兵庫県豊岡市・日本海から徒歩41秒のゲストハウスでヘルパーをすることになった理由
即決は快感だ。
本、食べ物、趣味、仕事、旅先、居住地、物件、男、なんでもそう。自分が「コレだ!!」と思える何かに出会った瞬間の、心臓がビクンと跳ね上がるようなあの絶頂感。
100%迷うことなく直観通りに舵を切り、その先に何が待っているかなんて分からなくても「選択に正解なんてねぇ!!自分の選んだ道を正解にするんだぁ!!」なんてお馴染みの自己啓発ワードで不安をぶっちぎるあの全能感。
会社員から未経験でフリーライターになったときも、東京からなんのアテも思い入れもない沖縄へ移住したときも、我ながら爽快感MAXの「コレだ!!」なド即決だった。
で、わたしは今フリーライターでもなければ沖縄にも住んでいない大阪在住・女性・無職(30)なんだけど、じゃああの時の即決選択が不正解だったかと言えばまったくそうは思わない。
と、いうか。
自分の心臓が跳ね上がるほどの「コレだ!!」に出会えること、そしてその”コレ”をいざ手に入れようとせんあの瞬間のギラギラわくわく感を味わえたなら、もうその時点で大正解の大勝利である。金曜日の仕事後に飲むジョッキ生と同レべで「このために、生きてる!!」というソレ。
最後の即決は、1年と少し前。
とくにやりたいこともなく貯金を持て余してフラフラしていた時に、タイ在住の友人が発信していた「1ヵ月くらいバンコクの家に住みたい人」と募集を見て「コレだ!!!!!」と飛びついた。見知らぬ地で見知らぬ景色を見たい。タイでの暮らしを想像しただけで胸がブワッと沸き立った。
タイは最高だった。連日猛暑のなかを出歩いてはタイパンツやタイ雑貨を買いあさり、3日に1度はパッタイを食べた。薄暗い市場で売ってる30円くらいの謎のもち米が美食の極みだったりと、毎日が冒険&発見でとても楽しかった。今回も大正解の大勝利。
で、働かないままいろいろ楽しく過ごしていたらマジでお金がなくなって、それからここ最近までの1年間はマジのマジで大変でした。よく考えよう、お金は大事だよ。
即決のトキメキとは無縁の1年。日雇い労働や短期契約の会社をしながら、とにかくお金を稼ぐための仕事に追われ、視野は狭まり、土日を愛して月曜に絶望しながら日々を消化していった。
会社員の期限は6月末。
それ以降のことはなにも決まっておらず、よく言えば仕事・働き方もふくめてなんでも自由に考えることができる。
いや~~~ん嬉ぴ~~~何しよ~~~~~♡とウキウキしながらパソコンを叩く。
「大阪 ライター 求人」
別にめちゃくちゃライターをしたいわけでもないんだけど、私の”できること”と言ったら分かりやすいのはライターだし、会社員の旨味(固定給・社会保険・クレカの審査に即通過)も知っちゃったしな。
結局そんな逃げ腰で、特に沸き立つこともなく半目で求人情報を見ては、なんとなく条件が良さそうなところを次々ブックマークしていった。まるで不毛なアプリ婚活。
なんだかな~。
なんだか今、なにかがものすごく違う気がするんだよな~。
でもだからといって、自分のなかに「コレだ!!」っていう何かや方向性も、ありそうでないんだよな~~。
「コレだ!!」がない以上、とりあえず無難な方向で仕事決めといたほうがいいかな~~~。
でも、なんか、なんだかな~~~~。
そんな悶々を延々と抱えながら、たまにふらりと訪れる地方移住・仕事関連サイトの「SMOUT」を、ふとなんとなく覗きに行った、ら。
美しい日本海まで歩いて41秒! 「本と寝床、ひととまる」で一緒に働く仲間を募集!
「本と寝床、ひととまる」は兵庫県の最北端、豊岡市竹野町にあるゲストハウスです。
竹野町は南北に長く、北は渚100選に選ばれている美しい竹野浜があり、南は自然豊かな山あいの集落があります。
本と寝床、ひととまるはその名前の通り、本がたくさん置いてあります。
選書は私たちがしたのではなく、豊岡に縁のある方や泊まりに来た方の好きな本を寄贈してもらって置いてあります。
「本を通じて人を感じ、人を通じて地域を感じてほしい」そんな思いがあって、いろんな人の好きな本を置いています。
コレだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
間違いなく、確実に、
コレだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
募集を見た3分後には、募集主の方に問い合わせのメッセージを送っていた。で、数日後にweb面談をして採用していただけることになった。
即決からの、即決まりだった。
まずはお金を稼がなきゃいけない。お金がないのは辛いから。そんな焦燥感にずっと駆られていたここ最近。これまでそれほど気にしていなかった「安定」を一番重要視して、給与や休日を気にしながら仕事を探してばかりいた。
それが、別に悪いこととは思わない。
でも、あの募集を見た瞬間に「コレだ!!」と心臓が跳ね上がったとき、そんな焦燥をみごとにかき消して、わたしの中の純度100%な欲求が溢れ出してきたのだ。
わたしは
どこか遠くに行きたくて
行ったことのない場所に行きたくて
見たことのない景色を見たくて
新しい人との出会いがほしくて
キレイな海の近くにいたかったんだ。
旅立つ前日に古着屋さんに行って、即決で短パンを買った。1枚500円。
浮かれた短パンとタイパンツをバッグに入れて家を出る。一応は仕事に向かうその足が、ウキウキ浮き立つ感覚がとても嬉しく懐かしい。
どんな1ヵ月になるかは全然分からないけど、おなじみ自己啓発をちょっとイジって、選んだ時点で大勝利。
やっぱり、即決は快感だ。
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そんなわけで、お盆前くらいまで「本と寝床、ひととまる」で働かせてもらっています。
お近くの方や興味を持ってくださった方はぜひ遊びにきてください。
いっしょに海で遊びましょう☺