を読むと、すぐにそのノウハウを行動に移したくなります。貯金はするな等、堀江貴文のアドバイスは常識外れであるが、よく考えてみれば合理的なものばかりです。そういう意味で堀江貴文の本はお勧めです。

・7つの習慣
主体的に思考・行動し、与えられた無限の可能性を目指して、自己研鑽に励むことの重要性が理解できます。

・中村天風 運命を拓く
中村天風の積極哲学を楽しい語り口で学ぶことができます。天風はインドの山中でヨガをすることで、悟りに至った哲人です。その哲学は深遠かつ実践的です。

・高校倫理の参考書
わたしは高校の勉強がさほど役に立ったとは思わない部類なのですが、英語と高校倫理だけは例外です。わたしは、人生の生き方を高校倫理から学びました。もしその本を読んでいなければ、わたしの頭の中はずいぶん違ったものになっていたことでしょう。

・井筒俊彦 意識と本質
井筒俊彦はイスラーム学者で語学の天才です。意識と本質においては、西洋思想と東洋思想の壮大な比較が行われています。
こういう本格的な哲学書を読んで教養を深めることも、うつ病からの脱却に役立つと思います。

・中井久夫 世に棲む患者
精神科医の本では、中井久夫先生の本がずば抜けています。そのエッセイは滋味掬すべきものです。

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