- 運営しているクリエイター
#小説
【SFホラー】無間桃太郎
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいた。度重なる戦争で荒廃しきったこの山で、おじいさんは植物を求めて草刈りに出かけた。一方おばあさんは、しょっちゅう毒の灰が舞い散るこの山で汚れを落とすために、水流のいい近くの川で洗濯をしていた。
おじいさんはこれまで何度も山に登った。多くの道がただ岩や瓦礫しかなく、わずかばかりの植物を見つけては丁寧に持ち帰る日々であった。もちろん同じ道でも日
怪談:「100台のメトロノーム」
カチ、カチ、カチ、カチ。
僕はぼうっとメトロノームを見つめている。
カチ、カチ、カチ、カチ。
右に左に休むことなく揺れる様を、時を忘れたように見つめている。時を刻み、時を無くして、ただそこに有り続ける。棒を跨る重りがまるで顔のように僕に訴えかけてくるような・・・。
「ほら何ぼうっとしてるの。」
無粋な罵声と共に現実へと引き戻された。ここはピアノ教室。
「早くやりなさい。」
僕は