勝負脳を作る為に①

※勝負脳の作り方(2002年/林 成之 著書)より


勝負脳=著者の作り出した造語
(言語知能、計算知能、空間把握知能などの人間に本来備わっているはずの知能の一つを指す。)


著者は脳外科医。

重症の脳損傷患者が死に至る時には脳の温度が40度から44度まで上昇することを発見し、脳を冷やす治療を取り入れることによって瞳孔散大や呼吸停止を引き起こした患者も社会復帰を可能にさせた。

そういった治療の中で、脳を損傷し問いかけても返事を返せなかった患者が回復した時『先生の問いかけはずっと聞こえていましたよ』と言われたことから意識、心、記憶は連動していて内意識と、外意識の二つに分かれており、二構成理論の提唱に至った。

明るい人は主にドーパミンの神経系をよく使い、暗い人はアドレナリン系やセロトニン系の神経をよく使っていることがすでに提唱されている。

この時の回復した患者は明るい人であったことから、
ドーパミン系の神経と内意識には何か関係があるのではないかと考え、調べると、ドーパミン神経伝達物質を多く使うものには、記憶を司る海馬回と、喜怒哀楽の中枢である扁桃核があり、この患者の場合はそこが残っていたから回復したんではないかと予測した。
のちにそれを確信したのは、反対に意識が回復しない患者の海馬回と扁桃核を確認した時にそれらが欠損してしまっていたことを知った為。

人間は何らかの刺激を受けると外界に反応する一方で、脳の内側にもそれらの刺激や情報を送り込む。
ドーパミン神経系(海馬回など)は内意識によってもたらされる刺激や情報によって何かを思ったり感じたりする働きをしていて、これを著者は「心」と定義。

パーキンソン病は脳内のドーパミンが減ってしまう為に起こる病気。
海馬回は記憶を司る場所でもある。

ここから著者は心と記憶と意識は連動して機能しているという
「モジュレーター理論」
を提唱。


脳が指令を出して実際に体が動くまでの神経反応には0.3秒弱を要するが
プロ野球選手は0.3秒では到底間に合わない150キロ速度のボールもホームランにしてしまう事がある。

考えられる理由としては、ピッチャーから投げられた豪速球を打てるバッターは今まで記憶してきた球の起動を記憶から引き起こし、その玉の起動に沿って打っている為。
要するに、それまでにうまく打てたボールを記憶しておくことのできる人が良いバッターの条件となる。

だが記憶はそもそも短時間で消えるもの
私たちは常日頃から一次的な記憶そのものを当てにして生きているのではなく、一度記憶したものを忘れ、脳内で再構築されたイメージ記憶で物を考えたり行動をしている。

マイケルジョーダンは『僕はドリブルをしている時から、次投げたボールがゴールインするのがわかる』といった。

常人には理解できないと思いがちだが、これは早い段階から構築されたイメージ記憶を働かせる事ができているからだと著者は予想。

キャッチボールに例えるなら早い段階から『相手の胸元に投げよう』というイメージを早い段階から持ち、うまく投げられたイメージを研ぎ澄ます事が大事ということ。

要するにやる前に成功イメージを強く持つ事が大事。

ゴルフのパットはプロでも成功させるのが難しい。
成功した時のイメージを記憶に残す事も難しいが、プロゴルファーの茂木さんはパッティングの極意を『ボールを打つ時の音を聞き分ける事』だという。
茂木さんは音感の優れた人であることから、自分の好きなこと、得意な事と結びつけて覚える事は有効だと考えられる。

今日はここまで。


◎今日の呟き
「心が無くなってしまうこと」を「外界へ気持ちを表現できなくなること」だと書かれてる部分にモヤモヤが残ってしまった。
私の文章の意味の汲み取り方が悪いだけで勘違いしてなければいいが。

パーキンソン病の患者は意思表示できる手段が少なくなるから周りが気持ちを汲み取りにくいだけで「心がない」とは思わないが、ドーパミン神経群の海馬回などが感情や記憶、意識と関連があるのはよく理解できた。

「好きこそものの上手なれ」という言葉があるが、好きでないことに対しても、好きなことや物を連想できるような動作や、言葉、音を無理やりにでもイメージして努力することでイメージ記憶に定着させやすくなり、やる気のない仕事や、不得意な作業、苦手な行動に対しても、自分の成長を見込めるかもしれない。

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