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おくびょうもの。

私は、幼少期から今に至るまで誰からも好かれるよう常に気を遣って生きてきました。
素の自分を出して人から嫌われることにものすごい恐怖を感じるからです。

しかし、その結果なってしまったのは、悪い印象を人に与えない代わりに人の印象にも残らない地味でつまらない人間。

他人から「いつもニコニコして良い子だね」って言われる度ホッとして、でも実は怒りや悲しみを隠しているときなんかは、本当の自分はこんな人間じゃないのにと悔しい思いをする。相手の顔色を伺っていつも笑顔で自分を隠し続ける、本音で生きられない人生…。
私は、本作に登場するキャラクター、稲荷由子さん演じる"芝浦カナ"に似ているかもしれません。カナは、監督が自己投影した存在とのことですが、私も痛いぐらい共感するキャラクターです。

人に嫌われたくないから本当の自分は見せない。でも自己顕示欲は人並みにあるし、素の自分を受け入れてもらいたい。

そんな面倒な自分を救ってくれたのが、

ファッション

でした。

私は自分らしさを服で表現するという方法を見つけたのです。例えば、自分の外見的なイメージとは正反対の個性的で変わったデザインやクールでモード系の服を着る。これは、コミュニケーションを取らなくても一目で自分という人間をわかってもらうための私なりの自己表現です。

『プラダを着た悪魔』(この映画私大好きなんです)で、アン・ハサウェイがハイブランドファッションを纏って仕事に対するやる気と根性を見せ鬼上司に対抗したように、

ファッションは、なりたい理想の自分になる勇気や自信を与えてくれます。

まさに"魔法"なのです。

役者が着る衣装もそうです。
映画や演劇、作品における衣装の役割は、観る人に登場人物のキャラクターや人物像を伝えることだけではありません。役者が役になりきるための力を与えてくれるものでもあると思います。少なくとも、私はそうあってほしいという願いを込めて今回衣装を選びました。

明日はいよいよ撮影初日。

『ナーストゥーザフューチャー』を彩る衣装たちに魔法がかけられていることを願って、今夜は

おやすみなさい。

(文: 衣装/宣伝 村上友梨)

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