181022_階段のおどりば

電車に揺られ、アタマはマルく

 地下鉄や電車にのるとそこには必ず広告がある。
 新しい種類の車両ではデジタルサイネージがどんどん導入されていて、テレビのCMを流すことができるし、答え合わせ付き美容クイズ(美に無頓着なわたしは大体のクイズがわからず、これが結構勉強になる)を織り交ぜた化粧品メーカーの宣伝もよく見ます。
 正直、スマホをいじるのに飽きて顔を見上げても高明度・高彩度の液晶画面なもんだから、電車の揺れも相まって乗り物酔いならぬ液晶酔いをしちゃったりする。(じゃあ見なきゃ良いじゃんとかはひとまず受け付けない方向でここはどうかひとつ)

 そういう文脈で言えば、実家に帰る際、新幹線を名古屋駅で降り東山線を使うのだがハイスペック車両の数は激減するので、少し暗い・白の中でも黄色寄りの照明の下に安っぽさ百点満点の地元の質屋の紙広告をみるとなんか落ち着くんだから不思議である。
 もちろんその質屋に行ったことはないし、その広告に登場しているめちゃめちゃ松田聖子さんに似た別人にも会ったことはない。

 好きな紙広告がある。
「シカクいアタマをマルくする」シリーズである。

 これをつくっている日能研には通ってさえいなかったが、小学校高学年の頃、何度かオープンテストを受けた。
 試験当日、教室に集まった受験生の半分から3分の2は「N」マークの入ったカバンでやってきて、わたしのトートバッグをちらりと見れば何匹ものバンビが「さぁさぁここから出して!」と言わんばかりに花畑を駆けているのだから肩身が狭かったなぁ。

 さて、この日見た広告は国語の問題だった。2~3行(おおよそ200字詰め原稿用紙半分くらいだろうか)の文章がすべてカタカナで書かれていた。
「ヨミヅライ。ヨミタクナイ。」
 と、出題部を読めば『ここにすべてカタカナで書かれた文章がある。ひらがなと漢字、そして読点を適切に使って書き直すこと。』と来た。まあ、そうですよね。
 こうして毎日エッセイ(と呼ぶことを許してほしい文章たち)を書くくらいなので、問題文を自分のメモ帳アプリにペーストして解いた。試験時間は乗換駅に到着するまで。
 もちろん時間内に納得の解答を作ることができた(ふふん)。が、しかし、それがどうした、解答と読点の場所が微妙に違ったのです。
 より細かくいえば、一文に対してわたしのほうが読点が一つ多かったり、その逆であったり。必ず読点を付けなくてはいけない場所は抑えられていた(ホッ)が数が違うということは、同じ文章を噛み砕き理解するにしても細かく分解するひと、そうでない人がいるのね。
 ってことで、わたしの解答は合格点は取れた。ことにした。

 来月はどんな問題かな。
「メモを取りながらじゃないと解けるものも解けるはずないじゃないか」
 と言って、匙を投げたままにしている算数の問題をそろそろやろうか。左脳もね、使わないと、ね。

この度は読んでくださって、ありがとうございます。 わたしの言葉がどこかにいるあなたへと届いていること、嬉しく思います。