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『話を聞かない男、地図が読めない女』アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ

かなり前に話題になったこの本、図書館でふと見つけたので読み返したところ今読んでもめちゃくちゃ面白い。

日本だけで200万部!なぜこんな売れた?

発売は2002年。ビジネス書で200万部はとにかくすごいらしい。なぜこんなに売れたのか、自分なりに分析するとポイントは3つ。

  1. 率直な語り口でスカッとする

  2. 性差を乗り越える具体的な提案がある

  3. 人類の起源に触れており興味深い

1.率直で語り口でスカッとする!

性差に関する話題は、どんな場面でも気を遣う。この人にこれ言ったらセクハラ?差別発言などと気を遣うことが多いので、もういっそのことセクシャルを話題にすることが面倒になってきてしまう。この本は、そんな話題を真正面から取り上げて、言いづらいことをバシバシ書いていく。

女は男のどんなところに不満を覚えるか。鈍感、のんき、人の話を聞かない、やさしくない、話をしてくれない、愛が足りない、二人の関係を大事にしない、触れ合いは二の次でセックスばかりしたがる、上げた便座をおろさない。

『話を聞かない男、地図が読めない女』P22

片方だけだと不公平なので女性側も…。

では男は女のどんなところにいらいらするか。運転がへた、標識を見落とす、地図を上下さかさまにしないと読めない、方向音痴、むだなおしゃべりが多すぎる、セックスしたくても自分から誘わない、用が済んだあと便座を上げておかない。

『話を聞かない男、地図が読めない女』P22

なかなかな書きっぷりでスカッとする!作者のアラン•ピーズ(夫)と、バーバラ•ピーズ(妻)は、ともに講演や作品を通じてビジネスにおける人間関係を語ることが職業。きっと男性目線をアランさんが書いて、女性目線をバーバラさんが書いたに違いない。お互い遠慮がない。(笑)

2.性差を乗り越える具体的な提案がある

脳の構造が全く違う男女が同じ屋根の下でパートナーとして生活するのはそもそも無理がある。色々と障害があるのは当たり前。その上で、よりお互いが気持ちよく生活するための提案が、「具体的」でググッと刺さる。

次の言いかたをくらべてみよう。
1.朝食にオムレツを作ってこい!
2.朝食にオムレツを作ってくれよ。
3.朝食にオムレツを作ってくれないか?
4.朝食はオムレツでいいよね。
5.朝食にはオムレツがいいんじゃないかな?
6.朝食にはオムレツなんてどう?
1から順番に、だんだん間接的な表現になっている。前の三つは男が、あとの三つは女がよく用いる。要求内容は同じなのに、表現がまずいと、オムレツを食べたい気持ちも失せてしまう。女が目に涙を浮かべて、「何さ、えらそうに!そんなに食べたかったら自分で作りなさいよ!」と叫び、男が「自分では何も決められないのか。もういい、俺はマクドナルドで食べてくる!」とどなる修羅場にもなりかねない。

『話を聞かない男、地図が読めない女』P124

「〇〇なんてどう?」って、ちょっとキザっぽくてどうも自分には使いこなせる気がしないけど、「〇〇がいいんじゃないかな?」ぐらいならいける気がする。非常に具体的だ。こういう文章を読むと、この本を常に手元において置きたくなる。

3.人類の起源に触れており興味深い

個人的に一番興味深かったのは、男女の脳の違いは人類の狩猟時代に起源があるという作者の主張。要するに、狩猟民族が生き延びていくために男女の脳は今のように特徴づけられたというもの。

なぜ男は進む方角がわかるのか
空間能力が優れている男は、頭のなかで地図を回転させ、どっちに進めばよいか判断できる。しかもその情報を蓄積しておけるので、あとで元の場所に戻ってくるときは、もう地図を見なくてもよい。南に向かっているときでも、地図を北向きのまま読むことができる。しかも地図を頭に入れて、それを辿る事もできるし、速度や距離を適切に判断して方向を変えることもできる。男は窓のない部屋に初めて入ったとき、北を正確に言いあてる。遠くまで遠くまで狩りをしに行った男は、そうやって家の方角を見つけないと生きて帰れなかったからだ。

『話を聞かない男、地図が読めない女』P138

空間能力だけではなく、思考、態度、感情、恋愛、セックスなど、あらゆる場面に現れる男女の違いは、狩猟時代にさかのぼって解説されると不思議にあぁそうかと腑に落ちる。パートナーがGooglemapを片手にスマホの向きを手の上でクルクルしてイライラしているのを見ても「そうだよね、狩猟時代は洞窟の中で子育てと料理がミッションだったもんね」と寛容な気持ちになれる。

というわけで春になって新生活で新たらしくパートナーとの生活をスタートした方に、ぜひお勧めしたい一冊だった。


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