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テレビ局がnoteを始めてみるまでの話③ ~「noteの徳力さんにぶっちゃけて相談してみた 後編」~

こんにちは。『日テレR&Dラボ』です。
今回も始まったばかりのこのページを開いてくださってありがとうございます!

「テレビのことしか分からない」私たちが、外の世界の方々と沢山知り合いになって、逆に日テレのことももっと知ってもらって、何か一緒に新しいことがやりたい!と思ってはじめてみたのがこの「note」です。

今回も、企業の人がやるnoteって何をかけばいいのか?で悩む私たちが、「ド直球」にnoteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦さんに聞いてみた企画の後編です。

前編で出た話題は…
■コロナ禍で今問われること…「自分たちの会社は何者なのか?」
■インターネットの強みは「バズり」ではなく「ファンを積み上げること」
■「個人の顔」が見えないものは好きにならないコミュニティの時代

★前編はこちら↓↓↓

徳力さんから提示のあった、コミュニティの時代にテレビがもっと「個の顔」を出すことの意義から、「自社のファンと触れ合う大切さ」へとトークが続きます。

■ネットを活用することでテレビがアップデートできること

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加藤: 徳力さんから「テレビ局はもっと制作者の声を出していった方がいい」と言っていただきましたが、最近では「news zero」のスピンオフの配信番組「Update the world」というのがまさに「作り手の思い」を出していったものでした。

「Update the world」についてはこちら↓↓↓

加藤: 1回目はLGBTQをテーマにしていたんですが、プロデューサー自身もLGBTQの当事者で、自分たち当事者の思いを世の中に対して伝えたいということもありテーマに据えて、さらにその企画の意図も含めて自ら出演して発信したんです。地上波の放送だと放送尺が限られてしまうけれど、ネット配信の中でそういうことをやっていこうという志を感じた番組でした!

私もプロデューサーと一緒に、この番組を見て頂いた大学生にヒアリングをしたのですが、「知らないことが多くてとても勉強になった」「これからの行動を変えていこうという思いになった!」というすごくポジティブな感想があって。

徳力:そういう本当のファンの声、満足している人の声を聞くのは個人的にはとても大事だと思いますね。

加藤:番組としても、これからの生活や世の中をアップデートしていこうという思いでやっているんですが、そういった制作者の意図を伝え、届ける手段として「インターネット」を活用することで、ポジティブに世の中をアップデートする仲間を増やしていける可能性を感じた機会でした。

久野:この配信は、私は裏側の技術スタッフとして関わったんですが、直接見てくれた学生さんから褒めてもらうとすごく嬉しいんですよ。

私はずっとテレビの技術の現場をやってきたんですが、実は技術って一番視聴者から遠い存在なんです。例えばクレームがあったとしても、それは一回視聴者センターからプロデューサーや制作スタッフに行っても、技術の末端まで声が届くことって少なくて。もちろん社内報などで知ることはありますが、実感としてちゃんと消化はできない。

そこで技術の現場で何が起こるかというと、「ピントのちょっとしたズレが許せない」といった職人的なこだわりばかりに収束していく。もちろんそれは大事なんですが、さらに大切な「視聴者が求めている価値」みたいなところを見失っていることがすごくあるなと、今回の配信番組で改めて思ったんです。

手前味噌にはなってしまうんですけど、テレビの技術スタッフの人たちはやっぱり能力は高いです。ただ、そういった価値観のところの見直しというか、追求する価値観を「視聴者が求めるものは何か?」にできると、もっと良いものができるのではないかと、最近すごく思っています。

北澤:私はずっと報道の現場をやってきました。テレビがどうなっていくのかまさに過渡期だと思いますが、面白いコンテンツを作るという面は、今後ネットの世界に移行していく可能性もあるのかなと。
でもそんな中で、報道という中継・生放送という、視聴者や取材者とのインタラクティブな部分は、テレビが今後生き残れる強みの一つなのかなと思いました。


■「褒められ体験」が足りない私たち

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徳力:ちなみに、皆さんが「顧客の声を聞こう」という時に注意したほうがいいことが一つあります!
今までは「顧客の声」というと「クレームを聞くこと」を中心に考えてしまいがちなので、真面目な企業の方ほどコールセンターのクレームを全部読んで、皆さん自信を失ってしまうんです。

西:確かに!クレームもあると思いますし、我々テレビ局は「視聴率」というものに洗脳されて生きてきたので…(テレビを見る人が減って)グロス自体が減ってきていると聞くと、何かみなさんがテレビから離れていっているという感覚を今強く持ってしまってますね。
また、営業の売り上げという面でも、これから広告費がどんどん下がっていってしまうんじゃないかという怖さもあります。

徳力:テレビ局のみなさんは、「もっと褒められた方がいい」と思いますね。絶対にそれが足りない気がします(笑) 

他の企業の話ですが、私は前職で良くファンミーティングのお手伝いをしてました。
ファンミーティングにわざわざ来てくれるのは、その会社を本当に好きな人たちなので、多くの場合、プレゼンされる商品開発者の方とかマーケティング担当者の方が「うちの会社ってこんなにファンがいたんですね」と驚くことが多いんです。

大抵の場合、そういう方々って、コールセンター経由のクレームばかり毎日読んでいるんですよね。
テレビ局の皆さんも同じだと思います。視聴率を考えたら、ファンがいないわけがないので。

松本:正直、最近暗い話題が多くて、私たちテレビの人間は今ちょっと自分の仕事に自信が持てなくなっちゃっているところがあるかもしれないです。このnoteをやることの副産物じゃないですが、少しでもメディア自身がメディアを好きになれる、テレビがテレビを好きになれたらうれしいなと思いますね。

久野:このR&Dラボのnoteが、テレビの中の人と、視聴者・生活者とのコミュニケーションの場として活用していけたらいいですよね。

西:日テレには一つ一つの番組を広めるという意味で宣伝部があって、さらに、それぞれの番組のTwitterなどをやっている「中の人」も沢山います。

そこにプラスアルファで今R&Dラボがnoteをやる意味とか、R&Dラボでしかできないことってなんだろうと考えたときに、R&Dラボが何かやることによって、言葉の表現は難しいですが…ちょっとでも視聴率の呪縛を取ってあげることにつながるとすごくいいだろうなと。

徳力:西さんがおっしゃるように、一回ちょっとテレビ局の方は視聴率から離れた方がいいと思います!
「日本テレビ自体のファンがこんなに増えたよ」といえるようなnoteにしていったほうがいいかもしれないですね!


■そして…R&Dラボのnoteは何を書く?

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徳力:シェアトップの企業が、ネット上のコミュニケーションを先行して実施することって、結構珍しいんですよね。言葉を選ばずに言うと、SNSの歴史を見ていてもだいたいシェア1位のところはやるのは遅いんです(笑)

これはある意味当たり前で、現在シェアトップの企業は従来のやり方でトップを取っているので、ネット上のコミュニケーションを使うときのメリットよりリスクの方が大きく感じるんです。

また、ネットでよく言われるのが「弱みを見せるべきだ」という理論です。
どうしてもシェアが高い企業がネットの世界に普通に出て行くと、「勝ち組が何言ってんの!」となりがちです。日テレの皆さんが困っていることや悩んでいることを素直に出せるかどうかが重要だと思います。

ネット上で比較的ポジティブに受け止められやすいのは、「こういう理由でこう困ってます。皆さんと一緒に考えたいんです」というものです。例えば、「R&Dラボはやりたいことのわりに人手も予算も足りないんで…」みたいなことも全部言っちゃうのもいいと思いますね。

松本:R&Dの部署って、他の企業さんだともっと仕事がはっきり見えるんですよね。例えば化粧品会社さんが香りの研究をずっと基礎研究として行って、数年後に商品として花開くというような。
私たちのように今までR&Dをやってきていない人がいきなり集まって、テレビ局のR&Dって何なのかみたいなところから、もがいている現状をカッコつけずにさらけ出していきたいですよね。

西:今日話して、何かよちよち歩きでも新しいコトができればいいなと改めて思いました。
まさに組織の中の「個の部分」をちょっと引っ張り出して、(外部と)出会う場所にすることに意義があるのではないかなという気が個人的にはしてます!

土屋:今日思ったのは、外への窓としてこのnoteを通じてR&Dラボが色んな人や企業と繋がる中で、社内の同じ興味を持つ人とマッチングさせるというか、「お前、ここと相性がいいんじゃないの」というマッチングをしていくという役割もあるなと。

多分、今まで会社の中で欠けてたものをやるのがR&D部門ですよね。そういう意味で、日テレは今までずっと 1対多数という目線で仕事をやってきていて、その中で欠けている「1対1」というものがあって、そのことに気が付き始めているところ。ならばR&Dラボがやれることは割と迷わずたくさんあるのかなと思いました。

北澤:「繋がる」ということでいうと、率直に「今後のテレビはどうあるべきか」「どんなものに期待していますか」みたいな声を、広く視聴者に聞けるような場所があっても面白いなと思いますね。

加藤:R&Dラボでは、テレビ画面の中での「視聴率」とか、「シェアの奪い合い」というところからは一旦離れて、テレビの画面を離れてもいい、スマホの画面すら離れてもいいので、将来的にそういうところで「提供できる価値」って何かあるんじゃないか?という「可能性」を探っていきたいよねと、いつもメンバーで話しています。

そういう意味でもこのnoteで、もっと他の業界とつながっていって、テレビのクリエイティビティ・強みを横展開していくような窓口になれるといいなと思っています。

これまでの1年半で得た実感なんですが、実は仕事で他の企業さんが抱えている悩みや「こうありたい」というお話を聞かせてもらった時に、「日本テレビだったらこういうことができるかも」「一緒に組むとこういうことが提供できるかも」ということを話して、新しいアイデアの芽が生まれてくるところがすごく楽しいんですよね。

そんなことをこのnoteでいろいろな企業さんと考えて、発信できたたらいいなと考えています。

松本:いろんな企業のR&D部署の諸先輩方から「R&Dの極意」を学ばせてもらおうという企画をしてみたりとか、…この日テレのR&Dラボというひよっこがいろんな人と触れ合って大きくなっていく姿をさらけ出して、応援していただけるnoteになっていけたらいいなって思いました。

徳力:R&Dラボの皆さんのそんな思いを一緒に語り合える、ポジティブなネットワークをnoteを書く中で増やしていけたらいいですね!

西:徳力さんとお話しする中で、色んなやりたいことが見えてきました。本当に今日はありがとうございました!
まずは、何もやらずにこのnoteの存在を誰からも気付かれないよりは、何かやって怒られよう!という大方針で頑張っていきましょう(笑)


★前編記事はこちらでご覧いただけます↓↓↓



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