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農家はマルシェだけで生活できるのか

そんなわけで、マルシェを中心とした野菜販売で生計を立てられないか、と思い至った。経緯はこちら↓

そもそも、マルシェに参加するとはどういう事か。
イベントにもよるので、前回の記事で書いたマルシェを例に挙げてみるとタイムスケジュールは以下のような感じになる。

09:15~ 野菜、機材を車に積み込み出発
09:30~ 現場到着、設営開始
10:00~ 販売開始
11:30~ 販売終了、片付け
11:45  帰宅

出発から帰宅まで、2時間半の行程だ。
売上は、季節にもよるが大体1万円~1万5千円だ。
この記事では「2時間半」「1万円」という数字に対して考察してみたい。
(※定期開催の地域イベントを対象としているため、数万円の売上が出るような大型の単発イベントは除外する)


月の売上目標

まず、月にいくら売り上げられたら生計が立つと言えるだろうか。
生活にかかる費用は食費や家賃や種々の税金、農業にかかる経費は種苗代や肥料代、ガソリン代などがある。
これらの経費や生活資金をまとめて、売り上げ目標を30万円としてみよう。

マルシェの特性

ぼくはこれまで300回近くマルシェに出店してきたが、その中でいくつか傾向があることに気が付いた。

  • 客層はほぼ40代以上の女性で、大半は高齢者

  • 重量のある物は売れにくい(イモ類、大根1本など)

  • 見慣れない野菜はほぼ手に取らない

これはマルシェの特性上、野菜だけを購入するとは限らず、重い荷物をもって歩き回るのを避けたいというのが理由だろう。
かと言って全く売れない訳でもなく、旬の季節であれば無理してでも持って帰るという人もちょくちょく現れる。
これらを踏まえて、何をマルシェに持って行けばよいだろうか。

何を作って、いくらで売るか

目標の売上金額に達するために、最低でも1万円分以上の野菜を準備する必要がある。
野菜一つあたりを仮に150円とすれば約70個の野菜を仕込むことになる。

ここで重要になるのが、限られた時間で70個準備できる作物は何か、ということだ。
マルシェに2時間半も時間を取られている関係で、一日の作業時間は6時間程度を想定したいところ。
当然だが手間がかからず、単価の高いものを栽培するべきである。
例えばジャガイモは、掘り返して土を払い、袋に詰めればそれで終わりだ。
ある程度保存も効くし優秀な商品と言える。
一方でこまつ菜やほうれん草のような葉物野菜は、収穫後、出荷調整をして洗浄、袋詰めと工程が多いわりに単価が低いのでコスパが悪いと言わざるを
えない。

だが、手間だけを考えて、ジャガイモだけを持ってくマルシェに魅力はあるだろうか。

野菜を販売するマルシェとしては、こまつ菜やほうれん草のような鮮やかな緑があってこそ人目を惹くというものだ。
このバランス感覚が極めて重要なのだ。
マルシェとして人を寄せる為には、ある程度の品目を揃え、かつ魅力のあるラインナップでなくてはならい。

マルシェで生きていくためには、ひとつの野菜を大量生産する農業ではなく、多品目の野菜を少しずつ生産する農業である必要がありそうだ。

しかし、少量多品目生産にもメリット、デメリットがあるのであった。

続く。

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