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【留学日記】涙腺ダム決壊、からの、初めてのブチ切れ英会話

2月15日(金)  ※昨日の日記はお休み

金曜はマッサージの実技試験日、なのだけど。

今回の試験では、ウン年ぶりに目がハマグリになるほど泣いてしまったり、哀を越して怒が溢れたりと、ここ数年味わったことのなかった特殊な体験と感情の連続だったので、当時の出来事と気持ちをちゃんとまとめておきたい。

※めちゃめちゃ長文です🥺
  

金曜の朝は豪華フルーツセレモニー


トラブル1回戦 


今日も今日とてもち米マンゴーをたらふく食べ、テストの部屋に移動する。マッサージぺアを決めるくじを引き、後から聞いた白人男性(仮にAとする)とペアになる。

いつもテンション高く愉快なファンキーガイ、ランチを共にしたこともあるAとのペアで少し安心し、にこにこ話しかけてみる。が、明らかにいつもと比べて雰囲気が暗く、わたしともコミュニケーションを一切取らず、心なしか顔も空気感も怖いA。
 

触らぬ神に祟りなし。ここは静かにしておこう……と思い、マッサージを受けるためマットに寝転がってテキストを眺める。

すると、Aにテキストを取り上げられ、無言&無表情でポイッと投げ捨てられた。

えっ。無理。怖い。

イライラしている人に対して元々極度の苦手意識があり、日常生活や仕事でもできる限り距離を取るように生きてきた。それが、マッサージ被施術者という逃げられない場で、体も大きく筋肉ムキムキ、彫りが深くて目力も強く、さらに不機嫌なのかテストでナーバスなのか、とにかく神経ピリッピリ状態の男性が体にふれ続ける。

そんな状況でこちらも心身が強張ってガチガチになり、できるだけ早く寝落ちでもできるよう目をつむった。

が。

途中、わたしの足が思うように動かせなかったのか、クッションで足をバシッと叩かれる。ビックリして目をあけると物凄い眼力でこちらを見ているA。意味が分からず、悲しいのと怖いのとで動悸が止まらなくなる。

で。

目をつむってると途中で声をかけられ、言ってることは分からなかったけど「動きが分からない施術でもあったのかな」と思い、投げ捨てられたテキストに手を伸ばそうとすると「Don't move!Why you move!?」とがっつり怒られる。謝る。

 
もう一度目をつぶる。
すると、泣くつもりは一切なかったのに涙がボロッボロと溢れて止まらなくなる。
 

ヤバいヤバいヤバい
早く泣き止まないと

と慌てても、この状態になると涙はマジでコントロールできない。なんとかバレないようにとギュッと目をつぶるも、体勢がうつ伏せに変わると鼻水が重力に抗えない。

仕方なく鼻水すすりまくりで焦りまくっていると、気づいたAが声をかけてくれた。「大丈夫?僕が君を傷つけたの?」と優しく聞いてくれ、気持ちが落ちつくようにとしばらく頭を撫でていてくれた。そういえば、Aは繊細で優しい人だと聞いていたのを忘れていた。

少し気持ちがホッと落ちつくと共に、たぶん普通に涙腺がぶっ壊れてしまって、涙が引っ込んでくれない状況に大変申し訳なくなる。
  

できるだけ涙を止めようと気を張ってるうちにマッサージが終了。最後のほうは記憶がない。そそくさと中庭に出るとAに話しかけられた。

で、マッサージ中の感情をお互いに伝え合う。再び先ほどの感情が戻ってきて涙が溢れてきてしまい、Aが心配と困惑が混じった表情をしていてこれまた申し訳ない。

少し落ち着いたところで、(英語なので完全に理解はできていないけど)たぶんこんな話をした。
 

「君が泣いたのは、僕が教科書を投げたから?」

「それもある。あと、クッションで叩かれたり怒られたりして、最初からずっとあなたがわたしにイライラしているように感じて怖かった。わたしはイライラした人がとても怖い」

「イライラは少しだけしていた。僕が足を押したり動かそうとすると『ウッ』と体をビクつかせるのが嫌だった」

 
(骨を押されて痛かったタイミングでウッと動いたことはあったけど、もしその件を指すなら、それは本来そっちの自省ポイントであって、お客さんに怒りを向けるのは筋違いでは…?と思いつつ、英語でなんと言っていいか分からず)

 
この時、日本人クラスのゆりちゃんがずっとそばにいてくれて、背中を撫でたり2人の間に入って話を取り持ってくれていた。「とにかく今は申し訳ない気持ちでいっぱい。ごめんね、って言ってます」とゆりちゃんが代弁してくれた。

お互いたくさん謝り、Aが「sorryはナシにしよう」と言ってくれ、いったんその場の話し合いは終了。

その後、ゆりちゃんとマッサージペアだったジョージが飛んできてくれて、喋ったことなかったけどすごく心配した様子で「いったん外に出たほうがいいよ。ランチかコーヒーに行こう。レモンティーがいいかな?」と、ゆりちゃん共々明るく連れ出してくれた。
 

ゆりちゃん&ジョージと
泣きすぎて目がすっぴんになったわたし

 
ジョージがタイティーをごちそうしてくれ、2人の優しさに気が緩んでまた涙が出てくる。ここまでぶっ壊れたら、あとはもうダムの枯渇を待つしかない。安心できる環境に甘んじて、たくさん水分を放出させてもらった。
 
  
「ゆりも、日本人や僕たち英語クラスのメンバーも、みんなムツミのファミリーで、みんながあなたを心配して愛している。今は、悲しみではなくみんなの愛にフォーカスしなさい」

 
「あなたが泣いているのを見た時、わたしは2つの可能性を考えた。1つはあなたの家族や友人、周りの誰かが亡くなったこと。もう1つは、あなたが体を傷めたり病気になってしまったこと。でも、そのどちらでもないなら、問題なんて何もないんだよ」

 
ゆりちゃんはもちろん、この時のジョージの言葉がわたしの心をとても軽くしてくれた。
 

その後も、ジョージが近所のおすすめすき焼き屋を教えてくれたり、「僕は韓国映画が大好きで、中でも『オールドボーイ』が1番好き。アメリカの映画は、100%のいい奴!悪い奴!いい奴が悪い奴をやっつける!途中でラブが入る!みたいな単純なストーリーが多いけど、韓国映画のストーリーはもっと複雑で面白い」みたいな話をしてくれ、たくさん喋って笑って元気が出た。
 

そして、2人と相談してマッサージのペアを変更してもらうことに。

午後からはわたしがゆりちゃんと、ジョージとAでお願いすることになった。先生にもOKをもらい、Aにはジョージから説明してくれるとのことで、2人の気遣いが本当にありがたかった。
 

閑話休題
教室にちょくちょく忍び込むネッコ


トラブル2回戦

 
午後のマッサージタイムは大変健やかに終了。

ゆりちゃんはわたしのマッサージを受けながら、意図してかは分からないけど終始優しい笑みを浮かべてくれていて、おかげでこちらもリラックスしてマッサージに集中させてもらえた。この世に天使がいるならきっとゆりちゃんの形をしていると思う。

テストも無事クリアし、ホッとしてゆりちゃんと中庭へ。ジョージに「どうだった?」と聞かれ、笑顔で親指を立てる。

 
と。
ものすごい勢いで、ものすごい形相のAがこちらに来た。ひと目で分かるほど明確に怒っていた。顔が超近距離まできて、再びものすごい眼力を向けられる。

 
事情を聞くと「テストの部屋に行ったら、なんの説明もなくペアが変わっていた。僕はとても傷ついた」とのことだった。特に説明もなくて意味が分からないままマッサージが始まってしまい、ずっとひどい気分だったらしい。

やってしまった。
これは、もう普通にめっちゃくちゃ申し訳なかった。

自分を守ることを優先し、Aのフォローまで人任せにして、何も言わずに自分だけ安全な道を通ったわけである。Aにはさぞ不快だったと思う。怒りの奥には悲しみがあり、Aから凄まじい怒りと悲しみが伝わってくる。

説明なきペアの交代には、もう平謝りするしかない。でも、Aは謝られて気が済む様子ではない。午前中のトラブルについても再び議題となり、どこにどう落としどころをつければいいか分からない話し合いが始まった。
 

閑話休題
通学中にいつも会うイッヌ

 
Aは翻訳アプリも駆使しながら自分の気持ちを共有する。全ては理解できなかったけど、彼がイヤだったポイントや「文化の違い」への戸惑いはなんとなく分かった。
 

・マッサージ中にテキストを見られるのは、僕の文化では失礼。だから取り上げて投げた。自分にとっては普通のことだったのに、君は大きな問題に感じ過ぎている。

・君は泣きすぎだ。負のエネルギーを僕もたくさん受け取ることになった。弱すぎる。強くならなきゃいけない。

・クッションで叩いたけど、別に強くは叩いていない。

 
そんな内容だったと思う。

強く感情的な状態、からの売り言葉に近い言いぶんの数々に、買い言葉、してしまった。
 

強い弱いなど問題ではなく自分の感情任せにお客さん(役)を叩くことがまず問題だし私にとってはありえない。施術者が感情丸出しでお客さんを攻撃することはあなたにとって正しいのか。マッサージ中にテキストを見るのが失礼なら投げ捨てる前に口で言ってくれ。さっきから「自分は正しいお前の思考や弱さが間違っているからお前が変われ」としか聞こえないけどさすがに自分本位にも程がある。泣きすぎだと言うけど威圧的なオーラの男性にマウントポジションで叩かれたり強い言葉を向けられる女性側の恐怖を少しでも想像したのか。互いに反省点を共有し合って謝り合うことを落としどころにしたいけど一方的にそちらの文化や行いを「正」としたいならこれ以上の話し合いは無理だと思うのだけどどうしたらいい?

 
みたいな句点ゼロの勢い任せな内容を、英語に変換した結果オブラート50枚包みでお伝えすることになった。

こちらも感情的かつダンゴ虫レベルの英語力なので、正直どこまでどのように伝わったのかは分からない。ただ、彼の強い怒りに当てられて、わたしも何年ぶりレベルよ!ってな怒りの感情が引っ張り出されてきた。

結局このあと全体の集合写真撮影&卒業セレモニーが始まったので、話はここで強制的に終了となった。撮影やセレモニーでのAは、いつも通り最前列でノリノリの笑顔を見せていたので「まぁもういっか」とこちらもセレモニーを堪能した。
 

エンジェルゆりちゃんは卒業🥺


冷静になった今改めて考える

 
というのが、わたし目線でのこの日の顛末であり、2日経った日曜日にこの日記を書いている。
 

こうして冷静になった今思い返すと、2回戦でAが言ったことは、もちろん本音ではあると思うけど、一方で「怒りと悲しみで膨れ上がりすぎた言葉」だったんじゃないかということ。

あそこまで強くわたしを責めたかった・変わってほしかったのではなかったと思う。だから1回戦の最後には「申し訳なさしかない」とたくさん謝ってくれた。

なのに、せっかく和解できたと思ったら、午後には無言でペアを解消されていたのである。そのショックが彼の言葉や負の気持ちをtoo bigにしてしまい、言う予定のなかった強い非難を浴びせてきたのかと思う。なんというか、それはマジで、本当にめちゃめちゃ申し訳ない(n度目)

 
彼は2回戦中に何度も「文化の違いが大きすぎる」と言った。僕の文化ではマッサージ中にテキストを見るのは失礼、君の文化ではそうではない。僕の文化ではテキストを取り上げるのは普通、君の文化では大問題。

いや文化と性格30:70くらいやろ!と思ったけど、「日本人は繊細」とはよく言われるもので、彼にすれば「たったこれだけの事でそんなに傷つくのジャパニーズ…!?」だったのかもしれない。ことわたしはお豆腐メンタルすぎるので余計に相性が悪い。が、この辺りはもうレアな異文化体験だと思っておいてほしい。

 
あと、改めてあの状況を思い出してみると、英語で感情丸出しのケンカするの、なんか逆にすごい面白かった。

こと国内の身近な範囲に限るけれども、大人になってからの人間関係トラブルは、冷静な話し合いで大体カタがつく。変えられないことにはフォーカスしないし、努めて落ちついたトーンで互いの主張を共有し、一番平和な落としどころを探るのがセオリーになっている。

だから、ここまで「ハァァァァァ!?」となること自体が本当に久しぶり。「お前がそんなめちゃくちゃ言うならコッチだって黙ってへんぞ!!!」と感情が荒ぶり、めちゃくちゃな英語に怒りをのせて平行線にしかならない言葉の殴り合いをする。せっかくなら最後に河原で寝転がって「ハハ、強ぇじゃねえか」「お前もやるじゃんよ」とヤンキーの青春を完成させる道もアリだった。
 

不謹慎ながら、怒りや困惑の奥の奥には「出したったぞ!!」という謎の爽快感があった。ということで、Aには大変悪いけど、思い返すとちょっと面白い時間だったなと思える。

感情丸出しの異文化交流。留学の醍醐味だネ☆(違う)
 

打ち上げ会場で出会った英語クラスのサブリナ
初めて喋ったけど、今日の様子を見ていたらしく
すごく心配してくれていたそう
手を握って抱きしめてくれ、また泣きそうに

 
そんな感じでマッサージスクール生活もあと1週間。マッサージの練習や英語クラスの皆さんとの交流など、残り短いチェンマイライフをエンジョイしたいと思います。
 
 

読んでくださってありがとうございます◎