翻訳未経験者が人生で初めて翻訳の仕事をやってみた話
こんにちは、つい先日まで翻訳未経験者だったなっつんです。が、無職で有り余る時間を有効活用するべく、ついに!今更!クラウドソーシングを始めてみたというのが前回からのあらすじです。詳しくはこちら。
ネットでクラウドソーシングのやり方についての記事を読む限り、やはり最初はアンケート回答とか、文字単価0.5円以下のブラックライティング案件など簡単な案件からまずはぼちぼち実績を作っていくというのがセオリーのようです。
という情報を手に入れつつも、一番最初でも簡単そうな翻訳だったらいけるでしょ!という謎の自信から翻訳案件にとにかく応募し、3件受注し(本当に発注してくださった方々に感謝)、今この記事を書いている時点でその3件とも作業が完了し納品できたため、今回の記事では実際どのような翻訳をしたのかと、感想をまとめていきたいと思います。
そもそもこの記事を書いている人の英語力は?
さて今回のテーマは翻訳ということで、結論からいうと、これを読んでいただいている日本人のみなさまにとって一番わかりやすいであろう英語のテストであるTOEICのスコアは持っていません。カナダにはかれこれ約4年住んでいます。カナダに来る約2年前から英語の勉強は始めました。詳しくはこちら。
カナダ生活での交友関係の中で、いつもよく話す友人たちとの会話で使っている言語の割合で言うと英語:日本語=6:4くらいでしょうか(最近無職が高じて人と話すこと自体減っているのは内緒)。
Netflixで海外ドラマを見るのが習慣化していますが、やはりいまだに英語字幕が無いと聞き取れないときも所々出てきてしまう感じのリスニング力です。例えで言うならいまだに補助輪つけて自転車に乗ってる感じ(?)です。早く卒業したいですね。家で料理したりご飯食べるときは大体字幕に依存しないようにするためにもSpotifyで英語のポッドキャストを聴いてます。
最近聴いているポッドキャストがこちら。ひたすらアップル製品とかその他ガジェットについて二人のパーソナリティ(CGP Grey and Myke Hurley)が語るテックオタク向け番組です。東京時代に秋葉原によく通っていた私にはぴったりですね。
観た海外ドラマの感想を英語でつぶやく用のTwitterアカウント(不定期更新)を持っていたり、かれこれ6年くらい毎日寝る前に英語で日記を書いてたりもします。
こうしてみるとReadingが一番何もしていないかもしれない…システムが崩壊した日本の英語義務教育の中で一番やったのがReadingだからもういいかな…と思っている部分もあります。いろいろ偉そうに書きましたが英語力については現在も絶賛精進中でございます。がんばろう。
実際にやってみた翻訳のお仕事3つを紹介!
さてここでは実際に受けてみた翻訳の仕事を極めて個人的な評価軸である仕事のおもしろ度と、報酬面についてコメントしていきたいと思います。
1. すでに機械翻訳された英文を自然な英文になおす案件
おもしろ度:★☆☆
報酬金額:★☆☆
実は一番最初に受注できた案件でした。にもかかわらずのっけからいきなり辛口で申し訳ない。しかしここでは素直になったほうがいいかなと思いまして。
作業内容は極めてシンプル。クライアントから渡されるスプレッドシートに記載されているすでに機械翻訳済みの英文を、一つ(1行)ずつチェックしていき、不自然な表現が出てきたら訂正し、次の列に正しい文を記載するだけ。スプレッドシートは600行くらいあり、2〜3時間以上はかかった記憶。そもそも翻訳に慣れていないだけ説。
さすがにこうは言わんだろという英文を見つけては、ネイティブなら恐らくこう言うだろうという文章にひたすら変えていく作業でした。質の担保という面で言えば完全に英語圏で生まれ育った人に依頼をするべき案件だと思いますが予算面との兼ね合いもあるのでしょうね…いただいた報酬とかかった時間で見たときになかなか悲惨なものになりました。
人生で初めての翻訳案件、なんならクラウドソーシングの仕事自体初めてだったので割と緊張しながら納品を行いましたが、クライアントからは
こんな感じでレビューをいただきました。よかったよかった。
2. 英語のYouTube動画翻訳+台本制作案件
おもしろ度:★★☆
報酬金額:★☆☆
本件のクライアントは、メジャーリーグに関する動画を扱うYouTubeチャンネルを運営されている方でした。作業内容としては野球選手について解説する英語の元動画をまずは翻訳し、翻訳した内容を要約しながらクライアントの動画テイストな日本語の文章にリライトしつつ、動画内で読み上げる台本をまるっと作成するものでした。1の翻訳案件と比べるといきなり難易度が上がった気がしますね。
実際に今回翻訳の対象となった動画がこちら。
サムネイルからもお察しいただけるかと思いますが、海外の有名な野球解説者が大谷翔平選手について語る動画です。ちなみに私の野球の知識と言いますと、バッターがバットを打って走る、くらいのもの。メジャーリーグはおろか国内の恒例行事である甲子園ですらそこまで真剣に観戦したことがないレベルです。非国民ですね。大谷翔平選手はかろうじて知っているくらい。
なので翻訳するために注意深く英語を聞いていてもわからない野球の表現がたくさん出てくる出てくる。そもそも日本語で知らない話を英語でされてわかるわけがありません。何度も理解するために元動画を再生しまくりました。そして選手名だったり野球用語だったり知らない野球に関連した単語が出てくるたびにググりました。このとき初めて翻訳の仕事はただ英語ができるだけじゃダメで、その業界の専門知識も必要ということを学べました。
翻訳後もクライアントがすでに投稿している動画内で使われている日本語の雰囲気に近づかせるため、何度かクライアントからの修正依頼とその反映作業もあり本件も2〜3時間くらいかかった気がします。いただいた報酬とかかった時間で見たらそこまで釣り合わず。
3. アニメを観ている海外の人のリアクションを翻訳する案件
おもしろ度:★★★
報酬金額:★★☆
本件が一番やってて面白い仕事でした。上述しましたが私は実は大のアニメ・ゲーム好きで秋葉原に住もうとしたけど家賃が高すぎてお隣の江東区に住んでいた人間です。結果的に江東区も緑と水と人工物のバランスがとれていてとても好きになりましたけどね。
そんな人間なので本件、こちらの動画のようなワンピースを見てる黒人さんの反応の日本語訳とか、やっててとてもおもしろい案件でした。
内容がアニメであることはもちろんのこと、本件の作業内容はひたすらこの動画のような英語での反応を日本語で口語訳するだけだったので翻訳としても非常にとっつきやすいものでした。アニメを実際に見て反応している人にも感情移入できるし。
動画内で反応している本人たちもアニメの状況をそのまま繰り返し説明していたり(例:「え、ゾロ死んじゃった?」とか)、登場人物に関しての自分の感想を述べていたり(例:「ゾロがこのまま死んだら俺はもうワンピース見るのやめる」とか)とあまり複雑怪奇なことは喋っていないので、(2番目の野球案件と比べるとかなり)英語で理解するのが楽でした。
こちらのようなYouTube動画を3本まとめて依頼いただいたので時間は地味にかかりましたが翻訳の難易度の低さとアニメ関連であることから、とても楽しんでできたお仕事でした。
まとめ:英語ができることと翻訳ができることは全く違う
まだまだ翻訳の仕事を始めたばかりの駆け出しの人間ですが、今回この3つの翻訳のお仕事を通して学んだことはこれに尽きます。不自然な英語を自然な英語になおす案件については少し別ですが、英語から日本語に訳す案件2つについては、やってて気づいたのは日本語にいちいち訳すのに慣れていないということ。
普段何気なく英語を話したり英語で何かを聞いたりする際に、いつの間にか日本語を介さずに英語を英語で理解する癖がすでについていました。これは英語学習者としては、というか英語話者としてはこれが当たり前だしこれがあるべき姿だと思うのですが、翻訳者としてはそれだけではスキルとしては足りないことに気づきました。
英語を英語として理解したあとに意味を一寸たりとも変えることなくなるべく自然な日本語に置き換えて(意訳が求められる場面もあるかもしれませんが)、日本語話者の人たちにコンテンツを伝えていくことが翻訳なのだと気付かされたのでした。
英語を英語としてまずは理解するための英語力はもちろんのこと、理解した上で今度は日本語を母語とする人全員が理解できるようなきれいな日本語に変換していく必要があるため相当高い日本語能力も求められます(ちなみにこのnoteを始めた理由も人に読んでもらうことを前提とした、ちゃんとした日本語の長文をもうちょっと書けるようになりたいと思ったからだったりします)。
言語とは深いものですね…今後も翻訳の仕事を続けていくかは不明ですが今回もいろいろと学べました。では今日はこのへんで。
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