電気機器ブランドとして、他とは違うユニークな存在感をもつSONY。その強さの秘密を知りたくて手に取った1冊。少し古い本だがグイグイ引き込まれる。
戦争を乗り越えて再会した二人の共同創業者
この本の主題は、SONYの創業前である。創業者である井深大(いぶかまさる)と共同創業者の盛田昭夫(もりたあきお)がどのような環境で生まれ育ち、ある偶然の出会いをきっかけに友情を深めていったかということがいくつものエピソードで描かれている。戦争・終戦という時代背景も相まって、映画を見ているようにドラマチックなエピソードが多い。
再会を果たし、東京通信研究所で働く二人の周りには、続々といろんな才能が集まってくる。人を惹きつける二人だったようだ。
創業期の泥臭さ
多くの人が「SONY」と聞いて思い浮かべるイメージは、洗練されたデザインと先端技術、コンテンツや金融にまで広がる幅広い事業領域といったところだろうか。いわばベンチャーとして成り上がってきたSONYには、現在のイメージとはあまりにかけ離れた泥臭いエピソードがたくさんあり、これもまた、おもしろい。昭和二十一年、創業から1年で資金難に陥っていたときのエピソードがこちら。
どんなに反対されても曲げなかった社名に込めた思い
創業のドタバタ期を経て、SONYは次々とヒット商品を生み出していく。後半は、私たちがよく知る世界のSONYになるまでの痛快な快進撃が続く。その中でソニー株式会社の社名に井深、盛田の二人が込めた思いが素晴らしいエピソードと共に残っている。
創業から10年、まだまだベンチャーの域を出ないソニー株式会社の創業者の思いや想像力は、時を超えて、確かに今の時代でも生き続けている。実際SONYは、ソニー・ホンダモビリティを設立。2025年の発売に向けて、着々と準備を進めている。「世界に伸びる」という創業者の思いを受けて、もう一度世界をアッと言わせることができるのか。